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透明性と説明責任ある政党ガバナンスの確立により、国民の信頼の回復を
―政治資金事案に対する意見―

公益社団法人経済同友会
代表幹事 新浪 剛史

本文

 自由民主党派閥による政治資金パーティーの不適切な会計処理問題は、政治資金規正法違反である。政党・派閥のあり方、政党のガバナンスなどの古き政治体質という根源的な問題が再び露呈したことにより、「平成の政治改革」の不完全性が明らかになった。繰り返す「政治とカネ」の問題に国民の政治に対する信頼は失墜している。

 海外の政治・経済情勢の不確実性や30年にわたるデフレ完全脱却の気運の高まりなど国内外の諸課題が複雑化・輻輳化する今、国家の意思決定を行う政治の停滞は許されない。政治家は今回の事案の責任を重く受け止め、今一度原点に立ち返り、「令和の政治改革」ともいうべき抜本改革に取り組むべきである。

 政治制度は政治家自らが変革しなければ変えられない。翻って、政治のガバナンスが確立しないことは有権者としての我々の責任でもある。国民の政治参加を棚上げし、政治にガバナンスの構築・強化を要請することは無責任である。政治家を選んでいるのは国民であり、政治を変える担い手は国民であることを強調したい。経営者、企業としても、透明性の高い政治活動をしない政党、政治家に対しては投票、献金をしないという強い意思が必要である。

 経済同友会としては、「政党本位・政策本位の政治」の実現をめざした「令和の政治改革」についての検討を開始するとともに、令和臨調とも協働し改革に取り組んでいく所存である。

1. 政治資金の透明性の向上とガバナンス強化
―― 政治資金規正法の改正(透明化・厳格化)

 代議制民主主義はコスト(時間、カネ、情報等)をかけて合意形成を図る仕組みであり、一定の資金が必要であるからこそ、政治資金の収支の公開については透明な仕組みが必要である。
 政治資金の透明性向上に向けては、政党や政治家に対して上場企業並みの情報開示や監査制度を義務付けると同時に、独立した監視機関を設置すべきである。

 なお、政治資金においては、まず、支出の検証により構造が解明され(「政治にいくらかかるのか」)、その支出構造に対する国民の納得を得ることが重要である。収支報告書に記載されている支出は、一定金額以上のものについては費目別の個々のデータの羅列であり情報量が膨大で纏まりがない上に、一人の政治家が複数の政治団体を保有しているため、政治資金が全体としてどのように集められ、どのように使われているのかが分かり難い。一人ひとりの政治家の政治資金の全体像が分かり易く開示されることが重要である。加えて、一つの考え方として、各党が標準的な議員の政治活動と政治資金の総額を調査・開示することも一案である。

<今通常国会中に解決すべき課題>
① すべての政治団体に対する名寄せ・デジタル解析を可能とする政治資金収支報告書アプリケーションソフトの統一化・標準化とWEB公開の義務化
② 寄付とパーティー券の公開基準を5万円超に統一
③ 政治資金に関する現金授受の禁止、指定口座の使用を義務化
④ 政治資金に関する会計監査の徹底(使途や表記の妥当性・適正性の評価の検討)と監督機能強化
⑤ 政治資金の管理・監督のための独立機関の設置(日本版FEC)に向けた検討
⑥ 政党支部数の制限と名寄せの徹底
⑦ 連座制の導入
⑧ 政策活動費の使途公開と上限規制および調査研究広報滞在費の使途公開の義務付け

2. 政党ガバナンス・コードの策定・強化と政党法の検討を

 今回の政治資金問題を機に、まずは、各政党は「政党ガバナンス・コード」を策定・強化し、透明性の高い党運営に真摯に取り組むべきである。ガバナンス・コードには党綱領やガバナンス・コードの制定・公開、代表選挙の方法や党役員の任期の明確化、候補者選定方法の明確化・透明化、候補者のリクルートや育成システムおよび任用等人事のルール、倫理規定の制定などの義務化などを明記する。

 企業のガバナンスは会社法改正、スチュワードシップ・コードやコーポレートガバナンス・コードの策定などにより、適正なガバナンス体制を構築するための環境は、この10年で格段に向上した。一方、自由民主党は2022年に日本初の政党のガバナンス・コードを策定したが、上場企業に求められるコーポレートガバナンス報告書のような公開制度もなく、遵守状況が不明瞭となっている。また、内部統制システムに関する方針やその整備状況に関する内容が規定されていないため、法令等の違反の発生可能性やその対処策についても有権者が確認できる仕組みにはなっていない。
 自主的な取り組みである政党ガバナンス・コードに規定や処罰はない。頻発する政治資金問題など政党を中心とした様々な事案が露呈し国民の信頼が低下している現状を鑑みれば、本会がかねてから主張してきた「政党法」の制定を真剣に議論・検討する時期を迎えている。

以上

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広報誌『経済同友』本文掲載記事(2024年2月号)

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