代表幹事あいさつ

「共助資本主義」で挑む
社会経済「令和モデル」への転換

daihyo2304.jpg
経済同友会 代表幹事
新浪 剛史
サントリーホールディングス
取締役会長

1:共助資本主義
 私は、代表幹事に就任した 2 年前に「共助資本主義」という理念を提唱し、その実現を訴えました。米国に見られる、ビッグテックや金融業界が成長の果実を独占し、超個人主義が蔓延する「収奪的社会」を、今こそ、コミュニティーで助け合う「包摂的社会」に変えていく必要があると私は確信しています。これを実現する新たな理念が「共助資本主義」です。
 2024 年にノーベル経済学賞を受賞したダロン・アセモグル教授らは、政策と制度設計によって社会に包摂性を取り戻すべきと警鐘を鳴らしています。
 私は代表幹事に就任して以来、新公益連盟やインパクトスタートアップ協会など多様なセクターと連携しながら、共助資本主義の実現を目指してきました。
 共助資本主義は、決して成長を否定するものではありません。包摂的経済社会において、失敗を恐れない果敢な挑戦とそこに宿ったアニマル・スピリッツは、イノベーションを生み出し、企業に成長をもたらします。同時に、社会からの信用を得て、中長期的に企業価値を高め、そこから生まれる活力が共助を支えていきます。こうした「挑戦」と「包摂」の両立がつくる循環を世界に先駆けて実現していこうではありませんか。

2:新陳代謝による経済の再成長
 共助を支える企業の成長力を高めるには、新陳代謝によるダイナミズムが不可欠です。企業の合従連衡などが必要な一方で、役割を終えた企業は市場からの退出もやむを得ません。実質賃金の恒常的な引き上げが必要ですが、競争力ある企業は、魅力的な機会や待遇を提示し、優れた人材を集め、さらなる成長を遂げることができます。人材の流動化は、ダイナミックな新陳代謝を促す力の源泉です。特に、雇用の約 7 割を占める中堅中小企業には、人材や技術に投資する体力を培うための合従連衡が必要です。

3:重点7分野における「令和モデル」
 デフレマインドから脱却しつつある今、日本は実態から乖離した因習や仕組みを廃止し、時代にマッチした「令和モデル」に置き換えていく必要があります。具体的には、次の7つ―①「公助」の効果と効率の引上げ、②制度改革や技術による人口減少、人手不足の克服、③既得権益の打破に向けた規制改革、規制緩和、④財政規律の維持と戦略性を持ったワイズスペンディングの実行、⑤中央集権的政策から脱却した地域創生、⑥カーボンニュートラルや電力需要増に応じたエネルギー戦略の実行、⑦地政学リスクを乗り越える外交・安全保障政策―を重要な視点に、課題に取り組むべきと考えます。

4:会員エンゲージメントを高める活動の強化
 代表幹事2期目の運営では、会員が最先端の知見を学ぶラーニングの場とネットワーキングの機会のさらなる拡大や、政策提言を実現する粘り強い取り組みを通じて、会員エンゲージメントを一層向上します。 
 また、創立 80 周年にむけたシンクタンク機能の設置や、広報戦略の強化により本会提言への社会の共鳴を生み出し、政策の実現性を高めることに取り組みます。

PAGETOPへ