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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2009年12月08日(火)13:30~
出席者 桜井 正光 代表幹事
小島 邦夫 専務理事
田谷 禎三 経済情勢・政策委員会副委員長

冒頭、桜井代表幹事より、全国経済同友会地方行財政改革推進会議による緊急アピール「2010年度予算を地域主権実現の第一歩に」について、また、田谷禎三経済情勢・政策委員会副委員長より、「2009年12月(第91回)景気定点観測アンケート調査結果」について説明があった。その後、記者の質問に答える形で、(1)2009年度第2次補正予算・追加経済対策、(2)景気見通し、(3)COP15、(4)2009年度の税収落ち込み、(5)連立政権のきしみ、(6)暫定税率廃止と環境税新設、(7)鳩山政権の評価、(8)日銀の金融緩和策、(9)事務次官廃止を含む公務員制度改革、などについて発言があった。

Q: 今日、(2009年度)第2次補正予算7.2兆円という規模で追加経済対策が発表されたが、規模と中身に対する評価を伺いたい。

桜井: 以前も申し上げたが、第2次補正予算は基本的には必要である。特に今回、政府がデフレ宣言をし、また、景気が持ち直しを始めていることに変わりはないが、今後を見るとかなりの不確定要素がある。米国次第の景気ということもあるが、国内でも、企業業績の回復には勢いがなく、物価もかなり下落しており、これによる企業業績への圧迫も強まるのではないか。それが、雇用や生活者の消費力に影響を与えることもあり、まだまだ安心できない。

7.2兆円という規模については、総合的に判断しなくてはならない。日本の最も大きな課題は、財政、長期債務であり、どのように財政健全化をはかるか、財政規律をどうすべきかについて明確に示されないなかでの補正予算、景気対策なので、バランスがなかなか見えず、(7.2兆円という規模への)評価に困る。しかし、政府がある程度財政規律を考えた上で出てきた額なので、現状では適切な規模と考えて良いと思う。基本的には評価している。

Q: 景気の見通しについて、改めて伺いたい。

桜井: 日本の景気で心配な点は、消費に力がないことである。消費を力強くしていく政策は、いまのところは生活者を支援する意味で、雇用や中小企業に対してこれ以上痛まないようにするという方を向いている。消費を刺激するという意味では、政策的にも力強さがない。企業の設備投資の低下は止まりつつあるが、世界の情勢はまだ不安定で、設備投資もうまく持ち上がってこない状況にある。今回の補正予算でのエコポイントや補助金の延期がどれほど効くか、輸出の回復力はどうかをしっかりと見なくてはならないが、先述のような状況を見ると、来年の初め頃は依然として厳しいという見方をせざるを得ない。

Q: 消費に力がないことが心配とのお話があったが、景気定点観測アンケート調査でも個人消費が下がっているという評価である。昨日イオンが過去最大のセールを発表するなど、小売の現場では非常に値下げの圧力が進んでいる。このような状態をどうご覧になっているか。

桜井: イオンという一企業の例ではなく、消費に力がないので、(企業は)いまどうしても低価格戦略に向かってしまう。価格戦略にも、生産性を上げてコストを削減し、適切な価格にするという良いものもある。しかし、企業が限界に来ているところで単に価格(を下げる)だけでは悪いものになり、しわ寄せは雇用と賃金の問題になる。このような方向に行かないようにしなければならない。企業は、これを断ち切らなければならない。

Q: COP15について、中国・米国が数値目標を公表したが、この評価を伺いたい。また、日本の25%という削減目標について、主要排出国に比べて負担が重いとの声が産業界の中に強くある。この25%削減の見直しについては、いかがお考えか。

桜井: 中国(の中期目標)について、(公表された)40%削減は、絶対量ではなく、あくまでも効率指標、しかもGDP比での原単位指標である。(中国の)GDPが現在のように8%、10%と年々上がっていくと、2020年には05年比で(CO2排出量が)2倍程度になるという試算もある。中国が、米国を抜いて世界一の(CO2)排出国になるという責任感を持って提示する目標値というには、はっきり申し上げて、大変不十分である。中国は、「絶対量で何パーセント削減する」という目標を掲げることが大事であると思う。

米国の(中期目標)1990年比3%削減は、(責任を持った目標値としては)低すぎる。ただし米国は、2020年、30年、40年、50年と、年を追って急カーブを描くように削減していこうとしているので、その評価次第だろう。米国では、鉄鋼、石油、電力、ITなど(の業種から)26企業が参画するUSCAP(米国気候変動パートナーシップ)という団体が、ブッシュ政権時代から温暖化阻止の活動を展開していた。同団体でも、2020年だけではなくそれ以降、2050年で80%まで削減する計画があると聞いている。しかし、このような話をすると「ならば長期計画で良いのか」という国が出てくるなど、新たな混乱の元になる恐れもある。

