政策提言

2025 年度社会の DEI 推進委員会 報告書
『共助成長社会の実現に向けた、経営者による DEI の実践』

# ダイバーシティ # 人材 # 企業経営
2025年度社会のDEI推進委員会
委員長 田代 桂子
(大和証券グループ本社 顧問)
委員長 安渕 聖司
(アクサ生命保険 会長)

 企業を取り巻く経営環境は、人口減少、地政学リスク、技術革新などにより不確実性が高まっており、企業が持続的に成⾧するには、多様な人材の力を引き出し、変化に対応できるレジリエンスの高い組織づくりが不可欠です。本委員会では、DEI を人的資本経営の基盤であり、生産性やイノベーション、環境変化への対応力を高める重要な経営アプローチとして検討してきました。
 2025 年度は、インクルージョン/アライシップを軸に、政策担当者・有識者からのヒアリングに加え、視察やパネルディスカッションなどの実践活動を行い、それらの活動を通じて得られた示唆をもとに、本報告書を取りまとめました。
 経済同友会では、今後も共助成⾧社会の一翼を担うDEI について検討を深めるとともに、これまで積み重ねてきた実践活動を継続的に推進し、企業における定着と実践の深化につなげてまいります。

報告書のポイント ※詳細は、別添の報告書本文をご確認いただきますようお願いいたします。

【委員会としての問題意識】

  • DEI は、性別、人種、国籍、障がいといった外見的・属性的な違いにとどまらず、価値観や考え方を含む多様性を前提に、一人ひとりの違いに応じた公平な機会を保障し、誰もが安心して能力を発揮できる状態を実現するための包括的な考え方である。
  • DEI の推進は、新たな価値観や社会的要請への対応にとどまらず、人的資本経営の中核をなす重要な経営戦略であり、組織の競争力とレジリエンスを高めるための基盤。
  • 日本企業は国際的に見てDEI に関する各種指標で低い水準にあり、DEI を形式的な取り組みではなく、経営基盤を強化するための戦略として位置づける必要がある。

【活動を通じて得られた知見、経営者としての気づき】

1. 全体最適の起点としてのDEI

  • 多様な人材が働きやすい職場環境を整えることは、特定の人への配慮にとどまらず、組織全体の働きやすさや生産性の向上につながる。
  • 人手不足が深刻化する中で、社員の離職を防ぎ、エンゲージメントを高めることは企業の持続的成⾧に直結する経営課題である。

2. 制度・トップ・現場の三位一体が実効性を高める

  • 多様な人材の活躍には、制度・仕組みの設計、トップ起点の明確な方針、現場における実践の三つが相互に機能することが重要。
  • DEI によってどのような変化や価値が生まれているのかを可視化し、現場の小さな実践や試行錯誤を組織全体に共有・展開することで、理解と行動変容が広がる。

3. DEI 推進の本質は、一人ひとりに向き合うこと

  • 属性によって人を一括りにするのではなく、従業員一人ひとりの特性、背景、就労上の状況を丁寧に把握し、その人が能力を発揮できる環境や働き方を検討していくことが重要。
  • 一人ひとりの声に向き合いながら試行錯誤を重ねることが、従業員の納得感、定着、活躍につながる。

4. 企業の主体的な実践と社会との協働が経営基盤を強くする

  • DEI は、職場環境の整備、制度設計、マネジメントの変革、現場の意識改革など、企業が主体的に取り組むことで前進させることができる経営課題。
  • 一方で、従業員が安心して⾧く働き続けるためには、住居、教育、医療、交通インフラなど、生活基盤としての地域環境が整っていることも重要。企業単独で完結させるのではなく、自治体、NPO、他企業、地域社会など多様な主体との協働が不可欠である。

5. 将来の定住社会を見据えた地域モデルとしての浜松の示唆

  • 外国人材を一過性の労働力としてではなく、ともに日本社会の将来を支える一員・仲間として捉え、企業・地域・国が連携して受け入れていく必要がある。
  • 浜松視察では、浜松市が外国人住民を労働者ではなく定住する「生活者」として位置づけ、行政、教育機関、支援組織、企業が一体となって支える仕組みが確認された。
    これは今後の日本社会における地域モデルとして重要な示唆を持つ。

【これからの活動に向けて】

  • 企業経営者には、DEI をコストや義務としてではなく、組織価値を高める投資と捉え、自社の経営戦略と結び付けて実践していくことが求められる。
  • 経済同友会としても、DEI の実践を委員会内の取り組みにとどめず、同友会全体の各種プログラムへ体系的に組み込んでいく。現場視察や対話、参加型の取り組みなどを通じて、会員一人ひとりがDEI を“体験”として理解する機会を継続的に提供し、同友会全体への自然な浸透と実践の深化を目指す。
  • 制度や地域インフラなど企業の努力だけでは対応が難しい課題については、関係主体との政策対話を進め、選択的夫婦別姓制度の実現をはじめ、DEI を支える社会的基盤の整備と持続的な環境づくりに取り組む。

以上

本文 概要

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