ページの先頭です

ページ内を移動するためのリンク
本文(c)へ
グローバルナビゲーション(g)へ
ローカルナビ(l)へ
サイトのご利用案内(i)へ

ここからグローバルナビです。

グローバルメニューここまでです。

ここから本文です。

記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2007年02月06日(火)
出席者 北城恪太郎 代表幹事
小島邦夫 副代表幹事・専務理事

冒頭、北城代表幹事から「ダボス会議に参加した印象」、意見書「改革の理念に沿った政策金融改革の実現を」について発言があり、その後、記者の質問に答える形で(1)景気認識、(2)日銀の金融政策、(3)柳沢厚生労働相の発言問題、(4)愛知県知事選・北九州市長選の結果、(5)中央官庁出身の地方選候補者の是非、(6)政策金融改革関連法案、(7)安倍政権の支持率低下と安倍首相の指導力、(8)ホワイトカラー・エグゼンプション、について発言があった。

<ダボス会議に参加した印象について>

北城: 既に会議の内容等については報道されているが、私が感じたことを3点お話したい。

一点目は、世界経済の展望に関しては大変楽観的であった。昨年の会議では、原油高や米国の住宅価格低下に伴う経済の減速が、リスク要因として語られていた。今回は、米国も経済について大変強気な見通しだったし、欧州も堅調、中国やインドの経済も10%や8%という堅調な経済(成長)が展望されるということで、テロ等の問題もあるが、それを除くと大きなリスク要因が語られていなかった。全員が楽観的なことがひとつのリスクかもしれないという程度の議論で、基本的には経済は堅調であるということだった。

二点目は、地球温暖化について、2005年の同会議の冒頭の会議で、イギリスのブレア首相が地球温暖化と、特にアフリカにおける貧困と疾病を取り上げてスピーチを行い、G8 でもこれらを取り上げるという話をした。それが、地球温暖化に対する各国の政策的な取り組みを加速したと思う。今回の会議では、全体的にはやはり温暖化が進んでいる、したがって温暖化が科学的に現実の問題かどうかというよりも、それにどのように対処していくのか、経済活動としても温暖化対策を取りながら発展できるのではないかという方向の議論があった。

三点目は、引き続き、中国とインドの発展に対して関心が高かった。いずれの経済も順調に成長しているし、中国に関しては、経済成長が過熱化に向かわないような政策を取りながら、エネルギー消費の効率を今後5 年間で対GDP 比2 割程度高めるなど、環境にも配慮した政策を取りつつ健全に発展できるよう努力するという視点が述べられていた。

この3つの議論の中で、日本の存在感を出すのが難しかったという印象がある。特に環境問題については、日本は環境技術の先進国であり、京都議定書という日本の地名が入った国際条約が結ばれているだけに、さらに日本の意見を発信しても良かったのではないか。ただし、国会(日程)の関係でなかなか大臣がダボス会議に参加できない。今回も、ドイツのメルケル首相をはじめ多くの各国首脳が参加していただけに、来年は是非安倍総理にもご参加頂いたらよいのではないか。特に、2005 年はイギリスのブレア首相がサミット前に同会議で基本的な政策を述べ、政治家だけではなく、経済人、マスコミ、学者が参加する会議で、イギリスのリーダーシップを発揮、あるいは示すことになった。今年はメルケル首相がドイツでのG8サミットの前に、自分の考え方を述べた。地球温暖化やグローバル・マーケットにおけるヘッジ・ファンドの問題などいろいろと取り上げていたので、ドイツがどのようなことを考えているかを世界に示す意味でも非常に良かった。

