ページの先頭です

ページ内を移動するためのリンク
本文(c)へ
グローバルナビゲーション(g)へ
ローカルナビ(l)へ
サイトのご利用案内(i)へ

ここからグローバルナビです。

グローバルメニューここまでです。

ここから本文です。

2014年度通常総会、理事会後記者会見発言要旨

日時 2014年4月25日(金)17:00~17:30
出席者 長谷川 閑史 代表幹事
北山 禎介 副代表幹事(退任)
長島  徹 副代表幹事(退任)
金丸 恭文 副代表幹事(新任)
志賀 俊之 副代表幹事(新任)
野路 國夫 副代表幹事(新任)

動画を拡大する

北山禎介、長島徹各副代表幹事より退任のあいさつ、次いで、金丸恭文、志賀俊之、野路國夫各副代表幹事から新任のあいさつがあった。

その後、記者からの質問に答える形で、(1)TPP協定交渉、(2)6月公表予定の政府の成長戦略、(3)長谷川代表幹事最後の一年の優先政策課題、(4)金丸副代表幹事の前回就任時との違い、(5)労働規制の緩和、について発言があった。

退任あいさつ

北山: 副代表幹事を3期6年務め、そのうち5年は教育改革委員会委員長として、主として高等教育にスポットライトを当てて活動をしてきた。具体的には、大学のガバナンス改革、評価と情報公開、産学連携などである。産学連携は、企業がもっと大学と連携し、例えばインターンシップや企業が学生の課題を与え議論する形のプロジェクト・ベースド・ラーニング等を行う大学とのプラットフォームをつくるというものである。第一次安倍政権同様、第二次安倍政権でも教育再生は大きなテーマのひとつとなっている。日本が直面する多くの課題に対し、グローバリゼーションやイノベーション、人材育成やそれを支える教育は重要であり、その中で提言などの活動を行ってきた。副代表幹事は退任するが、会員としては残る。また、今年2月には文部科学省の中央教育審議会副会長に就任し、国立大学法人評価委員会委員長としても1期2年を終えて2期(3年)目が始まったところである。経済同友会の教育改革委員会でも委員として活動を継続し、様々な提言や考え方の実践に向けて、諸会議等との橋渡しの役割も担いたい。引き続き皆様方のご指導ご支援をお願いしたい。長い間ありがとうございました。

長島: 2002年3月に経済同友会に入会し、帝人の社長、会長、相談役を務める間の12年間、経済同友会にお世話になった。特に、2010年度からの四年間は副代表幹事を務めた。前半二年間は、ものづくりを中心に担当した。2007年度に桜井正光 前代表幹事から引き継いだ新時代のものづくり基盤委員会で議論を掘り下げ、日本はものづくりだけでは世界に太刀打ちできないと考え、ものづくりに「ことづくり」を加え、2010年度に「もの・ことづくり委員会」を立ち上げた。ものづくりは必要条件でビジネスの入り口、ことづくりは十分条件でビジネスの出口と捉え、ことづくりのできる人材育成に言及した。このテーマに関しては、今後、産官学の協議会で関わっていきたい。2012年度からの二年間は、長谷川代表幹事の下、環境・エネルギー委員会委員長を務めた。担当した当初はまだ民主党政権で、2020年に90年比25%削減というとんでもないような温室効果ガスの削減目標が掲げられていた。また、原発を2030年代にゼロにするとも言われていた。自民党に政権が交代し、原発は再稼働の方向、エネルギー政策も見直されることとなった。ただし、現時点でもエネルギー・ミックスの具体的な数値目標や、温室効果ガス排出の2040年、2050年という長期の削減目標はまだ示されていない。東日本大震災前の原子力中心の政策から、エネルギー源の多様化や電力の自由化に転換されることになっている。安全性(Safety)の「S」および安定供給(Energy Security)、環境への適合(Environment)、経済効率性(Economic Efficiency)の「3E」の重要性については、委員会活動などを通じて国民に少しずつ理解され始めていると感じる。4月10日、2013年度環境・エネルギー委員会の活動を『エネルギー自立社会と低炭素社会の構築―課題の整理と提言』と題して6つの提言にまとめた。詳細はここでは述べないが、水素エネルギー社会の推進もそのひとつである。報道関係の皆様には夏季セミナーをはじめ様々な懇親会等を通じて話ができ、この場をお借りして感謝を申し上げる。経済同友会に入会して良かったのは、日本の経済・社会・政治の諸問題について勉強できたことである。委員会、幹事会関係者、長谷川代表幹事をはじめとする正副代表幹事の皆様にも、これまでのご支援に御礼申し上げる。

