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小林喜光経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2016年9月13日(火) 13:30~
出席者 小林 喜光 代表幹事

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冒頭、小林代表幹事より「IPPO IPPO NIPPONプロジェクト熊本支援開始」について説明があった。続いて、記者の質問に答える形で、(1)未来投資会議の発足と成長戦略の具体化、(2)来年度の税制改正要望、(3)米国への代表幹事ミッション、(4)米大統領選挙、(5)民進党の代表選挙、(6)富山訪問、(7)企業の内部留保、(8)東京都中央卸売市場の移転、(9)小池百合子東京都知事の評価、などについて発言があった。

<IPPO IPPO NIPPONプロジェクト熊本支援開始について>

小林:本会をはじめとする全国44の経済同友会で取り組んでいる震災復興支援事業「IPPO IPPO NIPPONプロジェクト」は、熊本に対する支援活動を開始した。熊本地震でも、専門高校の実習機材に多数の被害が発生しており、これまでの東北支援の経験を活かし、来年4月まで2期にわたる支援活動を実施する。

<質疑応答>
Q: 政府も動き出し、未来投資会議が創設されて、昨日、第1回会合が開催された。組閣もあり、閣僚が変わったこともあって新たな気持ちかと思うが、少し(会議の)数が多いとの印象も否めない。今後は、特に成長戦略を進めるために具体化してくるかと思うが、代表幹事の所感を伺いたい。

小林:今までオーバーラップしているものがあったので、当然、一部は連携していかなければならないだろう。安倍政権が発足して3年9か月、アベノミクスで(成長戦略に関する)議論は相当されてきた。実際にどういうアクションをとるかなど、具体的な話に入ってきていると思うので、一歩一歩しっかりと進めていってもらいたい。特に新たな注文はない。もともと点検会合はあったわけで、しっかりとPDCAを回していくフェーズになっていると思う。

Q: 政府の未来投資会議では、アベノミクスの第三の矢を加速するため、来年6月を目指して成長戦略を取りまとめる。タイムスパンとして、かなり時間的な猶予ができたように見えるが、所感を伺いたい。

小林:アベノミクスが始まって3年9か月が経ち、産業競争力会議での議論を含め、成長戦略は「日本再興戦略」として3回公表されている。KPIも定まり、今はそれを進める状況だ。次回の成長戦略のメインはそれに上乗せして、より具体的な、おそらくAI、IoTなど第4次産業革命やシェアリング・エコノミーを含め、どのようにグローバルに負けずに取り込んでいくかがまず一つだ。

もう一つは、コーポレート・ガバナンス・コードやスチュワードシップ・コードなどの改革を行い、上場企業では社外取締役2名以上の企業が70%以上になるなど変わってきているが、企業関係の法制度をさらに見直し、企業の新陳代謝を速める構造改革が必要だ。
また、医療・介護やローカル・アベノミクスなど、よりフォーカスしてメリハリをつけるために来年の夏まで議論するのではないか。今までの3年間の大きな流れを政や官でチェックするのに8か月くらいはかかるので、猶予ができたとは思わない。

Q: 第4次産業革命などを未来投資会議で議論するようだが、これまでもIoTやロボットという切り口で、各府省庁にいろいろな会議体が立ち上がり、未だに司令塔が見えてこない。果たしてこのペースで、海外との競争力を保っていけるのか

小林:(第4次産業革命は)民間企業が柱になるので、国家の司令塔ができれば進むとも思わない。自動車、鉄鋼、サービス、農業、医療、コンビナート系のコモディティ素材も含め、それぞれの産業でIoT導入等の必要性があり、頑張らないといけない。国家の音頭は十分にとれていると思う。国が全体調整(役)としてまとめていく意味はあっても、本当にその気になってIoTなどを掘り起こすのは個々の企業、業界ではないか。

Q: 日本は個別企業は優れているが、第4次産業革命を起こすには、業界横断的な取り組みが必要ではないか。

小林:個別企業でさえ遅れている。全体を産業としてオーガナイズするのであれば、行政として労務体制の整備や、国家、行政のIoT化、ICT化はやるべきだ。全体をオーガナイズするまでには、今はそれぞれの業界がどのように取り組んでいくかというフェーズだと思う(のでなかなか難しい)。マイナンバーでさえこのような状況なので、音頭を取ったところで、具体的なアクションを起こしていくには時間がかかるという見方が、現実的ではないか。

