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長谷川閑史経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2014年9月2日(火) 13:30~
出席者 長谷川 閑史 代表幹事
前原 金一 副代表幹事・専務理事

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記者の質問に答える形で、長谷川閑史代表幹事より、(1)景気認識、(2)地方経済、(3)消費税率引き上げと軽減税率、(4)内閣改造、(5)政府会議、(6)訪中ミッション、(7)政治献金、(8)人口減少、(9)インド・中国でのビジネス展開、(10)企業のダイバーシティ促進、などについて発言があった。
最後に、前原金一副代表幹事・専務理事より、震災復興「IPPO IPPO NIPPONプロジェクト」第7期活動の開始について、案内した。

Q: 景気認識について、消費に関して弱含みである等の統計も公表されているが、今夏の商戦の評価や今後の見通しを伺いたい。

長谷川: (消費の動向には)若干の懸念材料もある。昨日発表された8月の新車販売台数は、前年同月比9.1%減と、消費税率引き上げの反動があった4月よりさらに落ち込んだとのことである。様々な要因があり、昨年同月の軽自動車(販売台数)が特に良かったということもあるだろう。また、関西地方を中心に、7月は相当な天候不順で雨も多く、土日に集中したこともあり、行楽地等の行事キャンセルも相次いだようである。麻生太郎財務相も、それらを踏まえて「緩やかな回復基調は変わっていない」と述べており、安倍晋三首相も「4-6月期で見れば大きな落ち込みになっているが、1-6月期の上半期で見れば昨年に比べて上がっている」とコメントしている。現段階で安心はできないものの、何とか持ちこたえていると思う。所得については、7月の現金給与総額の平均は前年同月比で2.6%上がっている。いろいろな情報があるが、何とか持ちこたえ、年間でプラス成長を実現する方向で、全関係者が努力している段階であると認識している。

Q: 地方の景気は特に落ち込んでいるが、その点にどう対応していくべきか。

長谷川: それこそが、明日の内閣改造で新たに地方創生担当相を置く意義だろう。スローガンとして「まち・ひと・しごと創生」を掲げ、すでに本部が設置され、有識者会合も実施されている。新しい担当相の下、2020年までの総合戦略と50年後に向けた長期ビジョンを取りまとめる方向のようである。その背景には、景気は緩やかに回復しているものの、地方には必ずしも浸透していないとの認識があり、あらたに地方にフォーカスした担当相を置き、政策を実行していこうとの趣旨だろう。

Q: 7-9月期のGDPを見て、首相が消費税率の8%から10%への引き上げを決めることになっている。現状では10%への引き上げは難しい状況にあると思うが、いかがか。

長谷川: 10%までの引き上げは法律で決まっており、やらなければ法治国家として成り立たないとも言える。確かに景気条項は入っているが、人によって解釈は違うものの、例えばリーマン・ショックのようなことが起きれば別だが、現在の景気状況の中では、消費税率引き上げを予定通り行わないという選択肢はない、というのが大方の見方だろう。首相は、本年4月の税率引き上げを決める際、50数人からヒアリングを行うという丁寧なプロセスを踏んだ。今回、そのような対応をするかは不明だが、引き上げを見送るという選択肢は、基本的にはないと思う。日本の国際公約とも言える財政健全化について、2015年度でプライマリー・バランス(PB)赤字幅の対GDP比を2010年度比半減、2020年度のPB黒字化達成というのは、最低限のコミットメントである。予定通り消費税率引き上げを行い、(平均成長率名目3%、実質2%を実現しても、)2020年度黒字化達成は難しい中で、これを躊躇する理由は、よほどのことがない限りないと考える。

Q: 軽減税率に関するヒアリングがほぼ終わったが、あらためて経済同友会の考えを伺いたい。

長谷川: 本会では、少なくとも消費税率10%までは、軽減税率は必要ないとの考えを表明している。将来、低所得者層への逆累進性の緩和という観点の政策が必要となれば、2016年1月から導入されるマイナンバー制度も踏まえて、個別の戻し税、給付付き税額控除も含め、必要な個人に行き渡るような方法を考えるべきである。

Q: 明日予定されている内閣改造に対する期待と注文を伺いたい。

長谷川: 昨年末の臨時国会以来、法改正や特区の設定等も含め、「第三の矢」に関連する様々な仕掛け・仕組みづくりが行われてきた。それらをフルに活用し、実行して成果に結び付ける極めて大事なタイミングにある。主要閣僚には留任の方もいると聞くが、交代する場合でも、改革の方向をしっかりと指示、実行する方が、その任に就くことを期待している。

Q: 内閣改造とあわせて、経済財政諮問会議や産業競争力会議など政府会議の議員を見直す話も出ている。一年半会議に参加して成長戦略の策定に関わった経験から、二つの会議が今後どうあるべきとお考えか。また、今後も議員を続けたいなどの希望はあるか。

