ページの先頭です

ページ内を移動するためのリンク
本文(c)へ
グローバルナビゲーション(g)へ
ローカルナビ(l)へ
サイトのご利用案内(i)へ

ここからグローバルナビです。

グローバルメニューここまでです。

ここから本文です。

長谷川閑史経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2013年11月12日(火) 13:30~
出席者 長谷川 閑史 代表幹事
前原 金一 副代表幹事・専務理事

動画を拡大する

記者の質問に答える形で、長谷川閑史代表幹事より、(1)東京電力福島第一原子力発電所の除染費用の一部国費投入、(2)COP19、温室効果ガス削減目標、(3)小泉純一郎元首相の原発ゼロ主張、(4)減反廃止、経団連とJAグループとの連携、(5)食材や価格の誤表示問題、(6)フィリピンの台風被害、(7)日中経済協会の訪中への期待、(8)日韓関係、(9)一般用医薬品のインターネット販売、(10)特定秘密保護法案、などについて発言があった。

Q: 東京電力福島第一原子力発電所の事故対応について、11日、自民・公明両党は、除染や中間貯蔵施設の建設に関連する費用の一部を国費負担すべきとの提言を、安倍晋三首相に提出した。今朝、首相はそれを受けた検討を政府内で指示したが、これについて見解を伺いたい。

長谷川: 除染費用を含めて(国が東電に貸し付ける資金は)5兆円が上限とのことだが、現状を見ると、とてもその中で収まらないことは自明の理である。加えて、汚染水対策など様々な問題も出ており、この段階で連立与党の首相への提言を踏まえ、国として関与し、資金を投入することは、タイミングとして妥当ではないかと考えている。

Q: 11日からワルシャワで始まったCOP19(第19回 国連気候変動枠組み条約締約国会議)について、正式な表明はこれからだと思うが、政府が2020年までの日本の温室効果ガスの新たな削減目標として05年比3.8%減を表明する方針だと報道で伝えられている。これについて、所感を伺いたい。

長谷川: (05年比3.8%減の削減目標は、)換算すると1990年比で3%増えることになるため、京都議定書の基準を満たすものではなく、決して望ましい数字ではない。一方で、日本の現状を考えると、あくまでも原発の再稼動をしない前提での数字であり、現時点では、望ましくはないがやむを得ないと考える。各国の了解を少しでも取るよう、努力していただくことが必要になると思う。(東日本大震災後、原発が稼働していない)民主党政権の時から、(国際公約として掲げた「条件付きで2020年までに90年比25%削減」は)無理なので、一度見直しをして現実的な目標に再設定すべきと述べてきた。今回、COP19を踏まえ、安倍政権が新たな削減目標を定めることはやむを得ないと思う。

Q: COP19に関連して、他の経済界トップの記者会見では、現時点で数値目標を世界に表明すること自体が時期尚早ではないかとの見解もあるが、その点についてはどうお考えか。

長谷川: 様々な考えがあるが、日本の現状を考えれば、京都議定書で約束した数値(の維持、改善)が不可能であることは自明の理であり、最終的な新枠組みの合意期限について、日本も米国も2015年までを主張していると聞いている。今の段階で、京都議定書採択時のコミットメント、あるいは鳩山由紀夫元首相が国連気候変動サミットで表明したコミットメントは無理であるということを伝えておくことには、それなりに意味があると思う。

Q: 本日、小泉純一郎元首相が、記者会見で正式に原発に対する持論を発表する予定である。小泉氏の問題提起によって、今後どのような議論が展開されることが望ましいか。また、間もなく発表されるであろう国のエネルギー政策にどのような影響があるとお考えか。

長谷川: 小泉元首相の原発ゼロの主張は、以前から表明されている。元首相とはいえ、現在は政界を離れた私人、個人としての見解であると理解している。一方、政権を担当する首相や自民党としては、日本の経済成長、その元となる電力のリーズナブルな価格での安定供給の責任も持っており、元首相の考えは受け止めるとして、政権は政権でそれに拘泥することなく判断されるものと理解している。

