ページの先頭です

ページ内を移動するためのリンク
本文(c)へ
グローバルナビゲーション(g)へ
ローカルナビ(l)へ
サイトのご利用案内(i)へ

ここからグローバルナビです。

グローバルメニューここまでです。

ここから本文です。

記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2004年11月09日(火) 16:00~
出席者 北城恪太郎 代表幹事
渡辺正太郎 副代表幹事・専務理事

冒頭、北城代表幹事より、11月12日に発売される著書「年金再生論/.北城恪太郎編」の紹介があり、続いて記者の質問に答える形で(1)ブッシュ米国大統領再選、(2)環境省の環境税案、(3)三位一体改革、について発言があった。

Q: ブッシュ大統領の再選 が決まったが、改めてコメントを頂きたい。

北城: 基本的に歓迎している。その理由は、これまでの政権運営が持続される、特に小泉総理とブッシュ大統領の良好な関係が維持できることは非常に大きい。個別の政策課題で問題が起きても、トップ同士の信頼があるということで事前に大きな問題になることを防ぐことができる。例えば為替やBSEの問題、経済摩擦に関わることについて大きな問題にならなかったのは、トップ同士の信頼が大きい。これからのイラクや北朝鮮の問題を考えると、小泉総理がブッシュ大統領に忌憚の無い意見を述べられるという関係は大事だと思う。

個別政策では、ケリー候補の考え方がやや保護主義的な色彩を持っていて、貿易不均衡に関して、やや制限的、制裁的な経済政策を取る懸念があったので、そういう意味でも経済界としてはブッシュ大統領の再選を歓迎していると思う。またイラクの問題について、ケリー政権になっても当面大きな方針に変化は無かったと思うが、イラクの政情が安定する前に米軍や多国籍軍を引き上げてしまっては混乱を引き起こしかねなかった。その点でもブッシュ大統領の再選は良かったのではないか。

Q: 前回ほどではないが、きわどい接戦であり、米国の国論が二分していたように思うが、これについてはどうご覧になっているか。

北城: 例えばイラク政策や経済政策、倫理観等について米国の国論が分かれたという見方はあるが、ケリー候補も国論を(長い間)二分させておくべきではないという(理由で、敗北を認める)声明を出されたと思うので、大統領選が終わった後では、米国の(統一した)方向性を打ち出すような形で変わっていくと思う。ブッシュ大統領も選挙戦を通して、主として欧州も含めた多くの国々との良好な関係、特に国連重視の外交政策の重要性は認識されたと思うので、これからイラク、イランやそれ以外の外交政策について、より国連を尊重する方向で動くのではないか。それ自体は、小泉総理や日本の考えとも合うと思う。国論が二分したとしても、選挙戦を通して色々なことが議論されたことは良かったのではないか。

Q: 先週、環境省が環境税に対する考え方を発表した。経済同友会は環境税容認派と言われることがあるが、今回は改めて反対という コメント を出されている。これについて改めて聞きたい。

北城: 環境税と言う時に、一般論としての「環境税」の話なのか、今回環境省が出された税制の話なのかを分けていただきたい。

今回の環境省案については、1つは増税、1つは特定目的税という理由で反対だ。特定目的税については一部税収を社会保障その他の方法で活用したらどうか、という配慮はされているが、主体は環境対策に税を使うということだ。増税については、景気の現状も踏まえて、これ以上国民負担を増やすべきではない。また、環境対策にどれだけ投資する必要があるのかについては、国の歳出について優先順位をつける中で決めていくことだ。どれだけ必要かがはっきりしない段階で金額を決めてしまうことには問題がある。

一方、京都議定書が発効されるということで、日本の地名が入った重要な国際条約なので、策定に当たって主導権を握った日本が守らなくて良いということはない。国として守らなければならないことなので、産業界で努力しているからそれで良いということではない。何らかの対策を取らなければならないし、その中で税という手段も対策の一つとして検討する必要が出てくることも考えられる。経済同友会でも、別途プロジェクトチームを作り、税を使う必要があるとすればどのような体系があるか、もちろん税を使わない方法も色々と考えられるので、それも含めて検討し、できれば来春には我々の考えをまとめたい。

今回環境省が出された案には反対だが、税を活用することについて全て反対と言っているわけではない。

Q: 今回の税に反対ということだが、環境省案に対して各経済団体で連携して反対するような考えはないか。

北城: そういう話は他団体からも頂いていない。我々は今回の案には反対だが、税という政策手段に一律に反対しているわけでもない。税というのは直接税、間接税について色々な体系があるので、税体系全体についての議論をする必要がある。

特に、今回の財政審では10年後の歳入と歳出の問題が指摘されている。プライマリーバランスの均衡に向けてどのような政策手段を取るかについては、一つではない。歳出面では、社会保障、地方交付税をどのように削減するか、歳入面でも直接税、間接税をどのような体系にすべきかについて色々と案があると思う。全体として国民負担の水準をどうすべきか、給付と負担の関係をどの水準にするかについては色々と議論があると思う。いくつかの案を出して、その中で国民としてどれを選択すべきか、という議論がまず必要だ。それがあって初めて個別の政策が出てくると思うが、現状では個別政策の話しばかりが先に出てくる。環境税の問題もそうだが定率減税や消費税など個別の議論が先行しすぎている。