来年は日本がサミットの議長国でもあるだけに安倍総理にご参加いただけるといい。国会日程も来年は調整できるのではないかと思うので、日本の存在感を出して頂きたい。

余談だが、土曜日の朝一番で世界経済の展望に関する一番大きな会議があり、日本、米国、欧州、発展途上国の方々が席上で議論していた。大田(弘子・内閣府特命担当)大臣が、国会の関係で直前に参加される予定だったが、雪のため飛行場からヘリコプターが飛べず、残念ながら参加できなかった。今回、大臣で直接会議に参加される予定だったのは、大田大臣と甘利(明・経済産業)大臣で、甘利大臣はWTOのドーハ・ラウンドに関する議論のパネルだった。経済人は色々な会議に参加していたが、日本の閣僚が出席しないと存在感が出ない。国としての政策を議論する場に大臣が参加いただければ、日本の考えを各国に表明できたのではないかということで、非常に残念だ。国会会期中なので大臣の出席が難しいということだが、世界の首脳が集まる会議なので、是非参加いただけると良いと思う。

Q:日銀の利上げ見送り後に、消費者物価指数や鉱工業生産指数など何点かの重要な経済指標が発表された。依然、消費が弱含みのような印象も受けるが、年明け一ヶ月を経て、現在の景気認識について、あらためて所見を伺いたい。

北城: 暖冬の影響等で一部個人消費に弱い面があるという意見もあるが、総じて日本経済そのものは健全に発展していると思うし、また海外を見ても大きなリスク要因はない。そういう意味では、経済は順調に発展していると見ていいのではないか。これから個人消費がどれだけ堅調になるかは、収入面では企業業績の向上により、最終的には働いている人たちにボーナス、あるいは昇給という形で資金が配分されていくだろう。一方で、定率減税の廃止、社会保険の費用増など、実質的に消費に回せる分に限りがあるが、最終的には個人所得も増えていくだろうから、将来に不安がないということであれば個人消費にも回ると思う。基本的には、国内、海外の要因を見ても、経済は健全に推移していると思う。

金利はいま低金利で、金融政策としては量的にも緩和的な政策が取られているだけに、より健全な金融の姿に戻すタイミングをどこに置くかは、日銀の判断を待ちたい。為替も含めて総合的に判断していただいたらよいと思う。

Q:これまで出てきた指標を見て、日銀が追加利上げをするような補強的な材料が出たと感じるか。

北城: 特別大きな変化があったということではない。しかし、経済がより健全な姿に戻りつつあるなかでは、金利水準も今は超低金利という状況なので、正常化に向かっていくことは妥当だと思う。為替の状況を見ても、米国、欧州の水準に比較して日本の金利は非常に低い。為替に金利水準が影響していることもあるので、経済が健全になれば金利水準も正常化に向けて歩むべきだ。ただし、正常化に向けてのスピードをどれくらい速くするかについては、経済の実態を踏まえながら慎重に判断していただいたらよいのではないか。

小島: 金融政策というのは、一つひとつの数字だけで判断するものではない。これから先の経済がどう動いていくか、福井総裁がよく使う言葉で言えば、フォワード・ルッキングなものの見方をしながら、彼ら(政策審議委員)が実態をどう捉えていくかにかかっていると思う。

Q:柳沢厚労相の発言問題について、その後野党が国会審議を欠席するなど、発言を巡る与野党の攻防が行われているが、発言そのものの印象とこれまでの与野党の対応について所見を伺いたい。

北城: 確かに発言そのものは不適切だと思うが、講演の中でもすぐに言い直している。国政の場ではもっと政策を中心に議論していただいたほうが良いのではないか。発言そのものは不適切だとしても、国会審議を行わないというのはあまり適切ではない。例えば、少子化や労働法制の問題など、政策を中心に国会の場で審議して欲しい。

Q:辞任すべきという深刻なものではないということか

北城: 確かに発言そのものは適切ではなかったと思うが、政策的な誤りがあったということではないので、辞任するというよりも、少子化の問題に対して、政府としてどのような政策を打ち出していくかということのほうが重要だと思う。

Q:愛知県知事選と北九州市長選の結果について、どのように受け止めたか。

北城: 与野党の推薦している候補が一勝一敗ということで、確かに野党が推薦している候補が良く頑張ったということもあるし、柳沢発言が影響したところもあると思う。最終的には地方選は、地方それぞれの政策をどのように実現していくかということだし、知事、市長がマニフェスト、地域の運営をどう推進するかを中心に争われたと思う。また、候補者の資質についても色々な判断があったと思う。それが直接的に国政の政策を判断することには繋がらない。今回、一勝一敗という形になっただけに、この上は早く国会で政策を議論していただきたい。国会は、与野党がそれぞれの政策を掲げて国民に信を問う場所であるので、国会の審議拒否というのは本来の国会の機能を果たしていない。

