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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2010年03月02日(火)13:30~
出席者 桜井 正光 代表幹事
小島 邦夫 専務理事

記者の質問に答える形で、(1)政治とカネ、(2)2010年度予算案、(3)バンクーバー冬季五輪とスポーツへの企業支援、(4)地球温暖化対策基本法案、(5)内閣府令の改正案、(6)厚生労働省による喫煙規制、(7)経済産業省による競争力強化に向けた指針、などについて発言があった。

Q: 北海道教職員組合からの不正な政治資金提供という「政治とカネ」の事件がまた明るみに出た。経済同友会としては、先般「企業・団体献金原則禁止」という趣旨の意見書を発表したが、改めて見解を伺いたい。

桜井: 「政治とカネ」の問題は根が深く裾野が広いのだろう。これからも、政治家も献金をする側も、政治にかかるコストの提供の仕方、あり方、活用の仕方を正しく仕組み直し、それを守っていくことが大事である。経済同友会では、これまでの方針を再度議論し、改めて、政治に必要なコストを誰がどのように負担するかについて(「『政党による政策本位の政治』の実現にむけて?マニフェスト政治の確立と政治資金のあり方?」を)提言した。(このような議論が)ますます重要になってきている感が大きい。

Q: 日本経団連が、政策評価を廃止し政治献金への関与を止めるという動きになっているが、これについて所見を伺いたい。

桜井: 日本経団連の方針は報道でしか分からないし、正式に発表されたものでもないようなので、コメントはまだ早いと思う。一般論で言えば、政治資金、すなわち民主主義における政治のコストを誰がどのように負担するかというあり方(の問題)である。企業・団体献金はどうしても利益誘導型との境が難しくなる可能性があり、また社会から批判される根幹にもあると思うので、経済同友会が提言したように、「政党による政策本位の政治」が行われるよう、政党の人の育成、政策立案能力、(政策)評価能力を高める方に向けることが大事である。

Q: 2010年度の予算案が、本日夕方衆院で可決される見通しになり、年度内の成立も確実となった。これについて所見を伺いたい。

桜井: 予算案は、今の(経済)状況を考えると切れ目ない財政の執行という意味で、年度内に成立することが一番大事である。その目処が立ったことは基本的には良かった。ただし、(予算案の審議と)並行して今国会では、どのような予算案、どのような政策・法制が成立したとしても、責任を持って執行していく執行部門の体制や、政治そのものに対する国民からの不信をもっときちんと解決しておくべきであった。これが残された課題になってしまい、残念に思っている。

Q: バンクーバー冬季五輪が終わったが、代表幹事の感想を伺いたい。

桜井: スポーツの世界でも企業経営の世界でも同じだが、世界一になることは非常に大変なことだと強く思った。競争相手も並の人たちではない、トップクラスの人である。そのトップクラスの人を超えてトップになるというのは大変なことである。本当に(選手の)皆さんは死にもの狂いの限界値を超えた練習をして、あの場に臨まれている。その苦しさは大変なものだろう。最終的には、勝負事なのでツキもあるが、ツキを呼び込む(ほどの)練習と自信を作っていく争いはやはり凄い。金メダルは最も誉れ高いもので、(それだけの)努力をした人(という称号)になるが、他のメダルでも、入賞でも、そのレベルに入る人には、頭が下がる思いだ。

Q: (オリンピック選手を)中小企業が支えているという議論もあるが、冬季スポーツへの企業支援については、いかがお考えか。

桜井: 企業が大変な価値があると(認めていると)いうことであろう。企業PR(としての意味)はそれほどではないと思うが、あれだけの努力をする人たちを支えることは、非常に良いと思う。

Q: 地球温暖化対策基本法案について伺いたい。先日、経済3団体が共同で意見書を出し、また、鉄鋼連盟など9団体は明確に否定意見を発表した。今週か来週にも閣議決定されるという話もあるが、今現在議論の中身が明らかになっていない。(決定は)拙速であると感じるか。

桜井: 否定的なものも含め、色々な点で(意見に)違いがあるだろう。これまでは、日本経団連、日本商工会議所、経済同友会それぞれが、今後いかに取り組んでいくべきかについて、それぞれの立場から異なるスタンスで意見を申し上げていた。しかし、経済3団体の意見が合っているところもあるので、経済界全体として、共通事項とそれに基づく要求や意見を政府にしっかりと述べることが大事だと考え、差異を乗り越えて、共同意見書「地球温暖化対策基本法案に関する意見」に至った。

