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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2010年11月30日(火)13:30~
出席者 桜井正光 代表幹事
前原金一 副代表幹事・専務理事

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冒頭、桜井代表幹事より、「COP16に向けた意見」を説明した後、記者の質問に答える形で、(1)次期代表幹事の内定、(2)自由貿易推進に向けた農業改革と政治への期待、(3)臨時国会、(4)インド経済と日本企業のビジネス・チャンス、(5)政治資金における企業と政党のあり方、(6)朝鮮半島情勢、などについて発言があった。

Q: 先日、次期代表幹事への長谷川閑史・武田薬品工業社長の内定が発表された。選出理由と期待される点を伺いたい。

桜井:  選出理由と期待することはほとんど同じである。世界の経済、政治、社会の動向を見るときに、日本の位置づけや役割をしっかりとわきまえ、組織としての経済同友会も、新たな日本の位置づけ・役割を認識して活動を展開する、これが次期代表幹事選定の評価基準であり、期待することでもある。(具体的に)3つ述べると、第一に、経済同友会の代表幹事には、実績のある方(が求められる)。実績とは、自社の経営において改革的なリーダーシップを発揮し、改革を成し遂げ、企業の成長と発展したということである。第二に、グローバル視点である。とにかく内向き思考、足下志向がはびこっている。企業は、グローバルに(事業を)展開する企業(でも)、国内企業でも、世界の競争に巻き込まれるという意味では、グローバル視点で経営(し)、競争力強化を進めなければならない。国としても、これからますますこの観点が大事になってくる。その意味で、グローバル視点での、企業競争力の強化、国のあり方、国の競争力強化(を進める)能力を持っていることである。第三は、経済同友会の代表者として束ねていくためのマネジメント能力が必要だ。経済同友会での実績としてそれにふさわしいものがあることである。この3点が選出理由であり、そのまま期待でもある。

Q: 自由貿易を推進していく上で重要な農業改革のポイントと、政治への期待、注文を伺いたい。

桜井:  今の農業は、生産性も低く、コストも高い産業になってきている。自由貿易協定の議論以前に、日本の食の安全保障や自給率という面からも、国民に多くの負担がかかっている。農業の生産性向上と、食の安定に寄与する農業にしなければならない。まずはこれがベースである。

次に、日本のマーケット(市場)は、(現在でも)小さい(上に)、人口減少が進むとますます小さくなる方向に向かう。日本全体の成長(を実現し)、日本の活力を増すためには、日本を開き、(海外の企業が)日本を投資対象とすることで、(海外の)資金、人、産業を入れることを進めなければならない。また一方で、日本を開くことによって、世界の市場を日本の成長に取り込んでいかなければならない。日本を開くことが大事である。(日本を)開くことによって、弱い産業は大きな打撃を受けることになる。農業をいかに強くしていくかが大事である。大切な税金を、農家の補てんではなく、農業の生産性向上や競争力強化に投入していくことが大事になってくる。農業支援は、産業競争力を強化し、農業を産業化することに使わなければならない。政府は先日、「包括的経済連携に関する基本方針」を閣議決定した。その中で、「農業構造改革推進本部(仮)」(「食と農林漁業の再生実現会議」(11/30発足))の設置を決め、来年6月に農業改革の基本方針を打ち出すこととした。これは「日本の国を開くことに資する農業の改革」でなければ何の意味もないと思う。従来型の、単なる農家の補てんや支援ではなく、日本の国を開くことに値し、対応できる農業改革。このアウトプットを(来年)6月にぜひ出していただきたい。そうでないと、(日本を)開くことができなくなり、開くことができなければ、日本の成長を阻害することになりかねない。

Q: 全国農業協同組合中央会の会長は、「米国や豪州の農業にはとても太刀打ちできない。改革をやっても(日本の農業を守ることは)そもそも無理だ」との主張されている。最初から議論がかみ合わないという状況では、国を開くことに資する農業(改革)への方向性を(来年)6月までに出せるのか不安がある。今後、どのように議論を進めるべきとお考えか。

桜井:  特に、大規模、大量生産で効率的に収穫する農産物については、(日本が太刀打ちするのは)確かに難しいだろう。とすれば、日本は、米を含めた農産物において、味や品質の技術開発を進めるなど、新たな付加価値の高い商品にしていく必要がある。穀物、その他(他国で大量生産される農産物)についても、日本でしか生産できないような付加価値の高いものに仕向けていくことが大事だ。かつ、零細農業ではなく、生産規模を拡大し、生産性の高い農産物にしていくよう、真剣に議論しなければいけない。何を日本の特色として、どのようなものを生産するか、どう生産性を上げて世界と勝負していくか、という議論がまだ不足しているのではないか。

前原:  過去にオレンジやさくらんぼを自由化した際、大騒ぎになったが、その結果、みかん農家や日本産のさくらんぼがなくなったか。そうした過去のプロセスを分析すれば、もう少し冷静な議論ができるのではないか。