Q:候補者について、宮崎県知事選でもそうだったが、このところ中央官庁出身の候補者の成績が良くない。候補を中央官庁出身者から擁立することについては、どうお考えか。

北城: 個々の候補者については立派な方もいらっしゃると思うので、決して官庁出身者が相応しくないということではない。それぞれの選挙区事情があったと思う。ただし、これからは地方分権の時代と言われているし、地方分権は必要だと思うので、中央と直結することで特別に補助金が増える、予算が増えるという政策の提示の仕方では選挙民の理解が深まらない。地方分権が生きるような政策の提示が必要だ。

Q:政策金融改革について、この提言は良いと思うが、役所側が言うには、例えば組織毎に縦割りにする、商工中金の株主を限定するということは、政府の行革推進本部が機関決定したもので、それを基に粛々と作業をしているだけで我々が変えられるものではない、ということで、役所がこれを変えることは容易ではないと思う。

北城: 国会では、本来の政府系金融機関の見直しの問題、特にひとつの金融機関にしてなおかつ効率的な運営をする、という基本的な原則に基づいて法案の審議をしていただきたい。必要であれば法案の内容を変えていただきたい。小泉政権における官から民へ、中央から地方へという大きな構造改革の流れのなかで、政府系金融機関の再編も方向が作られたので、行改革推進法の趣旨に沿った形で最終的な形態が決まることを期待している。

小島: 少なくとも行革推進法にはそこまで詳しくは書いていない。

Q:6月に行革推進本部が機関決定したなかでは、小泉さんも安倍さんも判を押している。

小島: ただ、そのときに機関決定についてパブリック・コメントを求めるなどもしていない。

北城: 移行過程もあるが、最終形態のところで民間金融機関として本当に相応しい形態で運営する必要がある。最終形態の部分ははっきりとは書いていない。例えば、商工中金の株主は中小企業に限る、というのは移行過程には書いてあるが、最終形態のところにははっきり書いていないので、移行過程をそのまま延長されるのではないかという心配がある。

小島: これから金融界は何が起こるかわからないので、むしろ自由に経営できる形態にしておいた方が商工中金にとって得策なのではないか。

Q:相次いでいる閣僚の問題について、年末にあった本間・前政府税調会長や佐田・前行政改革担当相の辞任に続き、与党からも柳沢厚労省は辞任すべきという声がある。安倍総理の指導力に疑問符を投げかける意見も出ている。裸の王様だという発言もあったが、改革実行力という意味で、安倍総理の指導力について、どうお考えか。

北城: 閣僚で不適切な発言があったのは事実であるが、発言そのものについて、安倍総理が指導力を発揮する問題でもない。総理には、これから国会審議の場を通して、特に予算編成を含め、国の財政再建と成長戦略の実現という重要な課題がある。もちろん教育改革もあるが、こうした政策の実現で指導力を発揮して頂くことが一番重要ではないか。閣僚等の不適切な発言に対する意見表明をもって指導力を発揮するというのは、本来、総理に期待する内容としては不適切である。政策実現能力でリーダーシップを発揮して頂きたい。

特に昨年、税収が予想以上に期待できるなかで、税収増分を補正予算を作って色々なところで歳出増に結び付けたい、という議論が国会議員から出てきた。それを行わなかったことは、財政再建を必要な政策課題の一つと取り上げたということで、重要な指導力である。あまり評価されていないが、財政再建は経済運営における一番大きなリスクだけに、まずは、歳出削減に取り組むことが重要である。道路特定財源についても、2008 年度分の法案改正により、基本的には一般財源化に向けて政策が立案されていくことを期待したい。そういうことでリーダーシップを評価すべきではないか。

