政策提言

地方創生の加速に向けて
~近隣地連携・遠隔地連携のさらなる推進を~

# デジタル化/IT # 地域経済 # 地方行財政 # 起業/スタートアップ
地域共創委員会
委員長 山下 良則
(リコー 取締役会長)
委員長 地下 誠二
(日本政策投資銀行 取締役社長)
委員長  野田 由美子
(ヴェオリア・ジャパン 取締役会長)
報告書のポイント ※詳細は、本文(PDF)をご確認いただきますようお願いいたします。

本文

 人口減少が一層深刻さを増す中、とりわけ加速度的な人口減少が予測される、30万人以下の基礎自治体の持続可能性を高めることが急務です。しかし、財源・人材の不足を考えると、個々の自治体が単独でできることには限界があります。
 本報告書では、「自治体間連携を強力に推進する必要性」を打ち出すとともに、視察を通して浮き彫りとなった連携成功の共通項を踏まえ、国・都道府県・基礎自治体・民間企業を対象に具体策を取りまとめています。

自治体間連携 成功の共通項

1. 共通の目的・将来像
連携によって達成したい目標が明確に定まることで、近隣地自治体間の利害対立が抑制される。
2. 市町村同士の円滑な連携
首長、職員の交流による信頼関係構築により、課題の共有と合意が進む土壌を形成できる。
3. 連携を促す財政上のインセンティブ
周辺市町村もメリットを直感的に理解できる各種補助金を有効活用することで、中心市の負担を軽減している。
4. 外部人材・民間企業の知見の活用
地域課題や可能性への多様な視点、新たな発想や知識を活用することで、圏域全体の成長が促進される。
5.「地域にコミットするプレイヤー」の存在
基礎自治体の領域を越えた視点から課題を把握し、自分事として解決に取り組む熱意と能力を有する企業・人材が連携を促進していく。

自治体間連携 推進の具体策

  1. ステークホルダーの意識醸成に向けて
    (1)「地域の未来予測」の義務付けと住民参画による「目指す未来像」策定を
    健全な危機意識醸成と自治体間連携に向けて、「地域の未来予測」「目指す未来像」の活用
    (2) 役所内の各階層における人事交流の推進を
    自治体職員に広域視点での施策立案を図る意識を醸成すべく、圏域内の市町村間での職員の人事交流
  2. 連携推進役としての国・都道府県の役割分担の見直しを
    (1) 都道府県は自治体間連携を支える新たな役割の担い手に    
    基礎自治体同士の連携に際しての利害調整、市町村の機能補完や官民連携の支援
    (2) 国は自治体間連携の深化に向けて不断の取り組みを
    各圏域における連携を一層促進するため、基盤となる法制度の整備や財政・人的支援の推進
  3. 自治体間連携を後押しする財政支援の拡充を
    (1) 定住自立圏・連携中枢都市圏における特別交付税措置の拡充を    
    定住自立圏・連携中枢都市圏の交付額について、さらなる拡充
    (2) デジタル田園都市国家構想交付金の交付対象の変更を
    加算措置のさらなる拡充などを進め、「共通する取り組みを前提とした複数自治体の連携」の加速
  4. 「地域にコミットするプレイヤー」の創出と参画の促進に向けて
    (1) 民間企業の活躍に繋がる各種データの積極的な開示を    
    デジタル技術のさらなる活用に向け、オプトイン方式で提供されたデータを広く公開していく制度・体制の整備
    (2) 地域プラットフォームの活用による広域的なPFIの推進を
    都道府県がイニシアティブを発揮し圏域で共有できるテーマと方針を設定することで、広域的なPFIの推進
    (3)「公務・公共サービス法人」(仮称)制度の検討を
    民間主体で組成され、各自治体からの委託業務の運営のみならず新たな連携や業務委託の提案を行うような、新たな法人格・制度の可能性の検討
  5. 地域のデジタル化を加速する適切な連携先とのマッチング機会を
    共通課題や目的を持った連携先とのネットワーキングの機会の拡充

以上

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