政策提言

予防・健康づくりは“コストからアセットへ”
~民間投資・地域による公的保険外市場拡大~

# 医療・介護 # 地域経済 # 社会保障 # 規制・制度改革
2024年度経済・財政・金融・社会保障委員会 委員長/予防・健康づくり検討チーム
座長 岩﨑 真人(IGPIグループ シニア・エグゼクティブ・フェロー)
副座長 武藤 真祐(鉄祐会 理事長)

本文 概要

提言のポイント ※詳細は、別添の提言概要および本文をご確認いただきますようお願いいたします。

 人口減少・少子高齢化が急速に進行するなかで、生産年齢人口の減少による労働供給制約など2040年問題を見据えた経済成長や社会基盤の持続可能性に関する課題は深刻化しています。本提言では、その対応策として予防・健康づくりに着目し、国民の健康寿命を延ばし、年齢に囚われず働く意思のある人が働くことが可能で、高齢期を迎えても活躍できる社会の実現を目指します。提言では、公的保険市場への依存には限界があるなか、予防・健康づくりを「コストではなくアセット」として捉え、民間と地域による付加価値創出に向けた積極投資を通じた「公的保険外の予防・健康づくり市場」拡大の好循環メカニズム形成を企図しています。その実現に向けた企業や地域が民間サービスや地域のリソースを最大限活用するための制度・規制改革、税制等の政策および個人の行動変容の各種施策を提案します。

施策名

概要

1.民間サービス提供者の新規事業創出・投資拡大の推進

(1) スタートアップ企業などを中心とした予防・健康ビジネス支援

〇当該領域に特化した競争的(公募)財政支援制度の導入、研究開発税制見直し活用など

(2) 医療法人による予防・健康づくりに関する取り組みの収益事業の認可

〇収益事業拡大に向けた医業外収益対象拡大や収益事業認可、理事長要件の見直し

(3) 薬局による予防・健康づくりサービス提供のインセンティブ付与

〇地域支援体制加算の実績要件の見直し(健康サポート薬局認定要件の一部見直し)

2.個人への動機づけを行う企業および地域の施策

(1) 企業に対する支援

〇協会けんぽおよび市町村国保の健診合同実施、予防的ヘルスケアサービス提供など

(2) 地域に対する支援

〇産官学医プラットフォームの設立、普通調整交付金改革による財源確保、SIB活用など

(3) 個人に対する支援:セルフメディケーション促進

〇セルフメディケーション税制の税額控除化(一律10%)、手続きの軽減等見直し

3.予防・健康づくりへの投資を支えるデータインフラの整備

(1) 政府のデータ活用・社会実装およびPHR二次利用促進に向けた制度改革

〇PHR事業者の二次利用に対する個人の包括的な許可・撤回を一元的に管理できるUI・API整備、倫理審査基準の標準化・人材育成など

(2) マイナポータルを活用した健診率の向上

〇市町村国保や健保組合等の健診データ閲覧を可能とした検診プッシュ通知実装

(3) 予防・健康づくりのためのデータヘルス促進に向けた政府組織の一元化

〇健診データの標準化に向けた省庁横断体制の構築

以上

PAGETOPへ