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新浪剛史経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2024年1月30日
出席者 公益社団法人 経済同友会
代表幹事 新浪 剛史

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冒頭、能登地震支援イニシアティブの開始、政治資金事案に対する意見について述べた後、記者の質問に答える形で、春闘・賃上げ、SOMPO HD・損保ジャパン、豊田自動織機の不正、能登半島地震の復興と大阪・関西万博などについて発言があった。

新 浪:能登半島地震発生後から、経済同友会の会員所属企業各社がさまざまな形で救援活動に取り組んでいる。(2024年)1月15日に(経済同友会は)能登地震支援イニシアティブを開始した。復旧から復興へとステージが少しずつ変わっていく中で、(本会は)新公益連盟およびインパクトスタートアップ協会と連携しながら(被災地に)必要とされる支援を展開していく。また、支援活動の一環で、大きな被害を受けた市町村への企業版ふるさと納税の活用を会員所属企業へ呼びかけることを検討している。復興に向けて企業が支援するという目的で、制度そのものにメリットもあり、より多くの金額を被災地に届けたい。災害は今後も起こる可能性が高いため、企業版ふるさと納税をはじめ、国に対しては企業が寄付しやすい制度(整備)をぜひお願いしたい。企業版ふるさと納税は、寄付(による税額控除)の範囲などさまざまな意見があるかもしれない。しかし、企業として迅速に(被災地を)応援できる体制を整備したらどうかという提案をしていきたいと考えている。

海外の経済、政治は地政学的に大変難しい状況にあり、良くするというより、今の状況にどう対処するかという議論の方が多い。他方、日本の場合は、世界から見ても経済的にこれから面白く、政治も安定しており、そういった中で投資が進んでいる。だからこそ株価も上がってくるような良い状態にあるのに、ここで政治の停滞に繋がってはいけない。(今回の政治資金事案で)停滞せざるを得ない環境を作った責任は大きい。平成の政治改革の大きな積み残しが明らかになったわけであり、令和の政治改革をやっていかなくてはならない。政党本位、政策本位の政治にしていかなくてはいけない。そのための大きな骨格の一つが、政治資金規正法の改正であり、これを通じて政治資金の透明化、厳格化をしていくことである。すぐにやるべきは、金の流れをクリアにしていくことである。そして、支出の検証も必要であり、使途の見える化が必要である。本日公表した『透明性と説明責任ある政党ガバナンスの確立により、国民の信頼の回復を―政治資金事案に対する意見―』では、今通常国会中に解決すべき課題として8項目を記載している。そして、今回、守られていなかったことが明確になった政党ガバナンスコードをしっかりと守り、透明性の高い運営をしてもらうことだ。当会は企業経営者の団体であるため、アナロジーとして重要だと考えるのは、コーポレートガバナンス・コードである。まだまだ完璧ではないが、10年ほどをかけて非常にレベルの高いものにはなってきた。会社法改正やスチュワードシップ・コードへの対応もしてきた。自由民主党のガバナンスコードは、上場企業のコーポレートガバナンス・コードのような報告書や公開制度もなく、遵守しているかどうかも明確ではない。さらに、内部統制システムに関する方針やその整備状況についても内容が規定されてない。つまり、作っただけということであり、これでは信頼が得られない。我々企業はさまざまな変遷を経ながらも、マルチステークホルダー、つまり株主のみならず、社会一般の方々にも信頼をされることが企業の在り姿だという想いでこの10年努力をしてきた。特にこの10年で、政治そのものが信頼を大変損ねてしまった。そういった意味で、政党ガバナンスをしっかりやり、国民を株主だととらえるならば、取締役会や監査役会のような第三者の目があり、しっかりと指導、監督をしていくような仕組みを取り入れていくことが必要だ。今回は、倫理(的な問題)ではなくて法令違反があったということも、大きな問題ではないかと思う。国民が「またか」と(思い)、政治参加に対してなお一層失望してしまうことが民主主義を維持する上で大変まずいと認識している。そういった意味で、企業にとっては信頼というものが大変重要であり、政党および政治に対しても信頼を回復してもらうことが同じく大変重要だ。その指標は、投票率、投票行動にも表れてくる。今の信頼のなさをしっかりと理解いただき、まずは政党ガバナンスコードを再度策定し、しっかりとしたチェックアンドバランスで運営していただきたい。ただし、政党とは自民党だけを指しているのではなく、全ての政党において取り組まなくてはならない。ここを間違えてはいけない。今回、自民党が大変大きなリーガルなイシューを起こしたが、令和の政治改革は全ての政党にしっかりと政党ガバナンスコードを適用し、それを第三者機関が監督する仕組みを作っていくことで、透明性、厳格化を進めていく必要がある。政党ガバナンスコードの導入でも解決しないようであれば、政党法を検討しなければならない。今回は国民の信頼を裏切った事案であるため、政党法の検討は本会、そして令和臨調も含め、一緒になってまずは議論を始めなければならないと思っている。今回の件は大変遺憾ではあるが、今申し上げたようなことが経済社会および国民の思っているところではないか。今後起こらないようにしていくことは令和の時代、(変革の)チャンスでもあるので、ぜひとも信頼回復、そのための仕組み作りに政治のリーダーが取り組んでいただきたい。一方、忘れてはいけないのは、政治家を選んでいるのは、我々国民である。我々は、さまざまな形で対話をしながら政治に対して物が言えるような仕組をもっと考えていかなくてはいけない。私は令和臨調第1部会「統治構造」の共同座長にも就いているので、本会と令和臨調で共にやっていきたい。

