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2011年度通常総会、理事会後記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2011年04月27日(水)17:00~17:30
出席者 桜井 正光 代表幹事(退任)
長谷川 閑史 代表幹事(新任)
芦田 昭充 副代表幹事(退任)
小枝 至 副代表幹事(退任)
數土 文夫 副代表幹事(退任)
萩原 敏孝 副代表幹事(退任)
勝俣 宣夫 副代表幹事(退任)
前原 金一 副代表幹事・専務理事
柏木 斉 副代表幹事(新任)
小林喜光 副代表幹事(新任)
橘・フクシマ・咲江 副代表幹事(新任)
藤森 義明 副代表幹事(新任)

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芦田昭充、小枝至、數土文夫、萩原敏孝、勝俣宣夫各副代表幹事および桜井正光代表幹事より退任のあいさつ、次いで、長谷川閑史代表幹事、柏木斉、小林喜光、橘・フクシマ・咲江、藤森義明各副代表幹事から新任のあいさつがあった。
その後、記者からの質問に答える形で、(1)優先したい課題や政策、(2)震災の復興財源、(3)原発事故の賠償責任、(4)日本のエネルギー政策、について発言があった。

退任あいさつ

芦田: 4年間(の副代表幹事任期中)の最後の2年は、経済情勢・政策委員会の委員長を担当した。先般の震災が起きるまでは、経済情勢は非常に順調に回復しており、2011年は2007年レベルに戻るのではと考えるほどだった。東証一部上場企業の利益水準から見ると、2007年は44兆円、2008年は大きく落ちて12兆円、そこから2010年に33兆円程度まで回復し、2011年は2007年レベルに戻るかと期待していたが、大震災によって足踏みする(ことになった)。しかし、やり方によっては2012年(来年)度には2007年レベルに戻る可能性があると期待している。

日本経済全体を見ると、1990年と現在とを比較した場合、日本のGDPの中味が大きく変わっている。設備投資が30兆円減った一方、GDPは500兆円と横ばいなので、何かが増えており、それは政府の支出である。その結果として、国と地方の債務残高が大きく増えてきた。このような傾向では、あと3?4年しか余裕がないと思う。個人の金融資産はネットで1,100兆円と言われているが、現在の債務残高が900兆円なのであと200兆円、毎年50兆円ずつ国債を発行すると、あと4年しか(余裕が)ない。その前に恐らく大きなことが起こるので、もう余裕がない。(このような課題に対する)回答が、桜井・前代表幹事がまとめられた「2020年の日本創生」で、ここに処方箋が書いてあると思う。これを着実に進め、日本が大変大きな危機になるのを防がなければいけないと感じた。

小枝: 4年間大変ありがとうございました。(任期中は)規制改革委員会、財政・税制改革委員会を担当した。一番印象に残っているのは、2009年11月に財政・税制に関する提言(「財政健全化に一歩を踏み出し、持続的な成長につなげよ?歳出・歳入一体改革の早期断行を求める?」)を発表した。その際、基礎年金一律(月額)7万円(の給付)と、消費税(率)を(段階的に引き上げ)最終的には17%(とすること)を提言した。17%という税率がさほど注目されなかったことが意外だった。東日本大震災は、大変なことで、被害に遭われた方は大変なご苦労をされていると思うが、日本全体で考えた場合、日本人のハードやソフトの潜在能力を発揮すれば、必ずリカバーできると信じている。ただし、元へ戻すだけでなく、改革を加えなければならない。そのためには、今まで経済同友会が提言した内容を実行することが重要なので、今後に期待している。

