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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2011年03月15日(火)13:30~
出席者 桜井正光 代表幹事
前原金一 副代表幹事・専務理事

冒頭、前原金一副代表幹事・専務理事より「2011年3月(第96回)景気定点観測アンケート調査結果」を、桜井正光代表幹事より緊急アピール 「東北地方太平洋沖地震への対応に関する緊急アピール」を説明した後、記者の質問に答える形で、(1)経済見通し、(2)電力使用の総量規制、(3)政府・自治体の対応、(4)被災した就職活動生への配慮、(5)政府・与党と産業界との連携、(6)原子力発電のあり方、(7)企業の被害状況と立て直しの見通し、などについて発言があった。

Q: 東北地方太平洋沖地震を踏まえ、今後の経済見通しについて所見を伺いたい。

桜井:  (見通しは、)当然良い方向ではないが、非常に難しい。まず、被災に遭った地域では、生産能力や人手がかなり被害を受けているので、その影響でかなり痛むだろう。また、日本全体として、企業経営の面からは、被災地域から部品・材料の調達をして全国に商品として供給しているため、部材の調達が企業活動に対する阻害要因になる。第3に、何より大きいのは原子力発電所の被害である。東京電力のサービス領域(のGDP比率)は、日本全体のGDPの40%程度を占めており、その東京電力の発電能力のうち福島第一、第二(原子力)発電所の比率は約20%である。単純に計算しても、日本全体のGDPに対して約8%の被害という認識で、それくらいあるいはそれ以上の影響力があると思う。今後色々とシミュレーションをすればGDPマイナス要因が出てくると思う。民間アナリストの試算では、日本全国で(見た)GDPの下押しは、2011年度ベースで約0.2~1.0%とある。

さらに、株価と為替の問題がある。株価は、昨日今日の落ち方は非常に激しく、昨日(3/14)で9,600円、今日(3/15)で8,600円台である。原子力発電所(の被害)が主な不確定・マイナス要素で、生産減による企業業績の悪化を不安視している。この落ち方は、おそらく短期的だと思う。今回の震災以前は、企業業績は好調で、今後の海外、特に新興国需要で上向きの成長に回復するという基盤であった。電力事情さえ落ち着いてくれば、株価の問題は解消されるだろう。分からないのは、為替である。今回の震災を受けた投資マインドは、リスクを考えて円から離れることもあるだろうし、一方、円資金調達が盛んになるとの予測による円買いが進むこともあろうし、色々な要因が絡むので、なかなか読みきれず、(円高か円安か)どちらに振れるかが分からないという状況は、企業経営にとって大変な重荷である。

前原:  伊勢湾台風も阪神・淡路大震災も経験したが、亡くなられた方の数から申し上げても、今回の被害は桁外れに大きいと思う。経済的損失は、おそらく阪神・淡路(大震災)よりも少し大きいだろうし、復興のプロセスにも難しい問題が沢山あると認識している。これから一生懸命、力を合わせてやっていかなければいけない。

Q: 緊急アピールで「計画停電に代え、電力使用の総量規制を」とあったが、その理由と代替案である総量規制について、具体的に伺いたい。

桜井:  現在、輪番停電、計画停電が行われているが、拠って立つところは電力の供給能力の低下である。この低下分を吸収するために需要を抑えるということである。いかに需要を抑えるかについて、供給サイドで止める方法が計画停電で、需要サイドで需要量を減らすのが、ひとつの方法として総量規制、大きくこの2つがある。

計画停電は、供給サイドで止めるということだが、基本的には反対ではない。問題は、計画停電を輪番制で行うと(停電)時間(帯)が毎日異なるので、皆で公平に時間帯を分かち合おうという意味では良いかもしれないが、正式なアナウンスが直前になることで、対応する人々も企業側も大変に対応しにくい。企業では、日ごとに生産計画の組み直しが必要であり、部材関係企業へも影響を及ぼし混乱が広がる。総量規制で考えれば、全体で2~3割の削減であろう。それぞれにどれほど削減を求めるかという問題はあるが、(企業や個人に)総量の削減を求め、期間中の削減方法は任せると(いうことにすれば)色々なアイデアが出てくる。総量規制はひとつの大きな考え方である。

今回の原発の被害による削減(量)が2~3割必要だということで、もしいま(期間限定で)総量規制を求められても、反対する企業や人はいない。

Q: 総量規制の考え方は、海外などで過去に例があるか。理論的裏打ちについてはどうか。

桜井:  調べてはいないが、今回の震災のような形では(総量規制という海外や過去の事例は)ないだろう。しかし、地球温暖化防止の(ための)温室効果ガス削減は総量規制でいこうとしている(し難しさもある)。しかし今回の場合は、供給サイドにおける供給量の増大は、例えば従来型の火力発電や水力発電による代替によることも可能である。(供給量の復活までの)ある程度時間を限った範囲のなかでは、総量規制での節電に抵抗感はないはずだ。