Q: 今週、日本商工会議所や日本経済団体連合会が、来年度の税制改正にあたっての要望を提出した。経済同友会として、来年度の税制改正について何か要望はあるか。

小林:研究開発等に関して、連続して提言を発表してきている。来年度の要望については、具体的なアクションは計画していない。

Q: 今月、米国への代表幹事ミッションが予定されている。大統領選がどうなるか分からない状況だが、大統領選前に米国へ行く狙いについて伺いたい。

小林:代表幹事ミッションとして、4月29日から5月4日までイスラエル、7月31日から8月3日まで中国・北京に行った。(イスラエルでは特に)スタートアップ、中国では「インターネット+(プラス)」で活躍している若手の企業経営者や、オーバーサプライである鉄や化学の、かなり確立した産業のトップと議論をしてきた。

今年度3回目(の代表幹事ミッション)として、大統領選の前後で検討したが、日程の関係で9月になった。実質2日間だが、ワシントンD.C.に行く。民主党、共和党(の関係者)と会い、大統領選の状況や、中国やイスラエル(へのミッション)と同じく第4次産業革命、AI等について議論をする予定である。加えて、国連の持続可能な開発目標(SDGs)、環境・エネルギーを中心にした持続可能性などについても議論ができればと考えており、3泊5日で訪問する計画である。

Q: (米大統領選について、)予断を許さない状況ではあるが、共和党のトランプ氏、もしくは民主党のクリントン氏のどちらかが大統領になる。大統領選挙について、所感を伺いたい。

小林:確かに予断を許さない状況で、ここにきてクリントン氏の健康問題(が指摘されている)。トランプ氏も70歳であるから、それなりの健康に対する配慮は必要だと思うが、そういうリスクが一つ増えたともいえる。どちらが大統領になったところで、(健康問題という)新しいファクターが一つ増えたという感じはある。トランプ氏が大統領になったとしても、急激に米国の政治が変わるものでもないだろう。大慌てせず、それなりの対応をしていくしかない。

Q: 民進党の代表選挙が迫ってきているが、盛り上がりに欠けている。民進党は自民党に対抗する野党勢力として、健全な野党になり得るのか。また、候補者である蓮舫氏は、台湾の国籍が残っており二重国籍であったことが発覚したが、これについてどのようにお考えか。

小林:(自民党に対抗する)野党足り得るかに関しては、直近のNHKの世論調査によると、(各党の支持率は)自民党40.2%、民進党8.3%であった。(前の民主党に)維新の党が入ったところでこの数であるから、そう簡単には自民・公明(の与党)一強、安倍一強を覆すことは難しいと、民進党自身も思っているだろう。基本的なところを考えて、(10年後の)2025年辺りに照準を合わせていかなければ、なかなか戦いにはならないのではないか。これは、民進党自身も考えているだろう。今から党内部で議論を重ねて鍛え上げ、来るべき時に備えるということで、安倍一強の中で、今すぐに政権が覆るとは思っていないだろうし、そういう意味で、一見盛り上がりに欠けるように見えるかもしれない。

二重国籍問題については、蓮舫氏の(発した)情報が次々と変わったことに関して、もう少しきちんと調べておくべきだったと思うが、台湾と日本は国交がなく、(台湾籍の人には中国の法律が適用されるため、)中国の法律で他国の国籍を得たら自動的に中国籍を失うと定められているとすれば、実体としては日本国籍との見方もできると思う。個人的には、それ(二重国籍問題)が大きな問題になるとは思っていない。

Q: 民進党の代表選挙に出ても、民進党代表になったとしても問題ないということか。

小林:基本的には日本国籍を持っているということで、大きな問題にはならないと思う。

Q: 先週、富山を訪問された。YKKの地方拠点を視察した感想と、東京にある本社機能の地方移転が地方創生の大きな柱の一つかと思うが、これに対する考えを伺いたい。

小林:石井隆一富山県知事、森雅志富山市長を中心とした行政の方との意見交換、YKKやシリコンカーバイド(炭化ケイ素)のファイバーを開発・製造・販売しているNGSアドバンストファイバー等の企業視察、そして北陸三県経済同友会の代表幹事や副代表幹事との懇談を実施した。特に、北陸三県経済同友会との懇談で極めて強く言われたことは、東京一極集中が今後の日本を危うくするということだ。若者が集まるような地方(づくり)を、今まで以上に、人口(減少対策)や企業誘致を含めてやらないと、日本全体のバランスが崩れてしまうという危惧を強く抱かれていた。
一方で、特に若手の経営者は、地方に居ようが東京に居ようが(あまり関係なく)、海外進出にアクティブな会社は、(本社が)地方でも売上の6割ぐらいが海外という実績もあるので、それは経営者の問題ではないかといった意見もあった。全体としては、東京一極集中に対してとてもネガティブな見方をしているが、一部の若手経営者は我々(経営者自身)の問題だと捉えていることが一つの収穫であった。