Q:各紙の世論調査を見ると、安倍総理の支持率低下傾向に歯止めがかからない。経済界の評価は高く、ギャップがあるように感じるが、いかがお考えか。

北城: 安倍政権が成立した時点で非常に高い支持率があり、それ以降も、復党問題や不祥事によって、残念ながら支持率が下がっている。これからは具体的な政策を打ち出して、国会で政策が議論されると思う。政策の実行力で指導力を発揮して頂くことで、世論の支持率も上がるのではないか。これまで小泉政権で行われてきた構造改革路線に対し、安倍政権ではどこまで構造改革路線が継承されるのか。あるいは、巻き戻しがあるのではないかという懸念、財政再建にどのように取り組むのかという問題、経済成長、特にオープンでイノベーションが活発に行われる社会を作ることで経済成長を実現し、格差の問題も解決でき、雇用も増える。イノベーションを起こすための政策をどのように実行するかを打ち出して頂くことによって、経済が順調に発展すれば、雇用も増えるし所得も増え、問題視されているさまざまなことに対しての解決策となる。

さらに、教育改革についても、教育再生会議で議論されているが、さらに将来を考えても、人材育成は重要な課題である。単なる学力低下というよりも、これから日本が国際社会で発展していくために、どのような人材が必要とされているのか。イノベーションによる経済成長を行うとすれば、イノベーションを担う人材をどう育てるか。これについては、高等教育だけではなく、初等中等教育も含めて、大きな方針を出していただく必要がある。

近隣外交については、総理に就任直後に、中国、韓国への訪問を通して関係改善に取り組み、大きな成果があった。小泉政権でできなかったことを実行されており、こうしたことを続けながら、米国や欧州との関係をさらに強固にしていく。特に日本の安全保障を考えると、米国との関係は重要なので、絆を深めていけば、国民の支持も高まるのではないか。閣僚等の不適切な発言で支持率を落としているのであれば、目先の対策よりも本質的な政策を行うことで、安倍政権への信頼も高まる。

野党にも対抗策を出していただきたい。民主党も整合性ある形で政策が提示されていない。予算も含めて、整合性のある政策を野党にも出していただくことが大事である。

Q:今日午前中の自民党の部会で、ホワイトカラー・エグゼンプション法案の提出が見送られた。一方で、残業代の割増率や最低賃金率を引き上げる方向で纏まったと聞いている。こうした党の判断について、いかがお考えか。

北城: これまでの労働法制は、例えば工場で働くような勤務時間の長さが生産性・仕事の成果に結びつく仕事を想定してできていた。もちろんそういう仕事も残るが、一方で、知的価値創造、企画、分析、製品・サービスを開発するというホワイトカラーの高度な専門職の仕事を評価する仕組みとしては適切な法制ではなかった。勤務時間に拘束されずに仕事の質で評価される職に対して、知的労働が中心となる新しい時代の社会における労働法制をこれから組み立てていく必要がある。日本版ホワイトカラー・エグゼンプションが、「残業代ゼロ制度」と報道され、それが誤解を生んだ。制度の趣旨をよく説明して頂いて、法案が成立できるように政府として取り組んで頂きたい。

新しい労働法制が出来るなかで、自分で勤務時間を裁量できる人の仕組みを作りつつ、自分の裁量ではなく残業しなければならない人に対して、残業代の割増率を高めていくことは、一つの制度として当然ある。一方で、知的な労働に関するところを取り上げずに、残業代だけを取り上げると、知的な活動に対する評価の仕組みが益々歪になってしまう。長く働いたことで成果が出る職種ではなく、企画や分析などは短時間でも成果がでるにもかかわらず、短時間でいい成果を出した人よりも、長くかかった人の処遇をもっと良くしなさいという制度を入れることはおかしい。やはり専門職年俸制度と言って頂いた方がよかったのではないか。残業代をカットしたいという印象が働いたことで、理解が深まらなかった。マスコミの方も長時間やれば良い記事が書けるわけではない。良い記事を書いた人を評価する仕組みの方がいいのではないか。長くいれば残業代もらえるとなれば、もっと長くいることになるのではないか。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


ローカルナビここまでです。

ここからサイトのご利用案内です。

スマートフォン版サイトに戻る

サイトのご利用案内ここまでです。