経済同友会は、(温暖化対策に関連して)これまで2本提言を出している。ひとつは、2009年5月18日に発表した提言(「世界に先駆けた持続的発展を可能にする社会づくりを」)で、(1990年度比で)マイナス7%(削減)を提案した。もうひとつは、11月17日に「COP15に向けて」として意見書を出した。今でも提言の考え方に変わりはないが、(特に重要な)目標達成の道筋の明示、(公平性や全員参加という)前提条件の確保や(次期枠組みにおける)トップのリーダーシップの発揮などの部分が今回の(経済)3団体の共同宣言に盛り込まれた。一方、経済同友会の提言として重要視していなかったものがある。3団体の共同意見書には盛り込まれなかったものもある。同じ意見になっていないと捉えた部分だが、排出権取引(制度)や地球温暖化対策税、原子力(発電の拡大)の3点については、経済同友会としてはより積極的な取り組みを主張している。3団体の共同宣言はあくまでも共通事項をまとめたもので、それぞれの差異については、基本法案に対して改めて提言するのではなく、(各団体の)今までの提言を活かしてもらうスタンスである。

Q: 代表幹事は、この地球温暖化対策基本法案には賛成か、反対か。

桜井: (法案の内容が)分からない(ので答えようがない)。

Q: 仮に今週閣議決定をするとしたら、早過ぎるという印象をお持ちか。

桜井: 早いかどうかは分からない。現実的には、意見書「COP15に向けて」ではっきりと述べた通り、(マイナス)25%(という数値目標)は、全員参加という意味合いからは必要だろうと思う。しかし、その25%を具体的にどのように達成するのか、真水部分はどうなのか(を示すこと)、そしてその道筋・具体的内容について国民にしっかりと説明していただきたい。今のところ、これすら出てきていない、何を閣議決定するのか分からないので、ご質問に対してはコメントのしようがない。

Q: (目標達成に向けた)道筋がクリアになれば、25%(の削減目標)を入れた法案をいずれかの時点で作ることが望ましいとお考えか。

桜井: 道筋をきちんと示し、25%の(内訳)が、真水の程度、海外や(排出権)取引ではどの程度かについて整理される(ことが必要である)。その上で、国内の部分を達成するための具体策、そして企業にはどの程度のキャップか。また、国外での(排出権)取引が必要なら、その資金・財源はどうなのか。これらの大枠を明らかにしなくては(いけない)。

このような発言を誤解しないでいただきたいのは、私や経済同友会が申し上げている限り、基本法案や(マイナス)25%(の目標値)を根底から否定しているわけではない。否定論ではなく、議論を呼びかけ、きちんと道筋を作り上げましょうという立場で申し上げている。

Q: 現段階では道筋は示されていないが、このまま法案が出されても良いとお考えか。

桜井: 道筋が示されないままの法案では良くない。(それ以前に)法案の内容が不明で、何を言いたい法案なのかが分からない。

小島: 道筋にもいろいろな描き方がある。果たしてどのような描き方をするのだろうか。

桜井: 政府にはそのように申し上げているし、今後も機会をつくり同様にお話ししたい。

小島: 先日の3団体の意見書も同じ見解である。

Q: 環境税についても、(政府から)説明があれば賛成されるのか。

桜井: 内容次第である。環境税のあり方についての経済同友会の考え方は、以前説明した通りだ。

Q: 報酬1億円以上の企業役員の名前や金額の開示を義務付ける内閣府令案について、見解を伺いたい。

桜井: 企業によっては既に、株主総会での株主からの質問や開示要請によって取締役社長をはじめとする役員報酬の開示が要求され、企業それぞれが株主との対話を通じて結論を出している。今回の内閣府令案については、なぜ今、報酬総額1億円以上について開示をしなければならないのか、疑問に思う。

株主や投資家が真に知りたいことは、経営コストとしての役員報酬の総額である。この会社はどれだけの経営コストをかけているのか、会社の規模や業績に相応しいのか、それは総額の話である。次に大事なのは、役員報酬の算定基準や算定方式だ。こうした点についても、これまで企業ごとに(株主総会で)答えてきている。
大事なのは個別の役員報酬ではなく総額の内容、これも種類別に社内と外の取締役と社内と外の監査役という4通りで提示をし、株主総会での承認を受けている。今回の内閣府令案では、さらに個別で、しかも1億円以上は報酬の開示を求めている。その意味合いを明確にしていただきたい。

