ページの先頭です

ページ内を移動するためのリンク
本文(c)へ
グローバルナビゲーション(g)へ
ローカルナビ(l)へ
サイトのご利用案内(i)へ

ここからグローバルナビです。

グローバルメニューここまでです。

ここから本文です。

櫻田謙悟経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2021年11月2日(火) 13:30~
出席者 公益社団法人 経済同友会
代表幹事 櫻田 謙悟

全編ノーカット版

動画を拡大する

本日のホットトピック

動画を拡大する

PDFはこちら

冒頭、意見『新政権に望む―将来世代の利益のため、「改革」を実現する国へ―』を発表した後、記者の質問に答える形で、第49回衆議院議員総選挙、外務大臣交代、内部留保課税、金融所得課税、新型コロナウイルス感染症の水際対策などについて発言があった。

冒頭発言 : 本日ここで、『新政権に望む―将来世代の利益のため、「改革」を実現する国へ―』を発表する。「新しい資本主義」を日本から提唱しようとする岸田政権の思いに対しては大いに賛同する。この意見は、それがスケールの大きい、国家百年の計につながることを期待して取りまとめたものである。我が国には中長期の課題が存在する中、(岸田政権には「新しい資本主義」に)しっかりと取り組んでほしい。本意見は、3つの項目に分けて記載している。
まず、「1.国民の共感を得る国家・社会ビジョンの提示」が必要だ。今回の衆院選を通じて私自身も感じたが、(政治家と)国民との共感、あるいは(政治と)協力(する関係性)が徐々に薄れてきている。共感や協力がなければ、これだけ多くの課題を抱えた日本を、世界から見て素晴らしい国へと進められない。そのために、(政府には)分かりやすいファクトを提示して欲しい。(耳に)心地の良いキーワードだけで将来を語られては困る。次はイノベーションである。「イノベーションなくして成長なし」との言葉をあえて使った。配分か成長かという議論ではなく、まず成長がなくてはいけない。そして、日本が掲げている課題を踏まえれば、イノベーションが必須だ。ただし、イノベーションという言葉を使う際、(多くの人において)同床異夢のように感じる。政治家、官僚、民間(企業経営者)、国民がそれぞれ考えるイノベーションとは何かを議論し、確認しなければいけない。科学技術だけがイノベーションではない。プロセスイノベーションと言われるように、物事の段取りやプロセスを改革することで生産性を向上できる企業は多数ある。そして、いつまでも円安が(日本経済にとって)良いという構造でよいのだろうか(との問題意識を持っている)。「新しい資本主義」を構築する中では、経常収支の中の所得収支で稼いでいく(ことが重要だ)。海外投資からリターンを得なければならない。
「2.重点的に取り組むべき政策領域」について申し上げる。今回の新型コロナウイルス感染症対策で明らかになったことが多数あるが、日本は諸外国と比較して、政府の持つ権限が相対的に小さい。当然のことながら、私権制限は憲法上認められておらず(それを犯す)リスクは避けなければいけないが、危機を乗り越えるためにはどこまで認められるかは、今から議論すべきだ。この議論がなければ、「新しい資本主義」は成り立たないだろう。次に、「新しい資本主義と官民の役割分担の再設計」が必要だ。官により民が導かれるのではなく、イノベーションや成長は民間が主導する。そのために官がどのような役割を果たすべきか、どのように支援すべきかを議論すべきだ。