Q: 11日、日本経済団体連合会(経団連)とJA(農業協同組合)グループが、農業の競争力強化について共同で設置した作業部会の初会合が行われた。経済界と農業界の連携の動きについての見解と、政府で減反廃止が検討されていることについて、所感を伺いたい。

長谷川: 経団連とJAが(農業の)競争力を高めようと話し合いを始めたことは、大変ポジティブに受け止めている。農業の競争力強化においては、大規模化と同時に効率化、省人化が必須となるが、個別の、特に零細農家では確立、実行ができない。これも経済界との協力で実現性が高まるし、また、農業の生産性向上の一環としての6次産業化においても、経済界との協力なくしては、大規模法人や農業法人は別として、多くの農家には難しいだろう。その意味でも(経済界と農業界の連携は)大変喜ばしい。
減反廃止について、転作における補助金は現状が続くかもしれないが、(減反について)5年間をかけて廃止していくことは、前向きに受け止めている。

Q: 転作に対する補助金が残される前提であればよい、という趣旨か。

長谷川: 良い、悪いという趣旨ではない。少なくとも、向こう5年間で減反が廃止されることは一歩前進だと思う。減反・転作補助金(転作助成金)がその後も続くのであれば、次のステップとして考える必要があるかもしれないが、激変緩和策として政権が考えての判断だと思うので、注視していきたい。

Q: 食品、メニューの誤表示問題は山を越えた感があるが、最近ではインターネット商取引において楽天の優勝記念セールで、商品に不適切な値段表示がされていたことが明らかになった。一連の流れについて、改めて所感を伺いたい。

長谷川: レストランやインターネットでのe-コマース(電子商取引)など、B to C(Business to Consumer)で直接ビジネスをしている企業においては、自社のやり方を自身のロジックで説明するだけではなかなか通用しない。顧客側がどのように受け止めたのかを常に念頭に置いて対応しなければならないと思う。(このような問題が)次々と出てくることは、大変好ましくない。これを契機に、消費者庁も何らかの働きかけを行うだろうが、自社の足元をもう一度見つめ直し、徹底的に調べて、単なる修正ではなく、今後そのようなことが一切起こらないようなシステムにすることが必要である。個々のレストラン、ホテル、百貨店などと利用客との信用関係(が損なわれる問題)であると同時に、これまで日本の良いところであると謳ってきた食の安全・安心に疑問を投げかけることにもなりかねない。ひいては、これから力を入れようとしている観光にも悪影響を及ぼす可能性があるので、早くこの問題に終止符を打っていただく必要がある。

Q: フィリピンでは台風30号の直撃で大きな被害が出ており、一部の日系企業も被害を受けていると聞くが、受け止めを伺いたい。また、経済界として支援等を行う予定はあるか。

長谷川: 開催中のCOP19において、フィリピンの交渉官が発言時間を延長し、17分間にわたり国の被害状況を報告したとの報道があった。中心気圧が約900ヘクトパスカル、最大瞬間風速100メートルを超える規模の台風は、我々の理解をおよそ超えるもので、尋常ではない。被害も1万人を超えるかもしれないという極めて悲惨な状況である。この台風が地球温暖化と無関係とする根拠はない。このような被害ができる限り起きないようにするためにも、世界全体が地球温暖化防止に取り組む必要がより増したし、その認識を高めていく必要がある。

前原: 経済三団体とも、フィリピンとは強い関係があり、一緒に何かできないかを相談しているところである。

Q: 先日、中国の企業トップが来日して意見交換をし、先週は経済同友会として訪中ミッションを派遣したと聞いている。来週、日中経済協会が北京を訪問する予定であるが、期待について伺いたい。

長谷川: 政治と経済をできるだけ切り離すと言っても、なかなかそうはいかないのが実態である。その中でも、中国から企業トップの代表団が来日し、本会中国委員会でも訪中ミッションを派遣した。中国経済が高速成長から中高速成長になりつつあることは中国政府も認めており、日本との経済交流、日本からの投資の重要性は、少なくとも地方政府としてはひしひしと感じているように、訪中ミッションの参加メンバーから報告を受けている。仄聞するところ、日本車の販売も昨年を上回るところまで戻っているようであり、民間レベルでの経済交流がさらに深まることが望ましい。

