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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2003年07月29日(火) 13:30~
出席者 北城 恪太郎 代表幹事
渡辺 正太郎 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で(1)<軽井沢アピール>「『政権公約(マニフェスト)』で競う総選挙の実現を」に対する反響、(2)民主党・自由党の合併、(3)6月の完全失業率0.1%改善、(4)冷夏における経済への影響、(5)郵政公社民営化、(6)小泉総理の「政策転換はしない」発言、(7)産業再生機構、(8)道路公団について発言があった。
その後、コメント「全額目的消費税で賄う新基礎年金制度の導入によって将来不安の払拭を」を発表し、持続可能な形で将来不安を解消する年金制度について述べた。

Q: 先日夏季セミナーで発表した<軽井沢アピール>「『政権公約(マニフェスト)』で競う総選挙の実現を」について、反響はあったか。

北城: 今回の夏季セミナーでは、主として経済政策・構造改革に関する経済同友会の提言を、マニフェストの形でまとめて発表したが、各党がマニフェストを作る際の参考にして頂いていると思う。政治家からの問い合わせも何件か入っている。経済同友会が発表したマニフェストには、時期、手段、財源、達成目標等について明示しているので、各党からのマニフェストにもそれらが提示されることを期待している。「大胆な改革」では、実際に達成されたかどうか分からないので、達成したかどうかを評価できるものが、マニフェスト(政権公約)として出てくることを期待している。

Q: 民主党・自由党の合併についてはどのようにお考えか。

北城: 小選挙区制の導入以来、二大政党の政権交代が可能な仕組みができることが、日本の政治として望ましいとされてきた。今回の合併に伴って、二大政党の形が整ったと思う。これから作られる政権公約に各々の政策が提示されることで、国民に選択の機会ができたと思っている。自民党も総裁選の後、党としての政権公約を作るということで、二つの大きな政党から政権公約が出されることにより、政策を中心とした議論が進むことを期待している。

1年以内に総選挙が行われるが、選挙に勝った政党の党首が首相になるという実質首相公選制なので、政権公約についての議論が深まることを期待している。

Q: 今日6月の完全失業率(5.3%<前月比0.1%改善>)が発表された。医療・福祉などのサービス産業での雇用がリードする形で回復するのか、またその傾向についてどのようにお考えか。

北城: 失業率が少しとはいえ、改善の方向にあるのは好ましいことだと思う。経済の色々な指標を見ても、株価が持ち直し、企業経営の利益の観点で回復の兆しがあり、大手製造業でも設備投資の面で少し強気の見方が出てきている、ということと併せて失業率が改善したことは明るい兆しだと思う。

医療・福祉を含めたサービス産業・生活者産業において雇用が増えているとのことだが、こうした産業そのものが雇用の場を創り出す、実際に社会的な需要もあるので、このようなところで雇用が増えることは好ましいと考える。

Q: 今年は冷夏で、エアコン等の消費に影響を与えていることについて、懸念はあるか

北城: 冷夏ということで、エアコンも含めて需要の面で影響が出ると思うが、経済全体としては夜明け前の状況にあると感じている。暗い夜が長く続いているが、色々な指標を見る限り夜明けの兆しはある。ここで本当に夜が明けるような経済対策を取らないと、引き続き暗い状況も続きかねないという転換点にきているのではないか。そういう意味で、規制をなくして需要や雇用を作り出す、あるいは官から民へ、中央から地方へという大胆な政策が必要だと思っている。

また年金等についても持続可能な制度を作るということで将来への不安をなくすことにも繋がるし、医療や、財政改革等の大方針をこの段階で作って実行していくことで、日本の経済構造が変わるということを示すことができる。それが国内での景気回復とともに、海外から日本への投資を増やすということにも役に立つのではないか。今の株価を見ても、海外から国内への投資が非常に大きいので、それが継続的に続くということが重要だと思う。

Q: 小泉首相が郵政公社の民営化について2007年という期限を明確にしたが、どのようにお考えか。

北城: 郵便事業、郵貯、簡保について民営化の方向で検討が進むということは好ましいことだ。郵政公社も、生田新総裁のもとで経営体質強化のための生産性向上の施策を実行されているし、いずれ民営化するにしても、競争力のある生産性の高い組織になっていることが国民の側から見ても好ましいことだと思う。公社として健全な経営体質に持っていくことと、政治の決断として民営化に進むことは好ましいことではないか。

特に郵貯・簡保について言えば、日本の金融制度を考えたときに、預金などの資金調達面や支出の面で公的な金融機関の占める割合が諸外国と比較しても高いということから、民営化していくこと自体は好ましいことで、これも構造改革の一環だと思う。しかし、郵政事業あるいは道路公団の民営化だけが構造改革ではなく、構造改革には、規制緩和、年金制度、官から民へ、中央から地方へ、という多くの課題があるので、これらについても具体的な方針がマニフェストという形で提示されることを期待している。自民党だけではなく、民主・自由両党が合併した新党でも構造改革についてどのような方針が出されるか期待している。

Q: 今日総理が、政策転換はしないということを改めて示されたが、これについての評価は?