Q:春闘がいよいよ本格的に始まる。賃上げが必要だという点では労使ともに一致しているが、脱デフレに向けてどのような議論が必要か。また、賃上げが進むとすると、デフレ完全脱却に向けてどの程度の水準が必要になるか。

新 浪:まず、(賃上げ率の上昇率が)CPI(消費者物価指数)(の上昇率)を超えなければいけない。これが生活のレベルを維持するための基準だ。日銀(が1月23日に発表した展望レポートによれば、2024年度の生鮮食品を除く消費者物価指数の上昇率)は2.4%と、(昨年10月の展望レポート時点の)2.8%から(見通しを)下げたが、大体ざっくり3%程度の(物価上昇率の)基準値があり、(賃上げ率の目安は)その水準にプラスアルファということで、5%がまず大きな目線ではないかと(思っている)。春闘については、まず大企業を中心に、中堅企業も入るかもしれないが、そこから中小企業へと(波及していくと)いうことになると思うが、実質賃金が19ヶ月マイナス(という状態)を克服するということに繋がらないといけない。私は、今年の春闘でそれが実現していくだろう(と思っている)。5%程度の目線、去年は(賃上げ率)3.6%程度(であることから)、4%を大きく上回るところが実現できるのではないかと思っている。

Q:SOMPOホールディングスおよび損害保険ジャパンの問題で、金融庁の処分が出て前代表幹事である櫻田謙悟グループCEO取締役代表執行役会長が退任を発表された。個社の問題について述べるのはなかなか難しいかもしれないが、今回の件で、経済界として共有すべき教訓や汲み取るべきことがあるとしたらどのようなことか。

新 浪:(今回の件は)櫻田氏ご自身がいろいろと判断されたことだと認識している。個別の話は別にして、コーポレートガバナンスがどう機能したかということが一番大きな問題であり、それがしっかりとしていなかったという判断がされたのだと理解している。(また、)社外取締役はどう(機能)していたのかという点がある。本来、そのような状況になれば社外取締役が(実態を)把握し、何か述べるべきだった。どのような方々が社外取締役に就き、社外取締役の責務は果たせていたのかという点が大きな問題ではないか。(同社において、)どのようなプロセスで社外取締役が選ばれ、どのような期待とどのような反省があるかといった点は、今後(各企業の)コーポレートガバナンスをレベルアップしていく上で必要なことではないかと感じた。

Q:トヨタ自動車グループで型式認証の不正が相次ぎ、日野自動車、ダイハツ工業に続いて、昨日(1月29日)に豊田自動織機で認証試験不正が発覚した。(トヨタ自動車では)10車種の出荷停止など、非常に大きな影響が出ている。日本を代表する企業グループの不正であり、製造業全般の信頼性にも関わってくるが、どのように受け止めているのか。

新 浪:なぜこのような(認証取得の)不正が起こったのかと思っている。私自身もメーカーの社長を務めており、他山の石にしなければいけないと思う。世界でもNo.1の企業グループで、製造過程において不正があったことは非常にショッキングだ。まだ事実がよくわからないため断定はできないが、想像するに、ものづくりは品質が良いものをお客様に評価いただくことが欠かせない。安全面も然りだ。一方で、コスト管理もある。この(品質・安全とコストの)バランスが少しでも崩れると、このような不祥事が起こる可能性がある。コストは(企業の)競争力(そのものだ)。しかし、どこまでバランスを保つのかは、私もメーカー(の社長)を担っていて非常に難しい(と感じている)。資材も高騰し価格転嫁ができない状況の中で(現場は)腐心をして、結果的に(不正を)行ってしまったということなのか。経営からの指示ということでは全くないと思うが、現場の判断で、エコノミクス(の追求)と、最高の品質でお客様に安心感を持ってもらいたい(という思い)との狭間で起こったことなのだと思う。大変残念だが、メーカーに身を置く者としてヒヤリとする意識を持たなければならない。バランスを取ることは非常に難しいが、やってはならないことが起こってしまう状況もあると考えている。当社も再度点検しなければならないと感じた。何といっても安全第一(が重要だ)。我々は常にお客様に安心・安全、そして喜んでもらうことを旨に取り組んでいる。(他方、)必ずコストを考慮しなければならないという事実も考え合わせながら、再点検をしなければならないと感じている。