Q: 4月末までは(電力量のコントロールを)民間に任せてほしいとのことだが、今の原子力発電所の状況をみると、海水を注入するなどしており、元の状態に戻すにはかなりの時間がかかると思う。今月、来月だけではなく、夏にはより多くの(電力)需要が高まり、さらに延びる可能性もあると思うが、どの程度までなら総量規制方式でできるとお考えか。

桜井:  民間に任せてほしいというのは、総量規制でやることにおいて(そのやり方を)、という意味である。その後も、私たちが責任を持たなければいけないが、その場合は新しい方法・仕組みが必要だろう。

総量規制で行う場合、各企業はかなり大きな手段をとって対応すると思う。その大きな手段とは、先述の通り、工場の稼動を止める、複数の工場を止める、ある商品(の生産)を止める、などがある。ずっと止めておいて済むかというと、企業は、原子力発電所の回復ではなく、需要・市場の回復に伴って操業を再開しなければならない。(従って、)長期間はもたないだろう。1ヶ月か、2ヶ月か、そのようなレンジでの対応になる。

さらに、これは東京電力に聞いていただいたほうが良いとは思うが、誤解のないように加えると、(福島)第一、第二の原子力発電所が復帰するには大変長い時間がかかるだろう。(原子力発電所の回復)ではなく、約2~3割の(電力供給の)ダウンを何で埋めるかというと、供給側(として)は、当面は火力発電や水力発電で対応して、現状より改善していくであろう。この供給の回復が何ヶ月になるのかは、我々には分からない。

Q: 計画停電による混乱が起きているが、過去に例がないことであるし、実施する側にも一般国民や企業にも混乱があることはやむを得ないと思う。これまでの(東電の)動きを見て、代表幹事の率直な感想を伺いたい。

桜井:  (個人的には、)計画停電は、4月末までは、時間帯と地域がずれるだけで、需要が減って(電力が)余ると見えても停電が貫かれると思っていたので、(実際はそうではなかったことが)意外だった。無用な停電(電力供給を絶つ)という問題はあるが、(停電が貫かれた方が)前日の夜に通達する必要もなく、まだ負担が少なくて、いまの混乱はなかったのではないか。

Q: '07年の新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原子力発電所を(稼動)停止した時には、計画停電の話はなかった。今回、こういう対策が出されたのは、東京電力に何か意図があってのことと思うか。

桜井:  このような国難に際して、意図などあるはずがない。あの('07年)時は、東北電力も北海道電力も正常に機能しており、そこからの供給や火力発電所の発電量のアップで間に合った。

Q: 一部には、輪番ではなく(停電の)時間と場所の固定を求める声もあるが、これについてはいかがお考えか。

桜井:  (時間と場所の)固定は、一見(混乱がなくて)良さそうに思われるかもしれないが、例えば、常時夕食時や朝の時間帯に固定化されてしまう地域には問題が出てくるだろう。総量規制でないなら、(時間帯を変える)輪番で(計画停電を)固定する方が理に適っているのではないか。企業側から見ると総量(の方が対策を立てやすく)、どの時間帯でも稼動中に急遽停電となると、どのように計画しても大変だ。

Q: (今度の震災は、1000年に一度とも言われる未曾有の災害で、どうしても政府、関係者の対応が後手にまわっているという印象を我々(マスコミ)は受けるが、これまでの政府、関係自治体の対応について、代表幹事の所見を伺いたい。

桜井:  今回は、(地震に加え)津波まであって一瞬にして甚大な被害が生じ、中には自治体そのものが消失してしまうという事態に至った。津波による被害で人命救済が非常に困難となり、被災地も広範囲に及んでいる。対応も容易ではない状況だ。対応不足との指摘は挙がっているが、人命救済や被災者の救援・支援、さらには復興に至るまでを指示し、進捗管理を行い、国民に説明をするというのは大変に難しい。その点は、国民も理解すべきだろう。とは言え、難しいから対応が遅れてはならない。これだけの大規模な震災と復興までについて、一貫した指揮を執っていくとなると、本日の配布した緊急アピールでも述べた通り、人命第一での救助およびインフラの早期復旧と、その際大きな役割を果たす地方自治体機能の復活、その上での国と地方自治体との役割分担を基本軸に置いて、しっかりとした立て直しが求められる。我々から見えにくいのは、多くの犠牲者に手が届かず、被災者や地域に物資が届かない状況の中で「緊急災害対策本部」の機能がどのように強化・発揮されているかだ。今後も長期的に、人命(救助)、支援、復興までを担うことになるだけに、しっかりと機能するようにしていただきたい。