今回の開示要求の背景には、欧米、とりわけ米国の企業経営者の報酬が極めて高額なことがあると想像している。日本の(企業経営者の報酬の)約50倍や100倍など、社会常識から外れていることだろう。リーマン・ショックで明らかになった通り、報酬が短期業績で決められている上、会社が倒産しても、政府の補償金が入って、報酬はそのまま受け取れる。今回の内閣府令案はそうした背景があっての話であろう。しかし、日本の企業経営者の個人の報酬は社会的常識を疑うような高水準でもなく、また日本の経営は短期思考ではなく長期思考である。(報酬開示は)法令で(義務付けるので)はなく、株主総会という場で、株主と個別企業との対話の中で行われていけば十分である。

Q: (役員報酬の個別開示には)反対ということか。

桜井: 反対である。株主総会で行われる(問題だ)。

小島: 法令で定めることには反対だ。(開示すべきか否かは)市場と株主とが決める話だ。

Q: 実際には、株主総会で役員の個人報酬を開示してほしいとの提案に対して、個別に開示している例は極めて少ないと承知しているが、いかがか。

桜井: 個別の開示が要求されるのは、ひとつはグローバル・カンパニーで、年金基金の株主が求めてくる場合、また、日本の年金基金も個別に開示する方向に進んでいる。

Q: 現在は、開示しなくても良いということで開示されないケースが多いが、今後、法令に限らず役員報酬が個別に開示されるようになると、どのような支障があるとお考えか。

桜井: 個人的には、1億円以上であろうが開示して結構だと考えている。しかし、(個人)開示については株主総会で決めることである。また、(どのような支障があるかについては)2005年度分以降、高額納税者の開示が廃止された。理由は、プライバシー問題に加えて、長者番付に載った方のご家族が被害に遭われるなどがあったためだ。その辺りの配慮も必要だろう。繰り返しになるが、重要なのは、個人の報酬額ではなく、経営コストとしての役員報酬の総額、すなわち役員数を含めての適切性が問われるべきである。

小島: 米国では(役員報酬)総額の開示をしていないこともあって、個別開示云々という議論になる。その辺りの差もきちんと踏まえるべきだろう。

桜井: (米国では)株主総会での開示や審議の義務がない。

Q: 厚生労働省が、公共の場での喫煙を原則全面禁止する通達を出す動きがあるが、見解を伺いたい。

桜井: (一喫煙者として、)決まれば当然法律に従う。

Q: 経済産業省が、産業の将来ビジョンの検討を始めた。その中で、韓国や欧米の企業を例に挙げ、日本の場合は業界毎の企業数が多過ぎることもあって企業競争力が落ちているのではないかとの問題提起をし、これから議論しようとしている。そういう側面はあるとお考えか。

桜井: 韓国との比較の問題は別としても、需要、市場に対して供給側の企業数は多いと思う。それが構造的にデフレの問題につながっている。今後の競争力強化や経済活性化の観点で見れば、健全な競争や新しい付加価値を生む競争(を促進し)、そして付加価値が生めなくなった場合には、別の市場、商品、商品づくりや企業づくりを進め、新陳代謝を図っていかなければならない。韓国を意識するということではなく、日本の経済を活性化するために、新陳代謝は大きな課題である。

Q: 業界によっては、特に石油やセメント等の素材型産業では設備廃棄などの問題で、民間に任せていると(産業の)新陳代謝は進みづらいという側面があるという議論があるが。

桜井: 新陳代謝は民間でなければ行えない。陳腐化した設備を変えろ、などという法律はあり得ない。何をもって陳腐化なのかが不明なのでどこへ導かれるか分からない。競争の中で、より効率的な経営、より効率的なものづくりが行われ、それによって初めて、陳腐化が見えてくる。企業が判断して取り組むことである。

小島: 政府がやるべきは(民間企業の新陳代謝の活動を)妨害しないことである。

Q: 例えば石油業界など業界等は我慢比べのようなところがあり、(新陳代謝の)ルールのようなものがあれば(良いと)思われるが、いかがか。

桜井: 業界によって難しいのは確かだが、政府に整理してもらうということではいけない。企業自らが頑張って新陳代謝をしていかなければならない。政府が行うとなると、ともすれば「守る方向」、つまり競争をしなくて済むように、新たな参入者を防ぐといった方に向かいかねない。それでは(活性化とは反対で)大変なことになる。

小島: むしろ政府には、(新陳代謝を促すためにも)法人税率を韓国並みにしていただきたい。

(文責:経済同友会事務局)

以上


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