一方、日本の突出した25%(削減目標)については、経済同友会の意見書「COP15に向けて」でも述べた通り、1990年比25%(削減)を国際公約とすることは、前提条件がついての話である。限界削減費用により主要国、あるいは先進国の公平性が担保されることが条件である。また、前提条件である公平性が担保できないのであれば、(25%から)下げても良いと、以前の記者会見でも申し上げた。逆に上げる場合もあるであろう。(25%という目標値)は変えても良い。しかし、地球が求めている削減量は、日本の(提唱する)25%レベル、限界削減費用で言えば、欧米で30~40%である。COP15における政治合意は、結論付けられず、厳しい交渉になるであろう。(だからと言って)公平性だけをを重視して、皆で目標値を下げるということになってもまたよろしくない。日本政府は25%(堅持)と、主要国の公平性を担保した上での削減目標アップのために、積極的に努力することが必要である。

Q: COP15に関連して、(日本の25%削減目標の)前提条件をクリアすること、米国・中国など主要排出国の参加、(各国の削減目標についての)公平性の確保、という話がある。日本は、限界削減費用をベースとした公平性の確保といっているが、現時点ではそれは難しいのではないか。

桜井: COP15では、政治合意という点で努力して欲しいと思うが、確かに大変に難しいことだろう。

Q: 昨日、各産業団体から発表があったが、聞いているとCOP15で合意を望んでいるようには感じられない。限界削減費用(という指標)は日本しか言っていないし、公平性の議論もこのままでは妥結しないと思う。経済界も実際には妥結しないことを願っているのではないか。

桜井: 一部はそうだろう。経済同友会でも一部はそうかも知れない。

Q: 妥結しなかった場合、2013年以降のタイム・スケジュールは厳しいのではないか。京都議定書の暫定延長という話もあるが、経済界として何か方策はあるか。

桜井: 経済界に良い方策はない。(京都議定書の暫定延長は)一番あってはならないことの一つだ。政治合意は枠組みではない、つまり、新たな枠組みを設けてそこへ参画させるという拘束力がない。次の枠組みが決まるまで、暫定的に京都議定書をそのまま延長するだけになるだろう。そうなれば、米国・中国を除いて全世界の排出量30%の国・地域がもう一年間頑張るだけになってしまう。

小島: 来年までに何とかすれば何とかなる可能性も、ということだろう。

桜井: 批准(の手続き)など勘案すると、一年などすぐに経ってしまう。

小島: その先の合意ができればまだ良いだろうが。

Q: 今年度は税収が落ち込み、63年振りに国債発行額が税収額を上回ることになるが、これについて代表幹事の見解を伺いたい。

桜井: とにかく税収や歳入を上げなければならない。歳出削減への努力も大変大事ではある。国の経営も企業の経営も(同じで)、歳出削減は無駄というレベルでは良いが、将来に対して必要な(投資や出費)を減らしていくとなると、縮小均衡になり、これでは将来がない。歳出削減という無駄の排除は徹底的にやりながらも、一番大事なのはパイを大きくする、(国で言えば)税収や歳入を上げる、即ち「成長戦略」である。成長戦略をとることが非常に大事である。

Q: (第2次補正予算の)追加景気対策をめぐっての国民新党の対応や、普天間(基地)の問題での社民党の対応など、連立政権にきしみが出ている。連立(政権)のあり方について、鳩山首相のリーダーシップ等、何か感じられることはあるか。

桜井: 鳩山首相にリーダーシップをとっていただきたいのは、しっかりとした戦略策定および各施策の意思決定をするための、言わば、新政権の政策決定および政策展開に関わる機構・システムをしっかりと作っていただくことが第一である。これは、マニフェストにも記載されている国家戦略室、局(の仕事)である。この機構をしっかりと作り、これを原点に回るという体制を作らなくてはならない。これなくして、首相が最終的に判断をするというだけでは、日本の国民のためにも、将来のためにも、真っ当なものが出てくることは難しいだろう。三党連立政権であるから、議席数を越えて、各党のさまざまな思いが出てくる。問題は、これからの日本の「国のかたち」をどうするのか、実現するためにどのような戦略・重点施策が必要なのか、そのウエイト付けをどうするか、などを(国家)戦略局でしっかりと固め、常に進捗状況をチェックしていくという機構があって初めて、三党連立のいろいろな意見を調整していくことができるはずだ。

Q: 税制で、環境税や暫定税率の扱いが決まっていないが、これについて、現時点でどうすべきとお考えか。

桜井: 今までは、環境税(の切り口)からだけ申し上げていた。繰り返しになるので端的に申し上げると、暫定税率の穴埋めのための環境税であってはならない、ということである。(あくまで)温室効果ガス削減に役に立つ(インセンティブ)税であること。そのために、発生量の多いものには多く課され、あまり発生しないものには少ないという、温室効果ガス発生に拠る環境税を作ることが大事である。これを曲げては大変なことになる。