北城: 経済同友会の中にもいろいろな議論があるが、構造改革を進めて、新しい事業分野で需要や雇用を作り出すということに、まず取り組むべきではないか。特に規制緩和は重要なテーマだ。構造改革を実行し、年金や医療についての将来不安をなくし、財政の規律を守ることが重要ではないか。ここでさらに財政出動をすれば、財政規模が大きくなり、短期的にはGDPを引き上げる効果はあるかもしれない。しかし、長期的に持続可能かといえば、いずれプライマリーバランスを均衡化させなければならない。例えば年10兆円財政出動をするということになると、その後、プライマリーバランスの均衡のためにより多くの削減をしなければならない。政府の規模を拡大した上でのプライマリーバランスの均衡は非常に難しい。そういう意味で、長期的な展望からすれば大変厳しい環境ではあるが、今財政出動するより、歳出の中身の組み替え、規制緩和、年金や医療の将来構想を作り上げることに、まずは取り組むべきだ。夏季セミナーでも製造業の経営者を中心にこうした意見が多かったと思っている。

金融機関の不良債権処理は進めなければならないが、不良債権処理を進めても新たな不良債権が発生するので金融機関だけでは対応できない問題もあり、景気の回復が重要だということについては我々も同じような認識をしている。不良債権処理をすれば景気が回復するということではないとは思うが、景気の回復のための施策を構造改革も含めて大胆に早く実行する必要がある。あまり長い時間をかけると改革の過程での痛みが非常に大きく出るので、半年、一年、一年半という短い期間で大胆な改革を実行し、その成果が国民にわかる形で見えてくるということが重要だと思っている。

Q: 政策転換しない、という総理の発言を支持・評価するということか。

北城: 基本的な構造改革の方針は適切な方向ではないかと思う。特区の制度の導入、再生機構の活動、いくつかの規制分野での改革が行われたので、一歩前進したと思う。しかし、改革で大きく需要が拡大した、雇用が拡大したというには不十分な点もあると思うので、方向としては適切だと思うが、改革のスピードは高める必要がある。

株価の回復がこれまでの経済政策の成果だという見方もある。企業業績も回復基調にあるし、もともと株価は企業経営者が自らの会社の経営力を高めて業績を上げる、売上や利益を上げるというのが大前提ではあるが、全体の政策として日本の経済を支える方向を強化するということは政治として必要だ。しかし、その成果が出たから株価が上がったかということになると、一部企業業績の回復によって将来への期待はあがったと思うが、株価を支えているのは海外からの投資だと思う。米国の株式市場が非常に堅調だし、今のところ米国の景気回復が見込まれるということで、グローバルな投資におけるポートフォリオ・バランスの観点から日本株の比率を高める、ということで日本への投資が進んでいるように見える。ここで安心せずに改革のスピードを高める必要があるのではないか。

政策転換をしないという方向としては適切だと思うが、さらに大胆にスピードを上げて、スリムな競争力のある国を作っていく必要があるのではないか、と思っている。

Q: 産業再生機構が動き出しているが、感想を聞きたい。

北城: 具体的に産業再生機構の対象になる会社の名前が出てきて、いくつかの会社の再建策について、いろいろな活動が出てきている。また、産業再生機構の対象になる可能性があるということだけで株価が上がっている会社もあるようなので、産業再生機構の活動に対する期待は高まっていると思うし、活用しようという機運は高まると思う。

本来的には産業再生の事業分野も民間企業が手掛けて良い分野だと思う。海外からの再生ファンド等の日本への進出もあり、日本国内での実績が少ないということで、国がリーダーシップを取って実現した機構であるが、成果が出て、なおかつこうした再生ビジネスが広く日本の中で展開されることは、日本の競争力を高めるためにも好ましいと思っている。早く実績が出て、産業再生機構のみならず、いろいろな事業体が再生ビジネスに取り組むことが望ましい。

Q: 産業再生機構は当初大手企業が中心ということだったが、現実に名前の出ている企業は中小が多い。これについて、特に問題はないと考えているか。

北城: 第一陣として、本当に企業再生が実現できるという方針を示せる企業であることが望ましいが、大手企業でなければいけないということではない。国が政策として実行した施策が経済運営そのものに大きな影響を与えない、つまり小規模、少数の件数しか出ないということでは、経済の再生には結びつかない。不良債権の処理を進めるという観点からも、ある程度の件数と規模が実現される必要があると思っている。産業再生機構の成果としてどれだけの企業の再生に貢献したかということが、最終的に損失が出たか利益を上げたかということ以上に重要だと思っている。産業再生機構として、この政策が成功したかどうかの基準作りが必要になってくると思う。

Q: 道路公団の財務諸表問題について、どのような印象を持っているか

北城: 道路公団が事業体として経営していくうえで、経営が健全であるかどうかを評価するという意味で、あるいは資産、バランスシート、損益、フローのいずれの観点からも財務諸表を整備していくことは重要なことだ。バランスシートを作る際の判断基準、例えば道路を資産としてどのように計上するかについて色々な考え方があるので、まずは基本的な仕組みを決めた上で、適切に資産が計上されているかを評価することは必要なことだ。そういう意味で基準作りを急ぐことと、基準に基づいてバランスシートを作成し、第三者に評価されることが重要だと思っている。

Q: コメント(「全額目的消費税で賄う新基礎年金制度の導入によって将来不安の払拭を」)をこのタイミングで発表する理由は何か。

北城: 先日、年金の不払いの報道があったので、非常に重要なテーマであり、国民の将来不安のひとつの大きな原因になっているので、もう一度経済同友会の基本的な考え方を皆さんにお伝えした。

以上

(文責:事務局)


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