既に世界で行われている資本主義の反省をはじめ、東証一部上場企業全体の時価総額がGAFAM5社の時価総額よりも少ないということについて、政府や日本企業がどう考えるかを議論し、むしろ企業の価値は時価総額では測れないことを世界に示していく。それが新しい資本主義の一つの姿だろう。格差が拡大しすぎる、負の側面が見えているグローバル資本主義に対して、日本が持つ中庸の考え方、あるいは三方良し等の伝統的な理念、実践知が役に立つ時代がきたと思う。我々経済同友会の"Corporate Japan"構想と、政府の「新しい資本主義」との親和性を探していきたい。その意味でも官民の役割分担の再設計が必要だ。国主導の伝統的な成長戦略を30年間重ね、毎年分厚い政策集を作ってきた。しかし、(過去)30年間を振り返れば、日本の成長が他国に劣後していることは周知の事実である。民間(企業経営者)も含めて反省する必要がある。明治維新では身分を問わず、能力のある者にリーダーシップを取らせたことから、わが国でも出来るはずだ。日本がもう一度立ち上がるラストチャンスが来た。今までのような伝統的な成長政略では成功しない。なぜ、(これまでの成長戦略では)成功しなかったのか、成功させるためには何が鍵なのかを考える必要がある。また、イノベーションとは具体的に何を指すのか、その議論をすべきだと強く訴えたい。近日、第2回目の新しい資本主義実現会議が開催される予定であるが、そこで示される成長戦略がこれまでの成長戦略の焼き直しでないことを期待する。仮に焼き直しであったとしても、今度こそ実現できると確信を持って言えることが重要である。中長期的にこの国を押し上げるためにどうしたらよいのか、新しい資本主義の骨格を作る議論を進めていきたい。それには半年程度かけてもよいと思っている。「グローバルな付加価値創出の加速」についてのポイントは二つある。一つは、中長期的な視点で考えた際に、これまでのように円安(を是とする考え方)でよいのだろうかということだ。もう一つは、国際的な資本主義や民主主義を価値観として掲げる国において、国際的な連携(のための)ルール形成が重要になるが、欧州や米国で作られたルールに後から乗るのではなく、日本が積極的に新しいルールを主張する必要があることだ。その一つとして、企業の価値とは何か、日本ならではの考え方を発信していくことが重要だ。加えて、ジオテクノロジー(の重要性)が叫ばれ、民生用と軍事用の壁が非常に低くなっているが、(民生用か軍事用かに関する)神学論争をするのではなく、デュアルユース(軍民両用)を積極的に進めるべきだ。「新陳代謝の促進と人への投資の充実」について言えば、日本の経営資源は人材である。もう一度、小中学校から企業内での教育等まで、広義の教育、人材への投資を行わなければいけない。同時に、人材が育つためには、一つの企業に一生所属することを前提とするではなく、人材の流動性をさらに高める社会を作る必要がある。その他で強調したいのは「持続可能な財政構造の実現」である。これまでも述べているとおり、自国で国債を発行し自国内で消化できるのであれば財政破綻は起きないという限定的な議論は止めたい。財政健全化とは債務不履行(にならないことだけ)を指すのではないと確認し、どのような仕組みや機関が必要なのかといった国民的議論を進めたい。
最後の「司令塔組織の再設計」は、行政の縦割りに横串を通す必要性について述べている。日本経済や生活も、「縦」の世界である「業種」では説明できない時代に入った。したがって、行政も縦ではなく、横串を通す機能が必要である。そのため、行政のあり方や規制の仕組みも、テクノロジーの進展とともに横串を通す考え方を徹底すべきだ。

