能動的サイバー防御の実現に向けて
~サイバー対処能力強化法案及び同整備法案の早期成立を~
委員長 伊藤 穰一
委員長 上野山 勝也
委員長 鈴木 国正
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サイバースペースは、情報アクセスの民主化、ネットワーク拡大、経済機会創出など多大な恩恵をもたらす一方、サイバー攻撃や偽情報拡散といったリスクも伴う。企業の成長投資の加速化やビジネスモデルの変革のためにはDXの活用が必須である中で、サイバー攻撃の手法は一段と巧妙化、高度化、複雑化、組織化している。デジタル化の進展は恩恵とリスクが表裏一体であり、サイバーセキュリティ対応能力の向上は急務となっている。
あらゆる場面でサイバー攻撃の脅威と対峙する「Cyber Security Everywhere」時代に突入したという認識のもと、法案化に向けて有識者会議において取りまとめた「サイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた提言」において、官民連携の強化、情報通信の利用、アクセス・無害化、NISCの役割や人材育成・確保など横断的課題について迅速な議論を行ってきたことを高く評価する。これに基づき、今般、政府は本年、2月7日に能動的サイバー防御の実現に向けた「サイバー対処能力強化法案及び同整備法案」(以下、法案)を策定し、閣議決定した。本法案に関して、通常国会での早期成立を期待する。
経済同友会では、昨年10月に「『Cyber Security Everywhere時代』~経営者の8つのアクションと政府への6つの提言~※1」を公表し、能動的サイバー防御の早期導入、重要インフラ事業者への報告義務化などを提言した。本法案はその点を踏まえており、早期実現に向けて国会において熟議いただきたい。
加えて、新たな官民連携組織の在り方、サイバーセキュリティ人材定義と可視化、企業のサイバーセキュリティ対応における情報開示、サイバーセキュリティ産業振興、サイバー保険の在り方などの法案以外の課題についても速やかに取り組むことを望む。
以上
※1 「 Cyber Security Everywhere」時代 ~経営者の8つのアクションと政府への6つの提言~|経済同友会