長谷川: (議員の見直しについては)まったく何も聞いていない。また(続けたいとの)希望も特にない。正式に政府から要請があれば、その段階で白紙から考えるということに尽きる。政府会議間の協力関係については、少なくとも、経済財政諮問会議と産業競争力会議は合同会議を行っている。内容的には、規制改革会議との連携も必要である。本会の副代表幹事や幹事が政府会議の議員を務めていたこともあり、昨年から改革推進プラットフォームを設置して調整・協力する体制を取っており、(成長戦略等の)成果に貢献した部分もあると考えている。今度、どのような議員構成になるかは分からないが、本会として必要であれば継続し、フォローしていきたい。

Q: 現政権の閣僚は良いメンバーであるとの意識が高く、閣議の雰囲気も和気藹々としている。企業人として、うまくいっているメンバーを代える際の留意点を伺いたい。

長谷川: 事業でも政治でも、うまくいっている時でも常に改善の余地はある。どの組織の長でも、より良くなる可能性があれば、常に改革を進めることを考えるだろう。内閣改造によって、さらに改革が進み、当初からの目標であったデフレからの脱却、民間を巻き込んだ「第三の矢」による日本経済の復活が、着実に実施、加速されることを望むし、それができれば結果的に(改造して)良かったということになる。

Q: 9月8日から中国を訪問するとのことだが、その目的と日中関係について所感を伺いたい。

長谷川: 昨年9月、中国中信集団というコングロマリットを中心に、国営企業、民間企業のトップが来訪し、意見交換を行った。この経緯は、スタンフォード大学名誉教授で清華大学客員教授も務めている青木昌彦代表幹事特別顧問を通じて打診があり、我々としては願ってもないチャンスと考えて、実現したものである。結果として、(一行は)経団連や官邸も訪問した。ちょうど一年が経ち、答礼として当会から訪問し、意見交換の場を持ちたいと考えている。民間は民間で、できる限り日中関係がより良くなる方向に努力をする一環として、少しでも貢献できればと考えている。

Q: 訪中時には、中国側のどのような人に会う予定か。

長谷川: 中国中信集団という国営のコングロマリットを中心に、国営・民間企業の経営者と意見交換を行う。昨年の訪日団のメンバーが基本ではあるが、少し民間企業の経営者が増え、20社弱程度になると思う。現在、最終調整中である。

Q: 訪中ミッションで、中国の政府関係者、要人と会う調整はしているか。

長谷川: 政府関係者の定義が難しいが、国有企業の経営者や国家発展改革委員会、中日友好協会を訪問する予定である。予定は最終調整の段階である。本会はあくまでも個別経営者の集まりであり、常振明中国中信集団会長をはじめとした昨年の訪日団への答礼が目的であるので、あくまでも経済の話である。

Q: 今回の訪中では、どのようなテーマでの意見交換を予定しているか。

長谷川: 企業の経営者同士の意見交換であり、提携・協力等個別案件に関する具体的内容は個別企業のフォローアップによる。昨年、政治的に難しい時期に訪日と意見交換の機会を設けていただいた答礼の訪中団として、政治面の難しいことはあるが、ビジネスではより関係を深め、協力できることは協力しましょうということを再度強調したい。

Q: 食の安全や環境問題などの個別課題については議論の対象となるか。

長谷川: 政治の話や、食の安全など個別の問題を取り上げて議論することは考えていない。先方から話題として出てくれば、その場で対応することになる。本会からは日本政策投資銀行の経営者も参加するので、大気汚染その他一部特定の課題について双方の考えを述べることもあるかもしれないが、基本的には個別課題を取り上げることはない。

Q: 日本経済団体連合会(経団連)が、政治献金を再開するようである。経団連の評議員会副議長経験者として、また一人の財界人として、政治献金はどうあるべきとお考えか。

長谷川: 経団連が政治献金の「あっせん方式」を止めたのは90年代だったと記憶している。それ以降は、企業に参加を促すこともあったが、最終的には企業の判断に任されている。今後、団体として呼び掛けた際に、どうなるかは分からない。自社(武田薬品工業)も元副会長会社であるが、どのような話が来るかを見た上で判断したい。報道によると、来週機関決定されるようだが、熟慮の上での判断になるので、特にコメントはない。

Q: 政治献金は個別企業でやっている。経団連は93年に「あっせん方針」を止め、それが政治資金規正法改正と政党助成金につながった。政党助成金を公費、税金でまかなうことへの異論もあるが、当時は個人献金を進めるとの前提であった。政治献金再開は時代に逆行する。経団連会長が政経一体化を進めていることは理解するが、今、自民党への献金は当然であると判断するか。

長谷川: 経団連の考えは経団連に聞かれるのが良い。以前参加した夏季フォーラムで意見を述べたことはあるが、過去の話である。何を判断基準とするかについて、一時期は政策評価に基づいていた。政策評価は復活したが、今回はそれと結び付けるということでもないようである。基本的には個別企業の判断であり、経験から言えば、各業界として判断する部分もあるだろう。