Q: 今回の衆院選で自民党が261議席という圧倒的な勝利を収めた。その中で、一部のベテラン議員が小選挙区で落選したケースも散見された。甘利明氏が破れ、幹事長を辞任されたことについて率直な感想を伺いたい。また、近く発足する第2次岸田内閣において、大平正芳内閣でも日中国交正常化に尽力された伝統ある派閥の宏池会から、外務大臣に林芳正氏の名前が挙がっている。来年、日中国交正常化50周年を迎えるにあたり、特に対中外交について新たな外務大臣に期待されることはあるか。

櫻 田 : (ベテランの落選は)衝撃的な結果であった。重鎮の方には厳しい結果となったが、今回の衆院選で日本国民は極めて現実的な判断をしたと思う。それは(国民が)理想をもっていないということではなく、政権担当能力、とりわけ財政や社会保障の持続可能性について、国民は現実を直視した(ということだ)。税金を下げる、給付金をどんどん増やすなど(の公約を掲げても)、与野党ともに財源に一切触れないことについては現実的に厳しい目で見ていた。また、日本国民は内向的だと言われるが、安全保障、外交、それらを含めた経済安全保障についてはかなり真剣に考え、与党以外にこれらの問題を扱える党があるのかという不安をもった(のだろう)。もう一つ、世代交代に関する思いも強かったのだろう。若ければよいということではないが、いつも選挙に出ていた人(政治家)というだけでは、この国は変わらないという思いが国民にあった。この持続可能性、安全保障、世代交代という思いが、国民をああいった投票に導いたのだろうと思う。(それによって)落選をしたのが政権中枢の方であったため衝撃も大きかったが、他の方をみても同じことが当てはまると思う。2点目の質問について、宏池会から外務大臣が輩出されようとされまいと、今現在日本を取り巻く外交環境を見た際に、中国とは真剣に、言うべきことは言うかたちで付き合う必要がある。つまり、旗幟鮮明にせずに中国と付き合うのは難しい。かつて経済と政治、経済と外交は比較的分かれていたが、もはやどこまでが経済か、外交かと(の区分けが)明確にならない。常にジオポリティカル、ジオエコノミカルな事象が起きている。中国と交渉すべきこと、交渉すべきでないことをはっきりさせ、それを国民に示す。今回の衆院選で国民はそれを求めていると感じた。どの方が外務大臣に就かれようと、中国との付き合いは旗幟鮮明に、何を交渉するか、(一方で)価値観や人権問題などは交渉問題ではないとはっきりさせることが重要である。

Q: 今回の衆院選の投票率について伺いたい。経済同友会でも投票率向上キャンペーン「#選挙いこうよ」を実施されていたが、若者の投票率が特に低かった。これについてどのように考えているか。

櫻 田 : 一言でいうと残念である。(選挙期間中)テレビや新聞でも若者の投票や、政治への関心にスポットライトを当てた記事があり、私は関心を持って見ていたが、ふたを開けたらこう(した投票率)だった。これは国難に近い状態である。今、若者に人気のある党は投票率が上がってほしいと思い、そうでない党はその逆(を期待する)という近視眼では(だめだ)。今回は岸田首相が掲げたように未来選択選挙である。未来を選択する立場にいる人が投票の権利を行使しないのは国の危機であると思う。国を挙げて、どうしたら投票率を上げられるかの議論を今こそすべきである。極端な言い方をすれば、投票権の行使は(国民の)義務であるとまで議論してもよいのではないか。経済同友会の未来選択会議では、若い方を招いて、主権者教育やどうしたら若い方が投票所に向かうかの議論をしている。そのなかで感じることは二つある。一つは、アルバイトや学費など、学生や非正規雇用の方が関心をもつことを政治家が具体的に取り上げていない(という点だ)。一方で、若い方は足元、身近なことに関心をもつが、それだけでよいのかという気もしている。今回の衆院選で示されたように、自分の国のこととして、財政の持続可能性や社会保障、外交、安全保障にもしっかりと関心をもってほしい。希望があるのはグリーン、環境(分野)で、若い方も非常に強い関心を寄せている。いずれにしてもこの(投票率の)問題は、経済同友会はもちろん、国を挙げて国難と意識して取り組んでいくべきである。民主主義の危機にもつながる恐れがある。

Q: 『新政権に望む―将来世代の利益のため、「改革」を実現する国へ―』の内容について伺いたい。「官民の役割の再設計」について具体的にどうすべきと考えるか。民間企業はどのような立ち位置をとるべきか。変えていくべき仕組み、必要な規制緩和は何か。また、デュアルユースについて国民の中にはアレルギーを感じる人も多いと思うが、進める意義や、進める上での課題、必要なことは何か。