數土: 一言、今は非常にリラックスしている。それだけである。

萩原: 4年間にわたり、メディアの皆様に大変お世話になった。この場を借りて御礼申し上げる。任期中は、アジア委員会の委員長を務めた。一昨年、昨年と、経済同友会として初めて韓国ミッションを実施した。また、経済同友会では36年間にわたり、日本・ASEAN経営者会議を開催しており、この4年間は議長を務めた。大変印象深かったことは、この間にASEANの企業が経済成長に乗り、会議での発言に、年を追うごとに自信が表れてきたことである。一方、日本は、停滞というべきか萎縮というべきか、元気が無く、(以前は日本とASEANとの間にあった)相当な差が詰まってきたとの実感があった。このような活動を通じ、アジアの地域経済連携の強化やTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は何がなんでもやるべき、と繰り返し述べてきた。我々の力の無さもあったと思うが、遅々として進んでいない状況である。震災によってこのような話題から遠ざかっているようだが、新しい代表幹事やアジア委員会委員長には、アジアや世界に目を向け、強力に推進いただくようお願いしたい。

勝俣: 2003年に経済同友会に入会して8年、そのうち3年間副代表幹事を務めた。委員会としては、郵政公社民営化委員会、中国委員会、経済外交委員会、国際問題委員会、そして「日本的コーポレート・ガバナンスのさらなる深化」(2010年3月)を提言した企業経営委員会と、色々勉強させていただいた。今振り返ると、もう少し実行するような形での提言にしたかったと思っている。最終的な結論をどこかでポピュリズムに合わせるというか、勇気を持って打ち出すことができなかったと思う。今後、新しい執行部がそれを実践していただけるのではないかと期待している。

桜井: 先般(4月20日)の総括会見で十分述べたので、一言だけ。今回の震災は東北地方を襲っただけでなく、現下の重要な課題や政策を先延ばしにし、日本の脆弱性をますます深めてきた、そうした政治・行政を直撃したのだということ、これを忘れてはならない。「2020年の日本創生」を、何としても自分たち(政治・行政)で作り、復興はそのビジョンを達成するためのものとし、また、政治のあり方も立て直す、ということに尽きる。新しい体制には、本日の長谷川新代表幹事の就任挨拶にあった通り、「実行する、行動する、成果を出す経済同友会を目指す」とのことなので、ぜひ頑張っていただきたい、期待している。

新任あいさつ

長谷川: 詳しくは就任挨拶で述べたので重複は避ける。製薬会社の社長として今の日本をたとえるならば、「慢性疾患に苛まれていた患者が、さらに命に関わるような重篤な急病に襲われた」といった状況ではないかと思う。しかし、ものは考えようで、私は「水が半分入ったコップ」を見ると「半分も入っている」と受け取るタイプで、良くなる余地は随分あると考えている。皆さんの力を借り、アドバイスや叱責をたまわれれば大変ありがたい。

柏木: 待ったなしの経済・財政情勢というタイミングで(副代表幹事という)大役を承り、大変緊張している。桜井前代表幹事を中心にまとめた「2020年の日本創生」をどう実現していくかが我々のテーマだと思っている。そのためには、(提言の)精度をいかに上げるか、障害をどう取り除いていくかといったことに取り組んでいかなければならない。経済同友会の中の議論を活性化させることに加え、他団体との意見交換や協働などを含めて行動の枠を広げていきたい。

小林: 長谷川新代表幹事の就任挨拶が見事に整理されており、もう(私は)ついていけば良いのでは、というのが今日最大の結論である。経営改革委員会を担当するが、「3.11」以降のキーワードを挙げれば、「グローバリゼーション(globalization)」「日本の特異性を活かすdifferentiation」「イノベーション(innovation)」、そして「サステイナビリティ(sustainability)」ではないか。この辺りをより深く探って、日本の再生に少しでも力を尽くせればと思っている。