Q:春闘に関して、目標賃上げ率5%という数字が見えているが、その他にもさまざまな論点があると思う。例えば中小企業への波及、価格転嫁であるとか、あるいは有期雇用労働者のへの波及、ベースアップなどだ。ほか、最低賃金をどう考えるかなど議論すべき点が多々ある。今年の春季労使交渉で、新浪代表幹事が特に重要だと思われる点を伺いたい。

新 浪:最も重要なことは価格転嫁だと思う。この仕組みがきちんと回らないと、いわゆる賃金と物価の好循環が起こらない。一定の価格転嫁ができるようなアコードが今後必要だ。下請け企業との関係において、CPI(上昇分)は必ず(価格が)上がるといったアコードができる環境が必要である。方法論としては価格転嫁、その前提としてCPI(上昇分の転嫁)といったガイドラインを公正取引委員会が強い意志を持って(策定することだ)。(2022年、公正取引委員会は価格転嫁協議に)応じない企業名を公表したが、このように思い切りやるべきだ。パートナーシップ構築宣言は非常に重要だが、その実効性を担保し、いわゆる弱い立場にある方々(下請け企業)が、価格転嫁は大前提なのだということ(が主張でき)、社会通念としてもそれができるようなテンプレートがあってもよいのではないか。例えば、CPIを基に交渉するとして、(価格)上昇分には材料費などさまざま(な要素が)あるといったことをやっていく。それをルールとしても、(値上げは)いろいろな努力をしたうえのものであり、必ず自動的に認めるということにはならないと思うが、それ(CPI上昇)をまず大前提に、そこは是としながら交渉する仕組みができなければならない。今まではそれが逆で、どう(コストを)減らすかという交渉をしてきたが、私はここが一番重要なところだと思う。最低賃金についても、既にサービス産業では時給1,500円近くまで上昇している。早く2,000円を視野に入れ、それに向けて予見性を持って(おくことだ)。ロボットなど(自動化)への投資もできるような環境になれば、そうした企業への投資が増え、雇用も増え、好循環を生む。その結果として、もう一つ見ておくべきは人材の流動化だ。よい人材(を得て)、またその人材を確保するという意味でも賃金を上げざるを得ない環境ができあがっていく。それによって2024年(の賃上げ)が2025年に繋がり、来年も賃上げが起こってくるというモメンタムにしていかなければならない。とりわけ有期雇用労働者に関しても、賃金が相当に上がってこないと来ていただけない(採用できない)環境にある。有期雇用、無期雇用、また人材の流動化などさまざまな方程式があるが、(今年は)多様な形の雇用が生まれてくる、その元年になるのではないかと思っている。

Q:本日発表された『透明性と説明責任ある政党ガバナンスの確立により、国民の信頼の回復を―政治資金事案に対する意見―』に関連し、令和臨調でも同様のテーマを打ち出されると思うが、両団体ですり合わせをしてのことか。

新 浪:今回の意見について、骨子となる部分は報道各社においても(社説などを読む限り)同じような考え方を持っていると思う。私自身、(令和臨調第1部会「統治構造」の)共同座長でもあるため、令和臨調ではより深く議論がなされるものと理解しているが、基本的には本会と同じ考え方である。経済同友会は企業経営者の団体であり、一方で令和臨調はメンバーに学識者も非常に多い。そのため、(令和臨調では)理論構築のもと、もう少し細かい議論がなされると考えている。骨子は重複していると考えていただいてよいと思うが、内容の深堀りについては、学識者の方々からの説明があるだろうと思う。

Q:提言の中に「寄付とパーティー券の公開基準を5万円超に統一」すべきとの指摘があるが、5万円とされた基準は何か。

新 浪:(政治献金の)寄付の公開基準である(5万円という)最小限の金額に合わせたものであり、少なくとも寄付と(1回20万円未満は公開しなくてよいと現在規定されている)パーティー券の目線合わせは行うべきという趣旨である。

Q:現行の規制について「ざる法」と言われたが、公開基準額を設けると、献金を公開基準以下の少額に分けるといった動きが懸念される。経済界として、思い切って踏み込むことは考えられないのか。