来年の一月には「改革と展望」が出ると思うので、財政再建に向けての具体的な手段とスケジュールが提示されることを期待している。

Q: 昨日の日本経団連の記者会見で、環境税に関連して奥田会長がサマータイムの検討について発言されたが、それについてはどのようにお考えか。

北城: サマータイムを検討しても良いと思う。サマータイムの導入によってどれだけCO2等の排出が減るのかというのはひとつのテーマになると思う。ライフスタイルの変え方については個人の価値観だが、一人一人の行動に関して最も影響が大きいのは経済合理性だと思う。個々の生活にとって、エアコンの使用や温度設定によって電気代や負担がどの位になるかということが判断の基準になる。エアコンを使用しないということだけではなく、エアコンを購入するときに省エネのものを選べば電気代はどの位下がるか、現在使用しているものとどのくらい差があるか、を検討し、より省エネの家電製品が選ばれるだろう。また、家を建てる際にも断熱材の利用や断熱ガラス、ペアガラスの利用によって大きな省エネができるが、日本の家庭や分譲マンションではまだ一枚ガラスが使用されており、結果としてエネルギーが消費されてしまう。エネルギーコストが高いことで、個人もメーカーの製品開発も、節約する方向でいろいろな創意工夫ができる。環境税という形を通して、電気・ガスのエネルギーコストがあがることは、必ずしも悪いことではない。少なくとも、温暖化ガスの排出に関しては、新しい創意工夫の余地があると思う。例えば、日本はガソリンの価格が高いが、これによってハイブリッド車が作られ、国際競争力の上で非常に大きな役割を担っている。アメリカでも日本のハイブリッド車は非常に売れているということなので、すべて悪いとは思わない。国や個別産業の国際競争力を大きく損なうことは問題なので、制度設計についてはこれから検討すべきだ。

Q: サマータイムについてはあまり関心がないのか。

北城: サマータイムによって、どの位CO2が削減されるのかがよくわからない。CO2が削減できる手段があればいろいろな手段をとるべきなので、効果が出るのであればもちろんやった方が良いと思う。

サマータイムの導入については、経済活性化の議論があった。レジャーや観光、スポーツなど、国民の余暇を充実することによって新たなサービス産業を作るという意味もあったと思う。そういう観点でも効果があると思うので、サマータイムの導入を検討することは良いと思う。

Q: 現在でも家電店では「年間の電気代がどのくらい下がる」という表示がされているが、それをさらに進めるには企業としてどのような取組みが考えられるか。

北城: 今のような取組みで良いと思う。電気代が高ければ高いほど、省エネ製品の魅力が高まる。今でも環境基準の表示が出ており、例えばエアコンでは電気代が年間1万円違うという例もあるので、より省エネに配慮した製品が売れる。最近では省エネに配慮した冷蔵庫も出ているし、家の断熱材、空調設備などいろいろな分野で創意工夫ができて、それが新たな事業を作り出すところもあると思う。基本的には、民生、家庭や運輸だが、そこは不特定多数の人が利用する分野なので、単に価値観のPRだけでは大きなことが進まない。そう考えると、税もひとつの手段として有効ではないか。

だた、環境税導入が増税に繋がるべきではないので、法人税や消費税、所得税の削減を見直すなどバランスを取るべきだ。個別省庁の利益で議論するのではなく、税体系の中で議論した方が良い。しかし、今のような額では経済効果は少ないのではないか。

Q: ソーラーなど省エネに繋がるような製品を買った場合に補助が出るということを想定しているか。

北城: 補助金は、出すための手続きなどにコストもかかるので、一般的な政策としてはあまり効果的ではないと思う。省エネ製品や風力発電などの経済的魅力が高まり、ある程度、費用負担の高い方が、技術革新が起こる。一方、鉄鋼など原材料で炭素を使う業界にとっては非常に大きな痛手になるので、そのような業界には減税などの措置が必要だろう。

ヨーロッパを見ても、炭素税を導入してもいろいろな減免措置が行われているので、そのような配慮は必要だ。今の発言はあくまで一般論なので、何が好ましいかは来年発表したい。

Q: 「増税すべきではない」というのは、今の経済環境からの発言か、それとも今回の環境省案のスキーム自体も問題だとお考えか。

北城: 基本的に、増税する/しないは、財政再建の大きな方向を決め、その中でいろいろな政策手段を検討すべきだ。税を増やすのか、それとも給付を下げるのかを決めた上で議論すべきだし、特に歳出削減をもっと努力すべきだ。歳出削減が十分されないうちに、増税だけが先に行われることには反対する。 また、景気が踊り場にきているなかで、簡単に増税すること自体、国民へのメッセージとして良くない。基本は大きな方針を決めてから、増税すべきかどうかを議論すべきだ。

環境税のスキームについて、金額については費用と効果を精査すべきだし、補助金を増やすというやり方を好ましいとは思っていない。また、川上・川下の議論については、川上で課税した方が効果があるものについては、その方法もあると思う。

三位一体改革について

北城: 三位一体改革について、賛否両論がある中で地方6団体の知事があれだけの意見をまとめたのだから、小泉首相も地方6団体の意見を尊重し、地方を信頼し、税源委譲と補助金削減を実行していただきたい。地方を信頼しないと地方自治の議論は出来ないと思う。企業と同じように、国と地方の行政のあり方も、現場に権限を委譲した上で議論を進めるべきだろう。その際に、補助率を引き下げて補助額を調整するだけでは、地方の創意工夫がなされないから、補助金そのものの削減を目指すべきだと思う。来年の骨太の方針を発表する際に、交付税も含めて長期的にどのように改革を進めていくのか、政府の意見を明らかにしていただきたい。地方の同友会でも議論を行い、地元の知事が反対している項目があっても、今回は賛成している。人材難などの問題も指摘されているが、失敗があれば創意工夫が生まれるものだし、まずは地方に任せることが必要だと思う。

以上

(文責:事務局)


ローカルナビここまでです。

ここからサイトのご利用案内です。

スマートフォン版サイトに戻る

サイトのご利用案内ここまでです。