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長谷川閑史経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2013年02月26日(火)13:30~
出席者 長谷川閑史 代表幹事
前原金一 副代表幹事・専務理事

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記者の質問に答える形で、(1)2012年度補正予算の成立、(2)環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉参加、(3)農業改革と産業競争力会議、(4)為替、(5)日本銀行総裁人事、(6)法制審議会民法(債権関係)部会による債権法改正の中間試案、(7)イタリア総選挙、(8)電気料金値上げ、について発言があった。

その後、前原金一副代表幹事・専務理事より、「全国44経済同友会共催 第26回全国経済同友会セミナー(岩手)『われ世界のかけ橋とならん ~復興から始まる新生日本~』<2013年5月23日(木)、24日(金)(盛岡市)>」の開催について、説明があった。

最後に、長谷川閑史代表幹事より、産業競争力強化・規制改革に関して、日本版NIHについての提案があった。

Q: 国会では、今年度補正予算が今日夕方に成立する見通しである。緊急経済対策を柱とし、総額13兆円を超える過去2番目の規模となる補正予算だが、受け止めを伺いたい。

長谷川: (今年度補正予算は来年度予算とセットの)実質上「15か月予算」ということで、2012年第4四半期もマイナス成長であるという実態を考えれば、一刻も早い大規模の補正予算が組まれることが妥当であると思う。早く承認され、執行されることが待たれており、歓迎すべき状況である。

Q: 環太平洋パートナーシップ(TPP)協定について、安倍晋三首相は近く交渉参加表明をする方向である。改めて受け止めと、交渉参加にあたっての政府へのアドバイスを伺いたい。

長谷川: (受け止めは)代表幹事コメント「日米首脳会談の結果について」(2月23日)で述べた通りである。場合によっては参議院議員選挙後まで(TPP交渉参加表明の)決断が先送りされるのではないかとの憶測もあったが、「第三の矢」である成長戦略に結び付けるためには欠くべからざる必要な政策課題であるとの(首相の)認識もあったと思う。もちろん事務方の苦労があったことも想像に難くないが、安倍首相から、日米首脳会談の場で持ち出され、(バラク・オバマ大統領に)日本の立場を縷々説明された。米国の知人によると、最終的な表現や共同声明等については安倍首相との会談を経てのオバマ大統領の判断に委ねられていたと聞く。その中で、(安倍首相は)共同声明にまで持っていった。(「一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではない」との内容は、)当たり前といえば当たり前ではあるが、建前としては言えない問題について巧みな表現で合意に達し、なおかつ共同声明に盛り込まれたということは、公式の(交渉)参加表明に(向けて)大きく進展したと理解するし、これ(経済連携)が成長戦略の柱であり、貿易立国である日本にとって極めて重要であることを考えれば、大変高く評価すると同時に、我々としてバックアップする術があれば全面的にバックアップしたい。

交渉に対するアドバイスは現段階では持ち合わせていないが、(TPPは)対象品目が9,000品目と聞いている。これまでのEPA/FTAで、日本は、概ね900品目で例外は約1割といった程度の経済連携しか経験してこなかった。結果として例外はあるものの、TPPのコンセプトは「原則例外なき関税の撤廃」であり、従来のものより(例外を)絞った形になることは想像に難くない。交渉云々より、(例外に)大きく関与している農業について、産業競争力会議(2月18日開催)での新浪剛史議員を中心とするペーパー(「日本の農業をオールジャパンでより強くし、成長輸出産業に育成しよう!」)にもあったように、日本の農業の競争力を強化し、国家ビジョンをもって輸出産業に育てていくといった発想が必要である。これを(TPP交渉と)同時並行的に行うことで、結果として、自由民主党の公約にもあるトータルとしての国益を損なわない形でのTPP交渉(参加)、そして締結につなげていくことを、心から望んでいる。

Q: 産業競争力会議について、農業に関する提案は、新浪さんや長谷川さんなどの共同ペーパーと、佐藤(康博)さんや坂根(正弘)さんなどの共同ペーパーの二通りが出された。一部報道では、産業競争力会議の民間議員の分裂説や官僚主導で会議になるのかといった憶測もあるが、いかがお考えか。