フクシマ: 20年間にわたって米系の人材コンサルティング会社で仕事をしてきた。その間、日本の人材のグローバル化の遅れ、特にアジア諸国に比べての遅れに、大変な危機感を抱いてきた。一方で、今回の震災の結果、海外メディアの間では、非常に冷静沈着で忍耐強いという日本人像の再認識も行われている。私自身は、そうした強みを内に秘めながら、世界の激戦の中で逞しく勝ち抜ける日本人像が絶対不可欠だと思っている。今年度は、成長戦略の基盤となるような人材の部分の委員会を担当する。どちらかと言えば「コップに水が半分しか残っていない」と騒ぐタイプなので、危機感を持ちながら、経済同友会の海外経験豊かな経営者も含む会員の意見を取り入れつつ、ぜひ実行可能な良い提言をまとめたい。

藤森: いま日本は大変な危機に面しているが、その中にあってもグローバリゼーションは容赦なく進行しており、国の戦略として、もっと国の門戸を開放していく必要がある。私は、経済連携をテーマにした提言(の取りまとめ)と、それを実行していくための戦略に取り組んでいきたい。経済同友会も、もっと国際的な発言・発信をしていかなければならないと考えている。私のGEでの25年間の経験をベースに、長谷川新代表幹事のビジョンを達成できるよう、できる限りの努力をしたい。

質疑応答

Q: 総会の挨拶で「提言の実行力」について、「理想はすべての提言を実行することだが、優先順位がある」とあった。就任された直後の今、最初にやらなければならないことは何と考えているか。震災復興と「2020年の日本創生」と言われるだろうが、総論ではなく各論で「これだ」と思っていることがあれば伺いたい。

長谷川: 就任挨拶で述べた通り、何とかこの日本(経済)を停滞から脱出させ、安定的でマイルドな成長の路線に戻したい。2期4年の任期中に、実際の数字で表せればその方が良いが、少なくとも兆候を示したい。成長の要素として考えれば、「投下する労働力」「投下する資本」「全要素の生産性(向上)をもたらすイノベーション」の3つがあり、これらを最優先としたい。時間のかかるものも比較的短期間でできるものもあるかもしれないが、一つひとつ深く掘り下げて具体的な提言を行い、それらを実行するにあたってどのような阻害要因があるかを分析し、それをどう取り除くかまでを考えたい。そこまで詰められたら、政府与党や野党第一党の政策担当責任者の方と、経済同友会でパネル・ディスカッションを行い、どこが受け入れられ、どこができないか、ある程度の合意形成をして実行を担保していきたい。現段階では、桜井前代表幹事がずっと述べていたPDCAサイクルを少しでも回していければと思っている。

Q: 震災復興に関する財源について所見を伺いたい。また、原発が復興を阻んでいるが、この賠償責任について、政府と東京電力それぞれがどこまで役割を果たしていくのか、またどういったスキームが考えられるのか、考えを伺いたい。

長谷川: まず、復興財源については、経済同友会がこれまで出した2つの緊急アピールや桜井前代表幹事が定例会見で説明してきた通り、2011年度予算は平時に作成されたものであるため、今回の震災のような緊急事態に際しては、当然見直されるべきだろう。予算の見直しについて、常に「無駄の排除・削減」と言われるが、それは誤解を招く言い方で、予算には優先順位や緊急度の高低があるだけだと思う。緊急時に至っては、優先順位や緊急度の低い予算から削り、関係者にきちんと説明をして納得を得るという段階を踏み、どこまで出せるかをまず明確にすべきである。

第二段階として、復興(特別)基金を創設し、その財源としての復興基金債を発行する。国が償還を保証するのなら国債と同じではないかという解釈があるようだが、復興基金債の位置付けは(以下のように考えている。)現在、日本全国で種々の支援が行われているが、(復興のための具体的な支援活動になかなか手を差し伸べられないもどかしさを感じている方もいるだろう。)その中でこれ(復興基金債)を購入することで、被災者・被災地への復興のための支援を実現するためのツールにもなると考えている。このような人間のメンタル面を考え、制度を構築すべきだと思う。