新 浪:マイナンバーを活用して、名寄せできるようしなければならない。政府はマイナンバーの活用を呼びかけており、政党についても(献金の管理に)マイナンバーを使うようにすることが必要だと思う。また、総務省が収支を管理できるアプリケーションソフトウェアを整えているが、使われていない。標準化が重要であることから、(アプリの)使い勝手が悪いのであれば作り直し、全議員が同じソフトウェアを使って収支を明確に示すこともしていかなければならないと思う。

Q:名寄せや収支管理の明確化などを行えば、「ざる法」は解消されるとの考えか。

新 浪:今回の(パーティー券収入の還元分が政治資金収支報告書に不記載であった)事案は法律違反であったが、政治献金に関する規定は「ざる」だ。企業団体献金は政治家個人には行えず、政党(や政党支部、政治資金団体)に対してのみ行える仕組みだが、それが1,000以上もあれば実質的には政治家個人(への献金)という「ざる法」となっているため、これは見直さなければならない。本質的には、団体・企業は政党に対する献金に限ることが大前提であり、そうなるように、党本部や各都道府県で(政党支部は)1か所にするといった改革をしなければならない。ただし、(政党は)集めた献金をどう使ったのか、献金した側はどうして献金を行ったのかという説明責任を負わなければならない。上場企業においては、なぜ献金を行ったのかという説明責任を株主やマルチステークホルダーに負っており、(説明できない献金は)今後一層難しくなる。団体献金についても、さまざまな企業・個人が(献金を)行っていることから、その方々がなぜ献金を行うのか、(集められた献金が)どう使われたのかの透明性が必要になってくる。まさに令和の政治改革として、献金のあり方を議論していかなければならないと思う。私は政治献金をゼロにして全額を政党助成金で行うべきとは思っておらず、献金のあり方を深く議論しなければならない。小選挙区(比例代表並立)制が施行された1994年以降の状況も見ながら、政治献金はどうあるべきかを考えていく。経済同友会としてではなく、私個人の意見だが、例えば、国会議員が10~20人の政策スタッフを雇用したいとなると当然コストが生じるため、(政治資金)収支報告書で(政策スタッフの充実を)行っていることと、その資金を集めるにあたり、政治家個人が献金を集めることもあり得るかもしれないため、使途を明確にしなければならない。例えば、米国などは個人献金が中心だ。今後、世界の民主主義国家を精査しながら政治資金のあり方も議論し、令和の時代にあった政党のあり方、政治家のあり方といったものも考えていかなければならない。個人献金や企業献金、団体献金がすべて悪いという議論はいかがなものかと思う。やはり政策をしっかりと考えて実現に向けて努力していきたいという政治家が、思いを同じくする個人や企業、団体から献金を受け付けるというのは是とすべきなのかもしれない。ただ、気になっている点は、政治献金が何かしらのいわゆる利権の保護や獲得といったことにならないようにすべきということであり、昭和・平成の間に沢山溜まってしまった膿であるさまざまな利権が新しい時代へと変わっていくのを邪魔する可能性があるため、団体献金などが平成や昭和に作られた仕組みを新しいものへ変えていくことの邪魔になるのであれば、(どうあるべきかを)よく考えなければならないと思う。社会にとって良い政治献金の使い方もあれば、良くない使い方もあることを検証しながら、新しいモデルを考えていく。一括りに(政治献金が)良くないということでもなく、一方で(今の政治献金の仕組みには)問題があるとも思っており、(政治資金の)使い方にも本当にこのままで良いのかという課題もある。そのため、今後は全政党に対して、献金のあり方、使い方、さらには地方議員まで網羅的に(政治資金)収支報告を義務付けるといったことを考えていく必要がある。私が申し上げたいのは、(現時点で)こうしようということではなく、(説明責任や透明性などの)さまざまなことを踏まえながら、経済同友会としての新しいあるべき政治の姿を考えていかなければならないということだ。もしかすると、政治の側からは改革案が出されないかもしれないが、出されるのであれば、我々の考え方を示して議論する機会を持ちたいと思う。

Q:能登半島地震では(岸田政権の)初動態勢や復旧・復興の遅さが目立つ。新浪代表幹事は経済三団体共催2024 年新年会の会見で、震災復興(と万博の開催)に関して重い問いかけをされていたが、万博推進派は、万博による建設人材不足は復興と必要な人材が重複しないため、万博を開催しても良いという見解を示している。万博に関する岸田首相の一連の指示も曖昧であり、そうした曖昧さによってこれまで建設費の上振れなどが起きてきたと思う。ガバナンスやエビデンスに基づいた議論がされて然るべきだが、代表幹事の考えを伺いたい。