新任あいさつ

金丸: (副代表幹事として)再登板になる。99年に経済同友会に入会した。ITバブルやネットバブルの幕開けの時代であり、IT分野での政策提言への貢献を求められていたと思う。入会した当初は、アントレプレナー(起業家)としての経験を生かし、この国に新規事業をどう広めるかという比較的専門分野に近いテーマの委員会を二つ担当した。その後、2004年度から3期6年の副代表幹事を経て今にいたるまで、外交・安全保障をはじめ行政、政治、電力など専門外の分野を三人の代表幹事(北城、桜井、長谷川)から与えられた。2005年度外交・安全保障委員会では日本版NSC、2006年度行政改革委員会では内閣人事局や国家戦略本部の設置を提言した。10年近く経ってようやく日本版NSCや内閣人事局等が実現することになり、振り返れば日本は提言から実現に至るまで10年近くかかる国だと感じる。今後も10年もかかっていたのでは変革に後れを取るばかりであり、経済同友会においても、この国が変革の実行のスピードを上げられるような活動をしたい。2012年度は「30年後の日本を考える」という重いテーマを担当し、2013年7月に提言『日本の将来ビジョン2045「ミトコンドリアとカレーうどん」』を取りまとめた。大きな視野で考えを巡らせ、この提言が経済同友会活動の卒業論文に代わるかと思っていたところ、今回(副代表幹事に)戻り、かつ「経済同友会の将来ビジョンを考える」というテーマを与えられた。前回は30年後の日本という大きなテーマだったが、今回は焦点を絞ったテーマを託されている。引き続き、政治や行政とのインターフェイスである政策懇談会委員長も務めるので、皆様のご支援をお願いしたい。

志賀: 日本がまさにデフレ脱却から成長への軌道に乗れるかというタイミングで、自ら変革し行動する政策集団、経済同友会の副代表幹事を仰せつかり、興奮してわくわくしている。企業自らが変革し成長していく、その総和が国家としての経済成長であろうし、その意味で経済同友会の様々な活動は役に立っており、私自身もそのような意識で活動していきたい。昨年よりアジア委員会委員長を務めている。従来の日本とアジアとの関係は、日本企業がアジア諸国に工場をつくってものづくりをするということが一般的であったが、昨年後半くらいから、もっと重層的な日本とアジアの関係構築ができないかということで活動している。ASEANは大きな市場になりつつあり、日本とASEANが互いに引き合い、ともに成長していくことは可能であろう。例えば、サービス産業(の進出)のほか、アジアを人材育成の道場に使えないか、若い人がどんどん飛び出して起業できないか、またアジアから日本に投資を呼び込めないかなど、様々なチャレンジをしていきたい。副代表幹事として頑張るので、よろしくお願いしたい。

野路: 2012年度より科学技術・イノベーション委員会委員長として、民間主導のイノベーションをテーマにして活動している。活動を通じて感じたこととして、提言を行う上で二つのことに気を付けたい。一つは、事実をしっかりと確認し、現状を把握して、いろいろな人と対話をすることである。実際に現状がどのように動いているのかは、部分的にポイントだけを見るのではなく、いろいろな人と正面から話をしないと分からない。昨日、産業技術総合研究所(産総研)を訪れ、産総研も独自の悩みを持っていることが分かった。副理事長の話を聞いて初めて分かったが、入所当時は40歳になったら産総研を出るのが常であり、そのくらい人材は流動していたが、ここ15年くらいはほとんど動いていないとのことだった。産学連携においても大学は大学で悩みがあり、官は官でいろいろなことがあると思う。データを見たり人の話を聞いたりすることで、現状を把握することから始めなければならない。自社(小松製作所)ではTQM(総合的品質管理:Total Quality Management)で育ったが、現状把握をすれば9割は解決したものと言われており、いわゆるファクト・ファインディングとともに進めていきたい。もう一つは、具体的な提案でなければ意味がない、ということである。基本的に人がやることなので、どのような人材を集めるか、企業は何をするのかも含め、具体的な提案でなければ、考え方や方向性が良くても本当に効果のある提言はできない。これら二点に気を付けながら提言を行い、少しでも経済界や日本のために恩返しをするつもりで、経験を活かしていきたい。

質疑応答

Q: 環太平洋パートナーシップ(TPP)協定における日米協議は、結局大筋合意に至らなかった。合意に至らなければモメンタムを失いかねないとの懸念もあったが、今回の受け止めと、今後日米がどのように協議を進めていけば良いかについて、所感を伺いたい。

長谷川: 長時間におよぶ夜を徹した交渉だったにも関わらず、最終的に大筋合意に至らず共同声明に盛り込まれなかったことは、極めて残念である。しかしながら、行間を読めば相当距離は縮まっているようであるし、交渉の手法も、まず交渉官同士で詰めてから閣僚級で最後に締めるというやり方である。希望的観測だが、共同声明の文章からも、読み方によっては近い将来合意にこぎつけるのではないかというニュアンスを感じている。今回の(バラク・オバマ米大統領)訪日の間に期待に沿わない結果となったのは残念だが、それでもモメンタムはかなり前向きに進んだと思う。近い将来、合意に達するものと期待している。