Q: 就活について、ホンダなど一部(企業)は、エントリーシートの締め切りを延ばしたり、被害地の(学生)本人や家族に融通することを発表しているが、この際、来年から適用される予定の就活(の時期)を、大震災があった今年から適応するということは考えていないのか。

桜井:  先日の「新卒就職採用活動の適正化に関する意見」は、就職活動の長期化や青田買いを抑制するもので、基本方針通り後ろ倒しにしたい。今回の震災地域の就職活動生に対する(活動時期の)配慮は、当然必要でありやるべきことがある。また、(緊急アピールでも述べたが)被災地域での雇用の維持について、被災地の企業が独力で努めるだけでなく、産業界としてなんらかの方法を検討していく必要があると考えている。

Q: 震災対策について、政府に求めることについて意見があったが、現政権の方々は、付き合いの範囲も限定されており、考え方のパターンも決まってきている。今回も、国民の目に見えるところで、『東電、なにをやっているんだ』と言っているだけだ。東電の責任はあるが、それだけでは問題解決にはならず、経済界と政府・与党との意見交換は全体としてみるとあまり上手くいっていない感がある。このような時なので難しいとは思うが、政府や与党に経済界の思いや考え方を伝える意向はないのか。

桜井:  (意見交換、交流の)予定はいま計画している。震災対策として救援・支援活動もあるが、例えば、逼迫する電力需要に対する省エネ・節電に対する経済界としての考えや雇用の問題などについて、交流をして明らかにしていきたい。もう一つ、予算案および関連法案、そして災害復興補正予算案の検討が始まるにあたり、経済界の意見を述べる、あるいは議論をすることが必要だと思う。これに関しては、地方を含む全国の経済同友会から多くの声が寄せられている。例えば、赤字国債発行の(特例公債)法案成立、また、高速道路無料化の問題について、高速道路はインフラ復興の要であり、公的資本立て直し・再構築という意味からも、高速道路収入を復興に回す必要性から、民主党政権の言う"社会実験"としての段階的な無料化ではなく、むしろ有料に戻して財源に充てるべきあろう、などの意見がある。これらは一例に過ぎないが、いずれにしても政府に対し我々が(予算案、関連法案、補正予算案というつながりの下で)意見を申し上げることは必要だと認識している。

Q: 原子力(発電)について、今回、放射能漏れの問題が出たことで、立地などで今後の原子力(発電)に対する風当たりが相当強まるのではないか。一方、国は原子力(発電)の比率を上げていく方針を示している。今後の原子力発電所のあり方と、今回脆弱性が出たエネルギーの構成について、代表幹事の所感を伺いたい。

桜井:  今回の震災で原子力(の危険性)が大きく取り上げられ、また放射能汚染にまで至りかねない事態になることを憂慮している。日本のみならず世界にとって、原子力のエネルギーとしての平和利用は重要なことだ。現在、海外からも地震大国・日本の原子力発電所における被害の状況や対応、今後の立て直しが注目されている。これは、世界各国が原子力の活用の重要性を認識していることの表れであり、我々はこの期待を裏切らないよう震災からの立て直しを図っていなければならない。震災による発電所の被害が生じても、原子力政策の推進を止めるということはあってはならない。むしろ、日本が原子力の平和利用の道筋をつける役割を果たすことが必要だ。

Q: 産業界が、被災地を中心とする生産体制が受けた打撃と被害の現状把握、および生産体制を立て直すための再開の目途等について伺いたい。

桜井:  (被害の現状把握については、)各社調査中だ。自社の被害は大体把握できているが、例えば製造業であれば、仕入れ先の部品・材料メーカーの状況や、生産設備の状況等を含めて調べなければならない。残念なことに中には連絡が取れないところもあり、状況把握が難しい。グループ、ファミリーを含めての被害の範囲や、立て直しの見通しを得るのは(今のところ)大変難しいのが現状だ。

前原:  私が以前いた保険業界では人的被害が甚大だと思う。(保険会社からは)保険金をすぐに支払うとのメッセージを発しているが、その規模はおそらく阪神・淡路大震災の数倍に上るだろう。営業や従業員の方々も被害に遭っている。金融・保険業界は相当大きな打撃を受けているものと理解している。

以上

(文責:経済同友会事務局)


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