Q: 経済同友会の訪中団の感触も良かったとのことか。

長谷川: 歓迎され、先方の受け止めもポジティブであったと聴いている。

Q: 先般、経済4団体で日韓の経済関係に関する声明を公表したが、日韓関係も非常に厳しい状況にある。特に、韓国の大統領は対話も難しい状況であるが、この状況について所感を伺いたい。

長谷川: 今のような関係が双方にとって良いはずがないのは間違いない。特に、朴槿惠大統領就任後、日韓首脳会談が一度も行われていないことは極めて異常である。以前はシャトル外交ということで、少なくとも年に一度は必ず交互に訪問し、話し合いを持っていたが、それすら実現されていない。今回の経済4団体の声明については、基本的な考えとして、1965年に締結された日韓基本条約、請求協定で国家間ではすでに解決された問題に対し、韓国の司法の判断がそれとは違う形で下ることについて、何とかしていただきたい、今後双方が合意している未来志向の関係をつくることに影を投げかけかねない、という懸念から表明した。韓国政府も公式には司法の趨勢を見守りたいとしている段階と理解している。いずれかの段階では、個別の民間企業としてというより、政府が何らかの形で話し合いをし、方向性を見出されることが望ましい。

Q: 一般用医薬品のインターネット販売について、スイッチ直後の23品目と劇薬5品目、計28品目を残して解禁の方向で進みそうである。全面解禁とはならず、これをもって三木谷浩史楽天社長は産業競争力会議の民間議員を辞すとも見られている。解禁の度合いに対する所感と、三木谷氏の行動についての受け止めを伺いたい。

長谷川: 三木谷氏は、一部制限する政府方針のまま薬事法改正案が成立すれば、産業競争力会議の民間議員を辞めざるを得ないと述べられたと理解している。
一般用医薬品の99.8%の品目のインターネット販売を解禁するというのが政府方針で、この99.8%をどう考えるかは理念、哲学論争になる。全面解禁にこだわるか、一方、これは殆どすべてであり、28品目中23品目も3年間の安全性確認期間が終われば解禁になるとの受け止め方もあるだろう。その点を第三者がコメントすることは難しい。(安全性評価の)モニタリングについて、対面販売をしている薬局では随時アンケート調査でフォローアップしていると理解している。インターネット販売では少なくとも住所は登録されており、(対面と)同様のモニタリングができないかについて、もう少しきちんと冷静に検証されても良いのではないか。

Q: 特定秘密保護法案について、議論不足のまま成立してしまうのではないかとの懸念があるが、所感を伺いたい。

長谷川: 報道各社によるアンケート調査ではかなり反対が多く、国会でできる限り丁寧に質疑をされることで、国民の不安の払拭に努めていただく必要がある。一方、政府が述べているように、安全保障上の同盟国との情報交換について、特定の秘密を守ることを約束・担保するような法律も必要であることは理解できる。過去にイージス艦の機密が漏れたことなどを鑑みれば、特定の秘密を守る法律がなくても良いというのも難しい。国民の理解や納得が得られるよう、できる限り詳細を丁寧に説明されることが望ましい。拙速は避ける方が良いのではないか。

Q: 米国にも同様の法律があるが、「知る権利」も担保されている。知る部分がないがしろで機密の部分だけを強化されるのは少し違うのではないか。

長谷川: (米国の法律の)詳細は把握していないが、米国の医薬業界で言えば、食品医薬品局(FDA: Food and Drug Administration)にはFreedom of Information Act(FOIA)という法律があり、例えば、競争会社の工場がどのような査察を受け、どのような警告文書を出されたかなどは、問い合わせれば分かる仕組みになっている。日本も、機密保持と同時に開示すべきものや、公共に利するための情報開示は、もっと考えても良いかもしれない。

以上

(文責:経済同友会事務局)


ローカルナビここまでです。

ここからサイトのご利用案内です。

スマートフォン版サイトに戻る

サイトのご利用案内ここまでです。