長谷川: 本来であれば、どのテーマにおいても民間議員のペーパーは一本化されることが望ましいが、今回の農業問題については、二つの民間議員ペーパーが出る結果となってしまった。新浪さんが取りまとめたペーパーは、経済同友会の農業改革委員会委員長としてまとめたもののエッセンスであり、個人的にも経済同友会としても支持していることから名を連ねた。今後は、こうした(民間議員から同じテーマで二つのペーパーが出るような)形にならないよう、事前の打ち合わせなどで一本化の努力が図られると期待し、理解している。始まったばかりで(不十分な点が)あり、そういう(分裂といった)ことではない。

Q: 農業改革に関して、ウルグアイ・ラウンドの際には約6兆円の補助金を使ったが、お金を使うことの是非、またその使途について、意見を伺いたい。

長谷川: (先述の)新浪議員ペーパーにもある通り、補助金については、期限を決めてフェイドアウトし打ち切る対象と、競争力をつけたり、山間地で環境や自然の美観保護のために保持していくことが重要と考えられるものについては、欧米など諸外国でも行っているような長期間の補助を出す対象とに、メリハリをつけて分けていくべきである。激変は緩和し、次の体制に向けて準備を整えられるような環境、あるいは、土地の貸借などを自由にできる環境の整備など、網羅的に述べているペーパーの通りである。

Q: 産業競争力会議において、ターゲティング・ポリシーはもうなくなったのか。また、あるとすれば評価を伺いたい。

長谷川: (ターゲティング・ポリシーは)ある。国際最先端基準もあり、基本的にそれ自体は悪くない。私自身も、例えば「日本をアジアで最も起業しやすい国にする」というコンセプトで特区をつくり、税金やリスクマネー、ビザの獲得、教育インフラなどをすべて整えて、アジアの起業したい方々に来てもらい、(起業の)バックアップが受けやすい環境を考えてはどうかと提言しており、それも一つのターゲティング・ポリシーである。

Q: 政府が成長分野を特定したターゲティング・ポリシーになるのか。

長谷川: 政府の考えは基本的に、コンセプトとしてのターゲットはするが、どの産業をどうするかというターゲットはしないと理解している。それ(どの産業をどうするか)は民間が決めるという発想のターゲティング・ポリシーで、国際最先端基準についても同様だと思う。

Q: 為替について、週明け1ドル=94円台までつけたが、今日はイタリアの総選挙事情もあり、足下92円前後と急激な円高となっている。これが経済に与える影響と、政府の金融政策への要望を伺いたい。

長谷川: 日本銀行総裁人事がどこまで(為替に)影響しているかは知る由もないが、円高の是正がここまでくると、イタリア総選挙など様々なファクターから、(円相場が)少し上がったり下がったりすることはあり得べしと考えておくべきであろう。以前から述べている通り、為替相場は市場が決めることで、どの程度が妥当と述べるつもりはない。

政府の金融政策については、3月19日の日銀総裁交代後、新たな総裁・副総裁体制の下でどのような金融政策が打ち出されるかを注目して見守りたい。安倍首相が何度も述べられている通り、政権が考える金融政策と基本的に考えが一致する総裁・執行部人事であることを考えれば、そこ(新体制への交代後)に何らかの動きがあるかもしれない。

Q: 日銀総裁人事に関連して、(候補に挙がっている)黒田(東彦)氏の評価を伺いたい。

長谷川: 個人的によく存じ上げているわけではないが、過去2年間ほどダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)でご一緒した。大変明るく誠実なお人柄とお見受けし、良い印象を持っている。専門分野や過去の実績については報道での知識しか持ち合せていないため、黒田さんが(日銀総裁として)どうかについては、コメントを差し控えたい。

Q: 法制審議会民法(債権関係)部会による債権法改正の中間試案が本日まとまるが、意見を伺いたい。

長谷川: 2月20日に企業・経済法制PT(委員長:冨山和彦)にて意見書「民法(債権関係)改正に関する意見」を発表し、内容はそれに尽きるので参照いただきたい。

前原: 弱者保護的な思想は持ち込まない方が良いという趣旨である。民法は基本的な法律であるため、そこで規定されると現在の取引実務も影響を受けることになり、ビジネスが硬直的になる懸念がある。民法で規定するものと特別法で決めるものは分けるべきで、現状約款でも多くは各業法できちんと対応しており、民法で縛る必要がない部分まで盛り込むべきではない。

