政策提言

就業者負担軽減支援金を軸とする 社会保障・所得税の一体改革
~中低所得者の負担軽減と勤労意欲の向上に向けて~

# 社会保障 # 税制 # 財政
財政・金融・社会保障委員会
委員長 菊地 唯夫
(ロイヤルホールディングス 取締役会長)
委員長 深澤 祐二
(東日本旅客鉄道 取締役会長)
委員長 福留 朗裕
(三井住友銀行 頭取CEO(代表取締役))

本提言では、就業者負担軽減支援金の導入、再分配・就労促進に資する所得税改革、関連する社会保障制度改革を一体で進める「三位一体改革」の枠組みのもと、「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」における「財源」・「実施主体」・「所得捕捉精度の向上」の3つの課題を中心に本会の考え方を示します。

提言のポイント ※詳細は、別添の提言概要および本文をご確認いただきますようお願いいたします。

【本提言の全体像(第Ⅰ章)】
・就業者負担軽減支援金は、国民生活の安定のみならず、経済成長にも資する
・中低所得者の負担を社会全体で支える取組みを「共助成長社会」の実現につなげていくことが重要
・現在の技術で実現可能な最も効率的な制度とする観点から、新たな支援は「給付」に一本化
・就業者負担軽減支援金の導入、再分配・就労促進に資する所得税改革、関連する社会保障制度改革を三位一体で実施することにより、中低所得者の負担軽減と勤労意欲の向上を図り、主要国と比べて、低所得層では高く、高所得層では低いわが国の純負担率の構造を適正化

【大綱における3つの課題と本会の考え方(第Ⅲ章)】
1.財源
・財源確保を先送りしたまま制度創設だけを決めるべきではない
・財政の持続可能性と市場の信認を維持するためにも、制度創設に伴う所要額(本会は1.70兆円程度を想定)を明らかにした上で、法案審議と合わせて財源確保の道筋を示すべき
・単に確保しやすい財源を求めるのではなく、支援金の政策目的と整合的な形で財源を確保すべき
⇒ 徹底した歳出入改革と再分配・就労促進に資する所得税改革により恒久財源を確保

項目

内容

確保できる金額(国税)

歳出入改革

中小企業向け賃上げ促進税制の廃止

3,300億円程度

所得税改革

配偶者控除・配偶者特別控除の廃止

4,500億円程度

所得控除から税額控除への移行(基礎控除・扶養控除)

5,400億円程度

金融所得課税の強化(利子、配当、株式等譲渡益の課税率:15→17.25%) ※NISAを除く

3,800億円程度

 

計

1.70兆円程度

2.実施主体
・国が実施すべき(ただし、2027~2028年度は暫定的に市町村)。人的リソースが限られる自治体に事務を分散させず、事務の重複や行政コストを抑制
・平時から国が直接給付できる基盤を整備し、有事にも迅速な給付を実現

3.所得捕捉精度の向上
・住民税非課税ライン以下を定額支援とする背景にある所得捕捉の課題を残したまま制度を固定化すべきではない
・就業形態や所得の種類にかかわらず公平な制度とするため、目標時期を明確に定め、自営業者やスポットワーカー等の支援額の判定に必要な所得の捕捉精度を段階的に高めるべき

【三位一体改革の工程(第Ⅴ章)】
・2027年度に就業者負担軽減支援金を先行導入
・2029年度から国による本格運用へ移行するとともに、金融所得等の勘案や所得捕捉精度の向上、所得税改革、第3号被保険者制度の廃止等を段階的に進める
・2034年度から、勤労所得が生じた段階から支援額が逓増する最終形へ移行

【企業・政府が果たすべき役割(第Ⅵ章)】

企業

 政府の取組みと歩調を合わせ、2033年度までに以下の取組みを推進
 ①生産性向上を通じた持続的な賃上げ(純負担率の適正化に伴い負担が増す所得層も意識)
 ②非正規社員の能力開発・キャリア形成支援と希望に応じた正社員化
 ③支給基準に配偶者の年収制限を設ける福利厚生の見直し(家族手当など)
 ④個々の事情に応じた柔軟な就業環境の整備(育児・介護・治療・家族のケア等との両立支援)
 ⑤給与情報のデジタル化等を通じた税務行政のDXへの協力

政府

 給付付き税額控除の検討を通じて明らかとなった諸課題への継続的な対応
 ①デジタル技術の活用(技術の進展を踏まえた不断の検証と見直し)
 ②社会保障国民会議における継続的な議論(社会保障制度の抜本改革)
 ③財政全体の持続可能性の検証(独立財政機関の設置を含む)

以上

本文 概要

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