Q: まもなく臨時国会が終了する。補正予算は可決されることになったが、問責決議案が2つ出された一方、予定していた法案は通らなかった。臨時国会はまだ終わっていないが、総括を伺いたい。

桜井:  今回の臨時国会は補正予算が、来年の通常国会は2011年度予算および関連法案が中心となる重要な国会である。国会においては、現下の景気対策、デフレ脱却、成長戦略、つまり菅政権が主張された「強い経済、強い財政、強い社会保障」の一体改革を具体化していくための、補正予算、来年度予算、関連法案として、ぜひ真剣な審議を行うよう、十分に時間を割いていただきたい。海外と比較しても、(現在の日本の国会は)不祥事や審議日程の調整など、本質的でないことに時間を費やしている。世界的にもかなり異質と言わざるを得ない。日本の将来のためにも、来年の通常国会においては、予算審議や他の重要案件のために十分な時間を割くべきである。(精神論になるが)政治家が、この国のあり方、政治への責任という共通認識を有しているならば、自ずと重要性の取捨選択はできるはずだ。全国民の立場で、重要案件の審議に十分時間を費やす国会にしていただきたい。

前原:  (昨今の状況に対して)私も非常に憂慮している。経済企画庁(現・内閣府)に出向した経験から述べると、日本の中央省庁は国内最大・最有力のシンクタンクだと思う。これを上手く活用しないと良い国家経営はできないが、それがきちんと機能していない。幕府の学問所・昌平黌の儒官、現代流に言えば東京大学総長にあたる佐藤一斎が書いた『重職心得箇条』の第2条に「大臣の心得として、まず部下、諸役人の意見を十分発表させて、これを公平に採決するのがその職分であろう」との言葉がある。「例え、役人の意見より自分の意見が良いと思っても、害がない限りは部下の役人の意見を尊重すべきで、部下を引き立てて成果が出るよう仕事をさせることが大臣職の要諦である」と書いている。国家経営という視点を持って臨んでいただきたい。

Q: 新興国の経済が高い成長を示しているが、インド経済に関する所感と、インドが日本企業にどのようなビジネス・チャンスがある国かについて伺いたい。

桜井:  インドは、人口がますます増大し、日本企業にとってマーケットとして有望である。また一方では、人材が豊富なことで、特にIT業界にとっては、インドの方々をいかにして世界的な事業展開に組み込んでいくかが重要となる。市場としても人材としても、非常に大事である。企業だけの視点ではなく、日本全体の成長と発展にとっても極めて重要な国であると思っている。

Q: 今日、総務省から昨年の政治資金収支報告書の中央分が公表される。昨年と大きな変化はなく、企業・団体献金が出されたようだ。恐らく、政権交代があったとはいえ(昨年)9月までは自民党政権が続いており、(1年を通じては)大きな変化は無かったということだと思う。 今後、民主党は、将来的には企業・団体献金を禁止すべきといいつつ、(足下では)受け入れに前向きな姿勢を示している。また、自民党は、野党になって政策実現能力が落ちたにもかかわらず、以前と変わらない支援を(企業・団体に)求めている。過渡期で変わる時期であるが、今後、企業と政党がカネの面でどのような関係にあるべきかについて、改めて伺いたい。

桜井:  以前の会見でも述べたが、経済同友会は、政治にカネがかかることは当然であると考えている。しかし、政治資金は、政策本位の政治のために有効に使われることが大事である。また、その出入りについては透明性を確保することが重要である。

「政党による政策本位の政治」を重視するという主旨の下、(政党が)政策能力をしっかりと付けられるよう献金を行おうというのが経済同友会の基本的な姿勢だ。政治コストは、企業や団体が提案する施策立案・展開能力だけではなく、個人献金をもっと拡大させていくことも重要だと考えている。そのためにはかなりの環境整備が必要であり、国民が簡便に寄付行為をでき、かつその寄付行為に対する税制上の優遇なども考えていくことが必要になるだろう。そうした環境が整うまでには、まだ時間を要するであろう。政党助成金については、今後これを増やすことは問題だ。(意見書「『政党による政策本位の政治』の実現に向けて – マニフェスト政治の確立と政治資金のあり方 – 」(2010年2月15日発表))

Q: 北朝鮮による韓国砲撃で、朝鮮半島の安全保障がギクシャクしている。経済に対する影響と、(この状況が)長引いた場合、治めどころをどうすればよいか、経営者の立場から見解を伺いたい。

桜井:  北朝鮮と直接的な取引をしている関係ではないので、経済への影響は、今の時点ではほとんどないと言って良いのではないか。今後の展開にもよる。問題は韓国で、韓国がどのような状態になるかによって、影響が出てくると思う。

Q: 有事のドル買いで、為替は1ドル83円台後半に戻った。G20後の市況の安定には役立っているのでは、との見方もあるが、市況・為替についてはどのように見ているか。

桜井:  今の状態だけで市況については述べられない。ウォンが安くなったということもあった。為替は、有事の時にはかなりの変動もあり得るが、今の時点でそれをコメントすることはできない。

以上

(文責:経済同友会事務局)


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