Q: イタリアの総選挙の結果を受け、ユーロの不安再燃を懸念する声も上がっているが、受け止めを伺いたい。

長谷川: ある程度予測されたことではあったが、上院と下院がねじれの状況になった。(上院・下院が)中道右派と中道左派に分かれてしまったことは、イタリアあるいはユーロ圏にとって好ましい状況ではないが、これも選挙民の選択の結果である。これからどういう形になるかは想像が難しく、連立の協議が進むのか、場合によっては再選挙になるのかは予測し難い。希望的観測も含め、イタリアのリーダーとして、イタリアがユーロ圏の不安定要因になってはいけないとの認識だけは押さえているだろうし、それを壊すことだけは絶対にしてほしくない。一部の国民がどう思おうと、リーダー達としてここは最低限守っていただきたい。しばらく様子を見ないと現段階では(どうなるか)分からない。ギリシャも今の政権に落ち着くまでには紆余曲折があった。

Q: 電気料金の値上げの動きが、被災地である東北や、四国などに広がりを見せている。産業界として懸念もあろうが、所感を伺いたい。

長谷川: 残念ながら、現状では(値上げは)やむを得ない。今や電力の90%が火力発電であり、かつての60%程度から一気に30%程度も増加した。その状況下で、一説によると10円の円安により年間1兆円の化石燃料の輸入コスト増になると言われているようだが、(電気料金を)値上げしなければ、ほとんどの電力会社が今年中に債務超過に陥ることも想像に難くない。その中での値上げは、他に選択肢がなければやむを得ないだろう。

産業界としては、もちろん歓迎するものではないが、既に実施していることも含め、できるだけ自己防衛的な措置を講じる必要がある。例えば、自社(武田薬品工業)でも行っているが、自家発電装置の購入や、夜間の安価な電力を蓄電してピークカットに使用するなど、様々な対策がある。一方で、これらの対策にも限度あり、当面の課題として、原子力発電について、設備はもちろん活断層等の問題に関しても、安全性が確認されたものから再稼動することを考えなければならず、その緊急性は今後増してくるものと考える。

前原金一 副代表幹事・専務理事より、会合案内

前原: 2013年5月23日(木)、24日(金)、岩手県盛岡市にて「全国44経済同友会共催 第26回全国経済同友会セミナー(岩手)『われ世界のかけ橋とならん~復興から始まる新生日本~』」を開催する予定である。

Q: 日米両国の企業・団体・個人が支援する「TOMODACHIイニシアティブ」で、武田薬品工業は3億円程度拠出していると思うが、経済同友会あるいは個社として、具体的なプロジェクトに取り組んでいるのか。

長谷川: 武田薬品工業では「TOMODACHIイニシアティブ」に比較的早くコミットし、年間3,000万円、3年間の寄付で支援している。この使途は、大部分がひも付きではないアドミニストレーション・サポートである。企業によっては、特定のプログラムに使いたいと要望し、サポートしているところもある。また、自社では、2011~2013年の3年間、アリナミン1本および1錠につき1円を寄附する「アリナミン基金」を設け、年間9億円の寄附を続けている。その一部を「IPPO IPPO NIPPON」プロジェクトや被災地の必要なところに資金を配布するNPO法人を通じて間接的に寄附している。

長谷川閑史 代表幹事より、産業競争力強化・規制改革に関する所感

今まで突き崩せなかった岩盤の一つに「省庁間の壁」がある。その壁を破るシンボルの一つとして、日本版NIH(National Institutes of Health:米国立衛生研究所)の創設を提言している。ライフ・サイエンスの予算は、文部科学省、経済産業省、厚生労働省の三つの省にまたがっており、各省から様々なところに研究交付金という形で出されている。総合科学技術会議が一部役割を果たしているが、本来であればライフ・サイエンスとして、NIHのように一本にまとまり、大学や独立行政法人の研究所などのアカデミアと、応用研究のような出口戦略をする企業との間の橋渡しの役割を果たすべきである。ヘルスケア分野では、どの先進国でもNIHのような機能の組織を持っており、ぜひ省庁間の壁を破る一つの事例として取り組んでいただきたい。実現のためには、ガバナンスを明確化し、人材・権限・予算を集中することを強くお願いしている。他の産業分野について詳しくないが、このようなコンセプトが他の産業でも有効に機能するのであれば、(他の産業分野についても)考えていただきたい。

以上

(文責:経済同友会事務局)


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