櫻 田 : 官民の役割について、原理原則に立ち戻って考えたい。(「官民の役割の再設計」では)主として経済、そして経済成長について想定している。現在の日本が置かれている状況を踏まえると、経済が成長するためには民間が経済を牽引することが必要だ。経済(成長)の3要素である資本、労働、技術革新の状況を見れば、まず労働力が減っていくことは明らかだ。他方、資本については利益の集積があり、足りている。問題は技術革新、イノベーションにある。イノベーションがなぜ起きていないのかについて、官に頼るのではなく、民間がしっかりと考え、どうすればイノベーションが起こるのか、民間から官に対して反省を含めて説明し、提言もすべきだ。その提言には、労働法制(を巡る課題の解決)、規制の撤廃が含まれるだろう。第一次産業等のイノベーションを阻害する、既得権益を守るための規制もある。順番としては、民間がしっかりと考えて官に伝え、提言する。それは経済同友会の役割かもしれない。ただし、イノベーションと言っても、デパート(等小売業)、電子産業、海運業、金融業において、それぞれイノベーション(のあり方)は異なる。それらを十把一絡げにしてイノベーションを論じても具体的な策は出てこない。したがって、業界ごとのイノベーションではなく、我が社のイノベーションとは何かをしっかりと定義し、具体的に何が課題で何をすべきかを考える必要がある。その際に国の規制等があればそれを確認する必要がある。民間が何をやりたいのか、どうすればイノベーションを起こせるのか。その規制が撤廃されると、世界を視野に入れて(日本企業が)どの程度強くなるのかといった議論をすべきだ。マクロの視点で官が見て考えるだけではイノベーションは起きないだろう。それで成功するのであれば、過去30年間でイノベーションは起きていたはずだ。同じことが大学についても言えると思う。民間がイノベーションを進め、官はそれを支える。他方、デュアルユースの問題や外交については官が専ら担うべきことだ。デュアルユースについては、言葉を選ばずに言えば呪縛というか、少しでも軍事につながる技術には全く触れないとされてきた。これにより、民生用として素晴らしい効果(や効用)があるものについても、(開発の)最初(の段階)から放棄するマインドセットが出来てしまう。そうしたマインドセットを持つ人が技術者や科学者になるのは望ましくない。まず徹底的に研究開発し、そして国民の意見を聞きながら、後から越えてはいけない基準を決め、コントロールすればよいのではないか。(その取り組みの)根底には透明性が必要だろう。

Q: (イノベーションについて)官がコントロールするのではなく、民間がアプローチすべきとの話は、経済同友会の夏季セミナーで新浪剛史副代表幹事が指摘した、日本企業は官にぶら下がりすぎではないかとの問題意識とも通底するように思う。補助金行政等、官が与えてくれるものに民間は頼り切っていると思うか。

櫻 田 : 既得権というと(業界)団体などのイメージがあるが、企業にも既得権は大いにあると思う。イノベーションのジレンマと言われるが、大きな企業ほど、自ら(のビジネスモデル)を破壊することが怖くて新しいものに手を出せない。しかし、競争する相手はグローバルに存在する。国内にマーケットを持つ企業であっても、海外の同業他社と比較して勝てるかを常に考えなければならず、それにはイノベーションが必須である。通常、(議論は)この段階で終わってしまう。しかし、自社のイノベーションとは具体的に何か(を考えることが重要だ)。例えばそれは、新卒一括採用を止めることかもしれない。あるいは、メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用とすることかもしれない。プロセスイノベーションと言われるように、サービス(品質)を落とさずに不要なことをカットし、必要なところに資源を回す、社内の人材の流動性を高めることなどが考えられる。そうしたことを含めて、全てがイノベーションだ。それを進めないと日本は変わらないだろう。

Q: 衆院選でも一部政党の公約に掲げられていたが、大企業における内部留保に対する課税に関して考えを伺いたい。

櫻 田 : 理解できない。すでに課税されたものに対しさらに課税するのは、税理論上どういうことなのか。私は、成長戦略会議でも未来投資会議でも何度も申し上げてきた。日本企業には約484兆円の内部留保があるといわれており、それは事実だ。これは企業が営々と生み出してきた利益の蓄積である。この利益は現金で金庫に保有されているのではなく、株主の要請に応えM&Aや設備投資など国内外の新しい投資に振り向けられている。その結果の内部留保484兆円は、バランスシートの貸方に土地、工場、M&Aをした子会社の株式などとして記載されている。これに課税をするとなると、企業はバランスシートを小さくするために貸方の資産を売る。売った結果、さらに新しい投資をするインセンティブが高まるのか。今、企業が悩んでいるのは、海外への投資の方がROEが高いのでそちらに振り向けており、国内に投資先があってもIRで説明がつかない(ケースが多い)ということである。それに課税をされたらさらに企業価値が下がる。(つまり)日本全体の企業価値を下げることになり、GAFAM5社に対して、東証一部上場企業だけでなくもっと差がついてしまう。結論として私は理解できない。

