『活・原子力』
-私たちの未来のために、原子力活用のあり方を提起する-
座長 兵頭 誠之
(住友商事 取締役社長執行役員CEO)
2024年8月2日、総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会に出席し、本意見と(エネルギー委員会 「第7次エネルギー基本計画に向けた意見~2050年に向けたわが国のエネルギーシステムの最適化のために~」2024年8月2日)の内容について、説明をしました。
意見のポイント ※詳細は、別添の意見本文をご確認いただきますようお願いいたします。
Ⅰ.『縮・原発』から『活・原子力』へ
経済同友会が2011年に提唱した『縮・原発』では、既存炉の着実な再稼働や次世代原子力の開発を訴えていたものの、真意について誤解を招く表現でもあった。また、2050年カーボンニュートラル実現やエネルギー安全保障の重要性が高まるなど、当時と社会情勢が大きく変化したことから、今回『縮・原発』の表現を見直し、新たな考え方『活・原子力』を示す。
Ⅱ.カーボンニュートラル実現や将来のエネルギー需要を考えると、安全性の認められた原子力の活用が不可欠と考える
一次エネルギーを可能な限り非化石化するため、次の有力な選択肢が手に入るまで、世界最高水準の安全性を担保したうえで、原子力を活用すべきである。将来必要となり得るエネルギー需要を考えると、既に一定の理解が得られた既存炉の再稼働だけでなく、リプレース・新増設の実装への動きを今から開始することが求められる。
既存炉の再稼働については、短期的には審査合格後の国民へのファクトベースの説明、短中期的には立地地域と消費地の相互理解の促進、中期的には原子力規制委員会のあり方の見直しを行うべきである。また中長期的なリプレース・新増設については、安全性の高い革新炉の導入を前提として、既成概念にとらわれずに新たな規制の整備や立地の選定を行うことが望ましい。
Ⅲ.多様な意見を聴きながら、エネルギー問題を開かれた形で熟議していく
エネルギー問題は国の未来に関わる重要テーマである。社会のサステナビリティと私たちの幸せを両立させ、またグローバル社会での日本の理想像を目指すという目的の達成のため、長期の将来に向けた社会全体での建設的な熟議が必要である。事故の教訓も踏まえながら、「原子力を語れない空気」を払拭し、あらゆる選択肢をフラットかつ科学的に検討することが望ましい。
Ⅳ.経済同友会は開かれた熟議のカタリストに
本会としても、多様なステークホルダーの意見を聴く開かれた熟議の場を設け、将来を担う世代を中心に、これまでエネルギーや原子力に触れる機会の少なかった人々にも問いかける。本会や本会会員もそこから謙虚に学び、考え方を柔軟にアップデートしていく。
以上
------------------------------------------------------------------------------------
------------------------------------------------------------------------------------