Q: 日米ともに歩み寄りが必要であるという考えか。

長谷川: 交渉であるため、(双方が)歩み寄らないと(合意は)できない。

Q: TPP交渉について、「行間を読めば相当距離が縮まっている」との発言があったが、どの文面からそう感じたのか。

長谷川: 感覚の問題であり、具体的にどこから感覚を得たかといえば曰く言い難しである。昨日、宮中晩餐会に出席した際に、天皇陛下や来賓が話されている中で、出席していた閣僚の話を聞いていると、(合意に至らなかったことは)残念との感覚はあったが、これでまったく前に進まなくなるわけではないという感触を得た。それも含めて、何とかしなければならないという(閣僚の)気持ちを感じた。

Q: 近い将来に合意にこぎつけるということは、現段階でもある程度のレベルでの何らかの合意がなされたということか。

長谷川: 相当間合いが詰まってきていることは、甘利明 経済再生担当相も述べているし、交渉官や政府関係筋といわれる方の発言も報道にあり、着実に前進していると思う。

Q: 大筋合意に至った場合、日本経済にどのようなプラスがあるのかをあらためて伺いたい。

長谷川: 日本経済は自由貿易で成り立ってきており、その恩恵を最も受けるのも日本である可能性が高い。もう一つ大事なことは、これまでなかなか改革ができなかった分野、例えば農業ではこれを契機に、あるいは既にTPP協定は不可避との意識が醸成されてきており、農業を取りまとめる団体や新たに参入している若い人たちの意識の変革や新しい国論も表れている。改革が遅れていた部分の(改革)促進にもつながると思うので、極めて重要である。

Q: TPP協定交渉について、今回難航しているのは農産物と自動車分野と言われている。志賀副代表幹事に、現状について所感を伺いたい。

志賀: 大筋合意に達しなかったことは残念ではあるが、長時間、真摯に協議・交渉をされた結果であり、前進しているように感じている。自動車分野に関しても、交渉の中身が分からないのでコメントは難しいが、いろいろな局面・角度から検討して交渉されているのではないか。オバマ大統領の会見で、日本の市場は開放されていないとの趣旨の発言があったが、自動車業界に身を置く人間からすれば、日本の自動車市場は世界一開放されていると理解している。米国にとってどの点がそのように(日本の市場が開放されていないと)映るのかを真摯に聞き、業界としても改善すべきところは改善しなくてはならないと思う。

Q: TPP協定交渉の進展が遅れることになる。交渉は相手国があるため進展を早めることは難しいだろうが、成長戦略は国内の問題であり、政府のやる気次第である。6月の成長戦略策定に向け、あらためて成長戦略の重要性などの認識について伺いたい。

長谷川: 成長戦略の主題である日本再興を実現するには、持続的な経済成長を実現し、同時に歳出と歳入の改革を行って財政を再建する(必要がある)。この極めて難しい連立方程式を並行して解かなければ日本の将来はなく、再興はできない。6月の成長戦略は、昨年から改めて進化をさせる形で、産業競争力会議と経済財政諮問会議が合同で、安倍晋三首相の下で進めており、また新たな政策が実現できるのではないかと思う。特に農業分野では、規制改革会議で金丸副代表幹事が民間議員として担当しており、かなり努力して前進を図ろうとしている。経済同友会の幹部が民間議員としていろいろな政府会議に出席しており、連携を取っていく。そのひとつの場として改革推進プラットフォームで情報をまとめ、適宜緊急提言を取りまとめるなどしているので、それをもって成長戦略策定・実行の促進に貢献していきたい。

Q: 長谷川代表幹事の任期が残り一年となるが、改革推進プラットフォームで優先順位を付けるとすれば、どのようなことをやりたいか。長谷川代表幹事の印象的なフレーズとして「変革なくして成長なし、リスクを取れ」という言葉があるが、次の代表幹事に託すものとしてどのような点を重視するか。