石井県知事、森市長は、行政の長なので、当然、東京一極集中(に問題意識を持っており)、人口が例えば120万から80万に減っていくことは予想できるが、YKKなどもともと地方に根差した企業が本社(機能)移転や若者の移転を含めた施策を打っていけば、まだ十分に戦えるというニュアンス(の話があった)。

また、YKKの𠮷田忠裕代表取締役会長CEOなどと議論をしていると、知的財産や研究開発などの部門で、二百数十名の従業員を東京から富山に移し、徐々に本社(機能)の一部を移転してはいるが、基本的にはまだ軸足は東京にあると感じた。また、同じ富山といっても、YKKの本社は比較的中心部から離れているため、富山市内に住居を構える人も相当数いるのが実態で、地方の中でも都市部への一極集中は問題になっている。一方で、森市長からは、「富山市の中でも、より市街地に近いところに循環する電車を走らせるなど、その方が効率も良いし土地代も上がる。したがって、ローカルのある一部に集中することが重要である」との発言があった。単純に何でも一極集中と批判するのではなく、分散と集中、分散と統合のどこかに最適点があるのではないかと感じた。

大阪辺りでも本社を東京に移すことが止まらないといったことはあるが、物理的な問題として、例えば新幹線が金沢まで通ったことで、観光産業やホテル等も活況を呈して経済的にも活性化した。先述のように、地方(企業)が海外に(進出することもあるし)、あるいはインターネットを使って時間と場所が縮まったというが、新幹線のような物理的なもので経済が東京と繋がって活性化しているということもある。(北陸新幹線を)福井まで早く通すというような公共投資も重要だと感じた。

いずれにしても、東京一極集中に対して、われわれとしては明快な解はないが、そのような点もよく考えながら、今後も経済同友会としても議論していこうという結論であった。

Q: 財務省が9月1日に発表した法人企業統計によると、2015年度末の企業の内部留保が過去最高を更新した。企業の内部留保については、溜め込み過ぎではないかとの批判もあり、ごく一部には、内部留保に課税すべきとの意見もあるが、あらためて代表幹事の考えを伺いたい。

小林:事実として、(内部留保は)377兆円程度、(前年度比で)6.6%増と認識している。いつも同じ回答になるが、内部留保というのは、B/S(賃借対照表)の中で、借方に現金・預金や有価証券、設備投資があって、貸方に借入金や内部留保など利益の部分があるが、特にM&Aによる長期投資や海外での設備投資も(借方に)入るため、現預金は200兆円くらいで、現金が大幅に増えているわけではない。200兆円というと、海外も含め、経済が大きく膨らんだ中で、運転資金的に考えれば、1.6か月分くらいに相当する。企業経営において、安全面を考えると、運転資金は2か月分程度が必要で、せめて1か月分くらいは持っていないと、経営が非常に不安定ということがある。そのサイドから見れば特に大きくはない。

ただ、(海外)M&Aについて、2015年は11兆円程度と増えたが、今年はまだ半期を過ぎても6兆円ほどで、そのうち3.3兆円がソフトバンクによるアーム買収と考えると、それほど海外M&Aが活性化しているようには思えない。もう少し、皆が自信を持って国内に投資できるようになる余地はある。7-9月期のGDP(2次速報値)から研究開発投資が組み込まれることもあり、国も民間も研究開発投資をもう少し増やそうとの機運が出てきているので、そこに使うことは、流れとしてはあるのではないか。法人税率を下げても、またそこ(内部留保による課税)でとることは二重課税の問題があり、無視できない。少なくとも、内部留保そのものに課税するのはいかがなものか(と思う)。もっと違った形で活性化することを考えていくのが筋かと思う。

Q: 築地から豊洲への東京都中央卸売市場の移転について、先週、小池百合子都知事が延期を表明し、その後、様々な問題が掘り起こされている。この経緯をどのように見ているか。

小林:ベンゼンなど、かなり環境負荷の高い成分があったということに端を発し、すでに7回の検査結果が出ている。11月18日の(9回目の地下水採取とその検査結果が)出る前に(豊洲市場が)スタートするのは、環境に対してどのような思いがあるのか、理解に苦しむ。ビル(市場建物)の下に空間があるというが、配管を通すためだったのか、専門的な解析がないと、どのように意見を述べてよいか分からない。いずれにせよ、説明責任(がある)。環境(対策)に800億円超も使ったにもかかわらず、11月18日の(採取の)結果を見ずに操業を開始することについては理解に苦しむ。

Q: 小池都知事が就任して1か月ほど経つが、政治手法についてなど評価を伺いたい。

小林:(評価を述べるのはまだ早いが)よくやっておられると思う。頑張っておられることは間違いない。

以上

(文責: 経済同友会 事務局)


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