新 浪:被災地の復興はこれからであり、今後、仮設住宅が建設されるため、資材や人手が問題になる。被災された方々の環境改善を図る上で、万博ではなく復興のために資材や人手を割り振る必要性が生じるのであれば、間違いなく、復興を優先することが大前提にある。岸田首相も大阪・関西万博と復興を天秤にかけるのではなく、そうした趣旨の基で明確な指針をもって(関係省庁へ)指示されていると理解している。復興に関しては、ひょっとすると具体的にどこの分野で人材の重複や不足が発生しているという話が出てくる可能性もある。その際の指針は(岸田首相の指示により)明確になっていると理解している。

Q:閣内からも高市早苗 経済安全保障担当大臣が岸田首相へ能登半島地震の復興を優先するため、大阪・関西万博の開催延期について進言された。経済三団体共催2024 年新年会でのご発言を踏まえて、(復興に)支障があるならば延期すべきだとお考えか。

新 浪:どのような支障があるかはまだ明らかでないが、支障があるならば、開始のタイミングを変えて延期もありうべしだと考えている。(開催を)取りやめる必要性はない。大げさな事例で言えば、東京オリンピック・パラリンピックも(1年延期したが)、(今回、万博を延期するとしても)そこまでの遅延はないだろうと思う。(復興に)支障のないよう努力する必要はあるが、今回の岸田首相の指示は(復興に)支障はないということであり、復興を第一に考えていただきたいということだと理解している。

Q:経済同友会は個人献金を原則とする立場を取っていると思うが、今後(令和の政治改革についての)検討開始はいつか、またどのようなスタンスや方向性を考えているのか。

新 浪:個人献金が良いのか悪いのかという前に、まず「献金」がなぜ必要であり、何に使われるべきだということを明確に(するという)、大前提のところを議論し、その結果としてフォーマット(形式)に個人、団体、そして企業がある。企業・団体(献金)は原則禁止で個人(献金)は良い、というこれまでの経済同友会の提言について、私はあまり是と思っていない。これは代表幹事としてではなく(個人の意見である)。国民が、献金がどうして必要なのか、なぜ(政治に)金がかかるのかをよく理解していない実態において、その金が何のために必要かということと、必要性に賛同する人たち(が献金をする実態もある)。本来であれば、民主主義とはそのような(政治家を自由に応援し支援できる)ことである。例えばTPPによってもっと日本の活力を上げて良くしていきたい等、何か(の政策)についてそれぞれが応援をしていきたいということがあっても良いのではないか。その代わり、(献金された側の)その人がどのようなことをしたのか、どのようになった(行動した)のかをわかるようにしなければならない。「もしかすると、間接的に票を買っているのではないか」と思わせてしまうことはまずいと思う。個人的意見だが、この献金に合わせ、金のことを議論しなければならない(と思う)。地方の国会議員にとっては、地元に(国の)補助金を取ってくることが仕事なのかもしれない。このようなことも含めて「金」と捉えると、予算の使い方なども含め、我々はどこまで議論をしていくのかを少し考えなければならないと思っている。つまり、令和の政治改革とは統治機構をどのようにするかということにも及び、政党ガバナンス・政党改革だけで終わらせてはいけない。将来的には、国会改革、公務員制度、二院制における活力を持った参議院(改革)などに繋がり、そして予算も上手に活用していただく。昭和・平成のモデルから、令和という低成長・高齢化(社会への転換期)においては、大きな視座で日本を考えていかなければならない。これは経済社会においてもそうあるべきである。このようなこと(政治資金の問題)が起きてしまったが、(これを機に)どこまで大きな議論をするか、これから考えていきたい。

Q:今回の政治資金事案に対する意見は、今後のあり方についての話であるが、現在国会等では、いわゆる「裏金」とされている金が誰にどれくらい流れていて、どのように使われたのかを解明せよという声がある。それに対して意見していくことはないのか。

新 浪:何に使われたかということは、今後最も明確にしていかなければ(ならず)、なぜそのように金がかかるのかというところに繋がる。裏金はイリーガルであり、政治資金法に違反しているわけだが、裏金が何に必要なのかがわからないと政党そのものに対する信頼はガタ落ち(のまま)である。そこをクリアにしていくことが必要であり、また、きちんと行動させること(体制)がガバナンスである。直近においてはこのようなことが必要だと思っている。我々も、何に使われているのかを知らなくては、献金を始めとした金の議論ができない。実態を知る必要があると考えている。

以 上
(文責: 経済同友会 事務局)


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