長谷川: 代表幹事就任時から、とにかく日本経済を持続的な成長の方向に持っていかない限りこの国に将来はないと考え、2期4年の任期中に少しでもそのような傾向が具体的な形で出るところまで貢献したいし、できれば成長が目に見える形にしたいとしていた。具体的なものではないが、それ(日本経済の持続的成長の実現)にすべてを集中し、提言もその点にフォーカスし、実行する場合の障害をどう取り除くかも提言に盛り込むよう、各委員会にお願いしてきた。昨年度からは、それを進化させた形で改革推進プラットフォームも設置した。(これまでの活動が経済成長の実現に)どこまで影響を与えたかを定量化することは難しいが、経済同友会には、経営者としての実績とともに、幅広い見識を持った個人が揃っており、経済財政諮問会議、規制改革会議、産業競争力会議、税制調査会など政府の主要な会議に民間議員として参加している。メンバーが連携を取ることで、動かなかった規制改革を動かすことにもかなり貢献できていると思う。
後継者については、役員等候補選考委員会で極めて公明正大に議論され、選任される。多くの方がいるので、その方が個性を持って、次の経済同友会をどう引っ張っていくかを考えていただければ良い。長い間改革が停滞していたが、特に日本は他の先進国に比べ、高齢者比率の増加や労働力人口の減少など厳しい制約条件があり、改革の継続は必須である。当面の課題と中長期の課題をともに解決していく必要がある。その意味では、安倍政権は、これまでと比べて少なくとも長期安定政権となる可能性が高いので、優先順位を付けて順番に解決していくことも可能になるだろう。
企業経営者のリスクについて、内部留保は270~280兆円とも言われ、バランスシートでは現金および現金同等物(Cash and Cash Equivalents)として記載されているが、現金が眠っているわけではない。デフレからインフレに向かう中では、早い時期に投資をする方が良いので、ぜひその意識で(投資すべきである)。銀行に預けてもさほど利息は付かないので、リターンを得られるような投資をしていく。そのチャンスはたくさんあるので、今こそ積極的に考える時期である。

Q: 金丸副代表幹事は二度目の副代表幹事就任になるが、前回と今回の経済同友会の雰囲気の違いなどあれば教えてほしい。

金丸: 今年度は、経済同友会の将来ビジョンを考えるPT委員長として、10年後の経済同友会のあり方を考えるよう言われている。10年前に遡ると、2003年に政府がりそな銀行の救済を決断する前、経営者は暗かった。りそな銀行の国有化を契機に株価が上がるとすぐに元気になり、経営者とはいかに単純かと思った。2005~2007年は新興国の特需があり右肩上がりで、当時の経営者たちは日本経済が復活したかのごとく話していた。この3年間に社内の構造改革、例えば設備の刷新などが進めば良かったが、古い設備のままフル稼働をさせていたところにリーマン・ショックが起き、それが一段落すると東日本大震災が起きた。10年を振り返ると、外部環境は目まぐるしく変わったが、経済同友会内は顔ぶれ以外あまり変わっていないように感じる。その中で10年後を考えることになるが、ゼロベースでの検討が命題だとすれば、経済界、経済団体そのものを見直すことになる。経済同友会が存続すべきであるとの結論に達すれば、「第二の設立趣意書」を書くことがミッションとなり、今日から真面目に悩もうと思っている。

Q: 4月22日に産業競争力会議で労働時間等の規制緩和を提案した(「個人と企業の成長のための新たな働き方」)。長時間労働につながるとの懸念もあるが、今回の提案の意義や必要性を伺いたい。

長谷川: (産業競争力会議雇用・人材分科会主査としての)提案は、長時間労働を残業代ゼロで求めるようなものではまったくない。基本的な考えとしては、個人の生活スタイルや人生の段階において、働く時間・場所の利便性は変わってきたりする。子育てや介護(を余儀なくされる段階)も含め、自身の能力を活かしながらフレキシブルな働き方ができることを、労使が合意したフレームワークの中で、本人が希望をすれば、との条件下で可能になるもので、全員が対象となる仕組みではない。(労使合意した)フレームワークの中で、どのようなアウトプットに対してどのような報酬であるかを会社と話し合って決めれば、そのような働き方も可能になる、というコンセプトである。労働基準監督署にも届けて監査を受け、企業内でも労使間で監視し、想定した働き方が実現できていなければ元に戻すなど、まったくフレキシブルに考えている。残業代なしで長時間働かせるブラック企業の例が懸念として挙げられるが、生産性が比較的高く、職場規律を維持し、労使関係も重視している企業に、さらに生産性・競争力を高めるひとつのツールとしてそのような雇用形態を提供することを、生産性が低く法も守っていないような企業があるためにできない、というのは、角を矯めて牛を殺すようなものであり、日本全体の競争力強化という観点からは逆行する。ブラック企業については監督官庁がしっかり取り締まり、そのような労働環境を継続できないようにするのが本筋である。アベノミクスによる景気回復により、人手不足が出てきており、さらに人材の需要が増えれば、より労働環境の良いところに人が動き、ブラック企業のようなところは存続が難しくなることも考えられる。その意味でも、景気回復は極めて重要である。

以上

(文責:経済同友会事務局)


ローカルナビここまでです。

ここからサイトのご利用案内です。

スマートフォン版サイトに戻る

サイトのご利用案内ここまでです。