政策提言
新たな政治体制下で求める労働市場改革に関する意見
ー持続的な成長と継続的な賃金上昇の二兎を追う、令和モデルの労働市場をー
人材活性化委員会
委員長 峰岸 真澄
(リクルートホールディングス 取締役会長 兼 取締役会議長)
委員長 安渕 聖司
(アクサ生命保険 取締役社長兼CEO)
委員長 峰岸 真澄
(リクルートホールディングス 取締役会長 兼 取締役会議長)
委員長 安渕 聖司
(アクサ生命保険 取締役社長兼CEO)
意見のポイント ※詳細は、意見本文をご確認いただきますようお願いいたします。
足元ではコストプッシュ型インフレにより、消費者物価指数の伸びに対して賃金上昇が追い付かず、実質賃金の低迷と家計への圧迫、消費への悪影響が続いています。直近2年は約30年ぶりの高水準の賃金上昇が実現し、今後、2025年の賃金引上げに係る労使間協議が予定されています。「消費者物価指数以上に賃金が上がる」というノルム形成には大企業から中小企業に至るまで、分配の原資となる生産性の向上が不可欠です。
当会は、政府が掲げてきた「三位一体労働市場改革」(リ・スキリング、ジョブ型人事の導入、労働移動の円滑化)の基本的な考え方に賛同しており、新政権でも着実な実行を求めます。本意見では、さらに労働市場を令和モデルに転換していくために必要な4つの視点を提示し、労働市場改革の考え方と改革の方向性を示しています。
与野党には物価高と労働供給制約という苦境を乗り越え、成長と賃金上昇の好循環を実現するため、労働市場改革に係るタブーなき政策論議を強く期待します。
【今後の労働市場改革に必要な4つの視点と改革の方向性】
- 新陳代謝の加速や成長セクターへの円滑な労働移動の促進
低生産性・低収益企業への過度な延命策の廃止/事業承継支援、経営難の企業による私的整理の円滑化/人的資本情報の開示要請強化/副業時の労働時間の通算管理ルールの廃止/企業内のアップスキリング投資の促進 - 労働供給制約や労働市場の流動化を前提とした雇用セーフティネットの整備
教育訓練給付や公共職業訓練におけるアップスキリング支援の拡充/雇用形態の多様化に対応した雇用保険等のあり方の検討 - 産業競争力の強化と多様な個人の活躍を可能とする労働法制への見直し
個人の体力や意欲に応じて働きたいだけ、自律的に働くことを選択でき、新たな付加価値創造に繫がる労働時間規制のあり方の検討/不本意な解雇に際して(原職復帰を望まない)個人が次なる職場に安心して移るためのルール整備 - 労働市場の変容と一体的な税制・社会保障制度の再構築
健康寿命の延伸を踏まえた、経済社会の支え手の確保/働き方の中立性の確保
以上