最後に、(今はまだ)復興に必要な(財源の)額がはっきりしない段階で、実際にその償還などの財源をどうするかについては、予算をぎりぎりに絞った上でもなお足りない部分が出てくるだろうし、恐らく税金という形で求めざるを得ないだろう。その場合、個人的には、日本の状況は直接税に偏りすぎていることと、毎年の景気変動にあまり左右されずにある程度一定の税収が得られることからも間接税の方が良いのではないかと思う。但し、(必要な財源の)総額が見えない段階では、増税は時期尚早と考える。

原発事故の(賠償や補償の)問題は、既に東京電力の皆さんができることは全てやろうと、資産の処分や経営陣・従業員の大幅な賃金カットなど、色々なイニシアティブをとっておられる。経営者として、率先してそのような行動をとられていることには敬意を表したい。不幸にして今回のようなトラブルを発してしまった企業の経営者が最初にやるべきことは、できる限りの補償のための財源の捻出に最大限の努力をすることだと思うし、その方向で行動をとっておられると思う。最終的に必要な補償(の総額)とそれをどう賄うかについて、東京電力が崩壊してしまうような形での負担を求めると、結果として国が負担することになってしまう。その見極めは、どれだけのものが必要かを考えた上で、これから関係者同士がよく協議をしながら決めていかなければならないだろう。気を付けなければいけないのは、これは東京電力だけの問題でなく、原発を持っている電力事業社9社全てに関わってくる。今回、仮に東京電力の社債の格付けや株価が暴落して回復できないという状況になると、原発事故を起こすと会社が潰れかねない、資金調達もできないというメッセージを送ることになりかねない。日本の(電力供給の)現状から言えば、原発(全て)をいますぐに止める訳にはいかないので、よく考えた上で、政府と東京電力の負担を含めて考えていくべきではないか。

Q: 日本のエネルギー政策について、原子力発電所がこのような事故を起こすと、住民にも不安が広がり、日本国民全体としても不安に思っているところがある。今後の日本のエネルギー政策を考える上で、原子力発電をどのように位置付けていくべきか。

長谷川: 現状を考えると、自国で供給できるエネルギーは全体の3%に過ぎない。残りは、火力、水力、原子力で発電しており、そのうち原子力発電は(総電力量の)30%前後を供給している。被災地、特に福島第一原発の周辺(住民)や風評被害を受けられた方の心情を察すれば、(原発を)止めてほしいというお気持ちは十分に分かる。一方で、現状を考えると、(原発を)止めるにしても、どのような時間軸で、どのようなプロセスで止めていくのか、果たしてそれが現実的なのか、といったことをよく考えた上で決めないと、対応や納得が難しいのではないか。

私の感想としては、例えば40年、50年の時間軸で見れば、その間の技術の進展にもよるが、再生可能エネルギーで代替することも可能かもしれない。(代替するだけの)効率性や量などが実現できるのであれば、理屈の上から考えれば、原発に比べて再生可能エネルギーの方が安全であることは間違いない。しかし、現状を見れば、(すぐに)原発そのものを(全て)止めてしまうことは、少し無理な論理ではないかと感じる。また、政府は、今回の事故が起こる前は、2020年までに9基、2030年までに14基の新しい原発を建設するという方針を出していたが、これは当然見直しが必要だろう。新しい原発(のシステム)では、ジェネレータ(発電機)がなくても(炉心を)クールダウンできるような技術も開発されていると聞いている。それが事実であれば、(原発の新設について近隣住民の理解を得るには相当の努力が必要だろうが、)より安全性の高いものを建設し、そうではないものをクローズ・ダウンしていくことで、技術の継承や革新を図っていくこともできる。今回の事故後も、ベトナムは日本に原発をお願いしたいと表明しているし、米・オバマ米大統領も今後も再生可能エネルギーを推進していくとして、その中には原発も含むと表明している。こうしたことも考えた上で、国民のコンセンサスを得て実行可能な案を作ることが大事ではないかと思う。

以上

(文責:経済同友会事務局)


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