Q: 金融所得課税の見直しについて、岸田首相は優先順位(をつけた)ということで、少しトーンダウンした。一方で、今回の衆院選において、取り下げたわけではなく、手順について説明したとコメントした。櫻田代表幹事は、以前の会見において、財源という面で見れば焼け石に水だと発言されていた。そうだとすれば、(金融所得課税の見直しを)行うべきタイミングというものはあるのか、考えをお聞かせいただきたい。

櫻 田 : そのこと(金融所得課税の見直し)だけをとらえて、それが新しい資本主義である、というのであれば、残念至極としか言いようがない。日本発の新しい資本主義を世界に向けて提唱することが岸田首相の考えであると信じているし、また、そうあってほしいと願っている。グローバル資本主義が生んだ分断、格差、あるいは自国第一主義、といった大きな課題に対して、日本はそういう国にはならないと提示したいのでれば、そのための方法を取るべきである。その一つ(の方法)として富裕層への課税(を選択する)ということは、例えば、米国や英国のように、世界的に見てもジニ係数が高い格差を示すような国であれば、あり得ると思う。(しかしながら)日本は必ずしもそうした状況にはなく、どちらかというと先進国の中では、モデレート(穏健)な方である。また、ジニ係数だけではなく、上位1%にあたる富裕層の資産が国全体(の資産)に占めるシェアは(他国と比べて)日本は圧倒的に低い。したがって、新しい資本主義、サステナブルな資本主義をめざすためには、むしろ日本のような資産分布、所得分布の国が(そのモデルとして)必要ではないか、と訴えるべきである。富裕層への課税を(強化)して、それが新しい資本主義であると(メッセージを発信)することは大きな誤りにつながってくる可能性があり、(金融所得課税の見直しは)そのことを意図したものではないと思いたい。税源、財源の観点から見ても、ものの考え方の一つとして存在するだけであって、そもそも(日本では)富裕層が持つ資産の割合が非常に少ないので、意味がない。(意味があるとすれば)ただ、溜飲が下がるということではないだろうか。格差はすべて悪いという風潮は、もうやめた方がよい。良い(適切な)格差もあるわけで、(例えば)頑張って働いた、努力した結果として成功した人は、しかるべき報酬を得てよいだろう。どこまで(の格差)がだめで、どこまでがよい(許容される)のか、議論は必要だと思うが、相対的に見て日本は、大きな格差を生んでいるおかしな国だとは言えないと思う。

Q: 政府は、ビジネス目的の入国について、待機期間を原則3日間とする方針を固めたとのことだが、受け止めを伺いたい。日本の水際対策について企業からは、手続きの煩雑さなどビジネスの往来を正常化する上で課題があるとの声も多いと思うが、今後、どのような対応が望ましいか。

櫻 田 : まず1点目については、大賛成である。早く待機期間がゼロになることを期待する。そのためには、国民が安心する(環境を整備する)必要がある。水際対策を講じていることで、海外から入国した人の感染率は、国内の市中感染率の平均よりも低いのではないか。待機期間が3日間からゼロに、そのために国民が安心できる(環境を)となると、ワクチン・検査パッケージを効果的に使うことが重要である。何よりも大事なことは、リアルタイム性(の観点)である。接種証明も、(2回目の接種完了から)半年が経過するということであれば、3回目の接種を促す仕組みも必要である。また、(陰性証明についても)PCR検査の結果が何時間前のものなのかを(タイムリーに)把握できるようにしておく必要があり、そのためには紙では無理である。早くデジタル化をしなければならず、この点で日本は明らかに遅れている。ビジネスとして、国民としてもそうだと思うが、もっとモビリティを高めるために、待機期間を早くゼロにすべきだ。そして、(円滑な出入国のため)証明書を紙ベースからデジタルベースに早く変えてほしい。SOMPOホールディングスにおいても、早く日本で打合せを行いたいという海外からの要請がある。現状では、来日したくでもできない。また、日本から出張したとしても、帰国の際に待機期間があるため、出張も控えてしまう。(今のままでは)経済にじわじわと(マイナスの)影響があることは間違いない。

以 上
(文責: 経済同友会 事務局)


ローカルナビここまでです。

ここからサイトのご利用案内です。

スマートフォン版サイトに戻る

サイトのご利用案内ここまでです。