暫定税率の廃止による税収減分、2兆5000億円程度については、それなりの理由の付いた新しい税源等を検討するべきである。

Q: 暫定税率を廃止するのであれば、(それに替わる)別の税源を考えるべきとの発言があったが、(いまの)環境税ではなく、別の税でとるということか。

桜井: (暫定税率廃止の穴埋めとして)単に名前を替えただけの環境税というのは良くないと言いたい。(暫定税率廃止分の税源を確保するために、)目的を明確にした新たな増税項目を入れるのであれば良いのではないか。この減税をする替わりにこの増税する、という穴埋めは(現在の財政状況を考えると)あって良いだろうが、環境税の(本来の)狙いに添っていない(名称だけを変えた)税制を充てるのは良くない。減税に対する増税を否定しているのではない。

Q: 暫定税率の廃止による減収に見合う財源として、今(検討されている)環境税ではだめということか。

桜井: そうだ。目的が明確であれば(必要な増税は)あっても良いとは思う。

Q: 穴埋めできる財源が見つからなければ、暫定税率の廃止は見送るべきというお考えか。また、国債(増発)での穴埋めについてはいかがか。

桜井: (暫定税率の廃止を)見送るべきとまでは言っていない。(穴埋めを)国債増発でするのか、増税で行うのかは政府が決めることだ。ただし、国債の増発については、経済同友会は、今後の歳入・歳出一体改革や財政規律をどうすべきかについて述べた提言を(先日)発表した。そのシナリオに対応して、具体的な税制改革を進めるべきかについてはまだ精査途上なので、この場で国債発行や増税について明確な回答をすることはできない。

小島: 来年度予算や来年度の財政を考えるという話と、中期的に財政健全化の道筋をつけるよう提言していることとの平仄(整合性)はあるだろうが、現在、政府が(今後の財政健全化を含めた経済政策を)どのように考えているかが具体的に見えないため、単純に国債増発の是非を問われても、どのくらい将来の税制に影響するのかもわからず、今の段階では答えようがない。

Q: 景気定点観測アンケート調査結果のなかで、鳩山政権の評価については「どちらともいえない」という回答が最も多かった。代表幹事はいかがお考えか。

桜井: この結果は、各社の世論調査とほぼ同じ内容だと思っている。評価する項目は、行政刷新会議による事業仕分けを筆頭に、羽田空港のハブ空港化、温暖化ガス25%削減の目標提示、ダム工事凍結等の公共事業見直しといった重点的な項目が並んでいる。一方、評価しない項目は、郵政民営化法案見直し・社長人事や、普天間基地移設問題、中小企業円滑化法案、これはモラトリアムではなくなったので少々辛いかとは思うが、いずれも納得できる。興味深いのは、温暖化ガス25%削減の目標提示が、評価する・しないの双方で同じような比率で挙げられている点だ。地球温暖化対策については、それぞれの産業・業界・業種によって受け止め方(や評価)が異なるということがわかる。全体として、なるほどという感想である。

Q: 先日、日銀が金融緩和策を発表したが、今のデフレ状況を考えるとさらに踏み込んで量的緩和をやるべきという声もある。代表幹事はいかがお考えか。

桜井: 今後の状況を見て決めるべきだろう。今、足りないとは思っていない。状況によっては、より積極的な量的緩和、あるいは企業への直接支援等、種々の手段が考えられるだろうが、追加緩和が是か非かという結論を出すのは早計であろう。

小島: 現在のところはそれなりの効果が出ているのではないか。

Q: 省庁の事務次官を廃止するという公務員制度改革を法案に盛り込むという話が出ている。官僚の幹部の上に政治家が居るという(組織)になるが、このような制度改革について代表幹事はいかがお考えか

桜井: 事務次官の機能・役割を考えるべきである。政策の調整および立案、閣議への提案のための事務次官会議をなくすという今の方向は良いと思う。官僚にいかに活躍してもらうかを考えたときに、事務次官が必要なのか不要なのかを改めて考えなければいけない。新たな事務次官制度がどうあるべきか、例えば各省のマネジメントを行うために必要なのか、検討の余地はあると思う。事務次官としての新しい役割があるかどうかだ。

Q: 大臣は、会社組織になぞらえて、社長、役員、一般社員という(組織のフラット化をイメージしているようだが)。

桜井: 会社組織で一時導入されたフラット化は、元に戻っている例もある。

Q: (これは)納得しにくい例えか。

桜井: まだそこまで考えていない。

小島: フラット化の問題は、もっと下位の話だ。

桜井: (組織の)上の方にはしっかりとした人がいる。(企業の場合のフラット化は)課長クラス以下のところだ。

(文責:経済同友会事務局)

以上


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