Q: 経済同友会として、過去に政治献金に対する提言は出していないか。

長谷川: 1994年に(政治資金規正法が大幅に)改正された際、政党助成金との関係で、将来的に企業・団体献金は廃止の方向となり、その方向を守るべきとの提言はこれまでいくつか出してきた。

Q: 政治献金に反対との立場ではないか。

長谷川: 法が施行された趣旨を忘れるべきではないが、他団体の方針をとやかく言うつもりはない。

Q: 先般、増田寛也氏を座長とする日本創成会議の人口減少問題検討分科会が、人口減少に関する衝撃的な報告書を出し、「選択する未来委員会」で対策の検討も始めたが、経済同友会としてこれに関する検討の予定はないか。

長谷川: 「選択する未来委員会」でどこまで具体的な政策を検討するのか分からないが、まず国がどのような方針、政策を出すかに注目したい。人口減少問題の解決策には、そう多くの選択肢はない。基本的には、合計特殊出生率を人口維持に必要な2.07にもっていく方法と期間、すなわちできるだけ短期間で達成するためにどのような具体的政策を打ち出し、実現していくかが一番のキーである。それに加え、社会のあり方も変革しなくてはならないだろう。フランスのように、先進国で一旦落ち込んだ出生率を持ち直すことにある程度成功した例もある。家庭環境に関わらず、子どもは社会の財産として、例えば2番目、3番目の子どもに傾斜的に手当を支給したり、ベビーシッターを手配するなど、制度やコミュニティがサポートして育てている。また、移民には異論もあろうが、外国人労働者の受け入れについて、まずは日本版グリーンカードを検討するなどの方法もある。このような政策を組み合わせていくしか実現の可能性はない。これらをどのようなタイミングと組み合わせで実施するか、政府案を見てコメントしたい。

Q: 昨日はインドのモディ首相と会い、来週は訪中の予定である。インドと中国のビジネス環境の違い、メリット/デメリットを伺いたい。

長谷川: インドを訪れたことがないが、自社を含む製薬産業がビジネスを成功させることは難しい事業環境である。労働組合の強さや州ごとの法律の違い等、乗り越えなければならない困難については、一般的に言われている。これに加え、インドは、高レベルの科学技術や生産・製造技術を持つ、ジェネリック医薬品の世界への大きな供給源であり、インドに比してコスト競争力のない日本の製品が、非常に安価で売られているものと競争することは極めて難しい。インドにはインドの事情があるだろうが、世界貿易機関(WTO)に加盟している一方で、生命に関わるような製品を海外企業が高く売ることについて、政府として(人道面で)認容できないとして強制実施権(コンパルソリー・ライセンス)を発動し、特許期間中であっても安価でしか売らせない、あるいはインドの製薬企業がつくることを許容するという特殊な状況がある。ビジネスとしては難しい。

中国は、価格の規制等もあるが、インドよりはビジネス・チャンスが数段大きい。

Q: 企業のダイバーシティについて伺いたい。厚生労働省では、育児を積極的に行う男性「イクメン」を応援するプロジェクトや、部下の育児と仕事の両立を支援する上司や経営者「イクボス」を表彰する「イクボスアワード」等を実施している。これは、女性のためだけではなく、ダイバーシティ促進によりグローバル競争力を高めるという日本企業・産業のための改革である。実態として、日本企業の現場でダイバーシティはどのくらい浸透しているか。

長谷川: 企業・産業により事情が異なるので個別事例は分からないが、これまであまり取り組んでこなかったことについて、できることはすべてやろうという理解で良いのではないか。「イクボス」は、育児をする部下の働きやすい環境整備のために、メンタリングやコーチングによって理解ある上司を育てるという趣旨であり、良い着眼点だと思う。自社でも、女性管理職候補に向けた特別なプログラムを実施し、そこに上司の参加を求めたりしている。大きく全体の認識、マインドセットを変えるためには大事なことである。表彰と同時に、外部のアドバイザー、コンサルタントの招聘や意識改革プログラムへの政府支援もされるようなので、それはそれで良いと思う。

<「IPPO IPPO NIPPONプロジェクト」第7期活動の開始について> 

前原: 全国の経済同友会と協力して実施している「IPPO IPPO NIPPON プロジェクト」について報告する。本プロジェクトは、東日本大震災からの復興を支援するため、5年間10期にわたり、参加企業・個人から集めた寄附を、被災地に届ける取り組みである。2011年10月の開始以来、6期にわたる活動を行い、全国の370を超える企業・個人の協力の下、総額16億7,000万円余りの支援を行ってきた。被災した専門高校への実習機材の提供を中心に、国公立大学の取り組みなどへの支援を行っており、学校現場はもとより各県知事などからも繰り返し感謝の言葉を頂戴している。被災地は依然として厳しい状況に置かれており、今回、第7期活動を開始したので、引き続きの支援をお願いしたい。

「IPPO IPPO NIPPON プロジェクト 第7期活動」開始のお知らせ

以上

(文責: 経済同友会 事務局)


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