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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2005年03月15日(火) 13:30~
出席者 北城恪太郎 代表幹事
渡辺正太郎 副代表幹事・専務理事

冒頭、北城代表幹事より、「2005年3月(第72回)景気定点観測アンケート調査結果」について報告があり、その後、記者の質問に答える形で(1)フジテレビとライブドアによるニッポン放送株の買収問題、(1)経済同友会における環境税の議論の進捗状況、(2)憲法改正論議、(3)ソニーの新CEO、(4)小泉内閣の評価、(5)原油価格について発言があった。

Q:先週末、東京地裁によるニッポン放送の新株予約権発行の差し止め仮処分の決定が出てコメントも頂いた。今週になって、ニッポン放送がポニーキャニオン株をフジテレビへ売却する意向等の動きがあったが、この間の動きについてどう見ているか。また企業買収に対するポイズンピルについて政治の世界では検討が進んでいるが、これについての見解を伺いたい。

北城: ライブドアがニッポン放送株取得に際して、時間外取引を利用したことについて、法律に反しないから良いではないかという意見もあるし、TOBが行われている段階では好ましくない、従って法改正を、という意見もある。企業、経営者の社会的責任という観点からは問題があったと思う。我々は市場主義を重視しており、市場で競争することが重要だと言っているが、企業経営者は社会にとって好ましい経営をすべきであり、法律に違反しなければ何をやってもいいということではない。例えばCO2の排出に関して温暖化防止のための直接的な規制は無いが、沢山排出しても利益を上げれば良いということに対しては、社会的な批判がある。社会全体から見て好ましいという法の精神の下に活動するというのが経営者としての社会的責任の重要な点だ。社会的責任経営は大企業の経営者だけが守れば良いということではない。ベンチャー企業であれ中小企業であれ、企業が社会の一員である限り、経営者は社会的責任を考えて行動すべきだ。その観点からすれば、ライブドアによるニッポン放送株の(時間外取引による)取得には問題があった。

一方、ニッポン放送の第三者割当増資については、裁判の結果を尊重するべきだと思うが、ここで問題視すべきは、ニッポン放送の取締役会において、本来、株主の利益に基づいて判断しなければならないことについて、中立的な独立取締役、社外取締役が、少数株主も含めた株主の利益になるのかという判断をしたのかどうか。特定の株主に対する割当増資は、少数株主にとって価値が希薄化する。従って、問題のある行動だったと思う。そういう意味では、企業の中に社外取締役を登用して、その経営判断を求めなければならないということを示していると思う。

こうした敵対的な企業買収に対するポイズンピルを含めた防衛策の議論が行われているが、基本的に敵対的買収に対する防衛策を作ること自体は、米国でも行われており、日本の中でも制度を作ることは良いことだと思う。ただし、よく考えなければいけないのは、米国では、株主の意向を代表する社外取締役が大半の会社で過半数を占めている。従って、取締役会は株主の意向を代表して意思決定を行う。日本では、ポイズンピル、例えば新株予約権のようなものを使うか使わないかを判断するというコーポレート・ガバナンスの仕組みが、社内取締役を中心としたものになっている。その下での敵対的買収に対する防衛手段が議論されている。ほとんどの会社の取締役会が社外取締役ではなく社内取締役が中心のところで、米国と同じようなポイズンピルを実施すれば、現経営陣を守るために使われかねない。制度設計としては敵対的買収対策とコーポレート・ガバナンスの確立の両方を行うべきところを、日本では一方だけ議論しているような気がする。

今回のライブドアとフジサンケイグループの争いについては、企業の取締役会のあり方を良く考えるべきだと思う。ライブドアに関しても、今回の行動が株主にとって良かったのかどうかを決める取締役会も社内取締役が中心だ。フジテレビもニッポン放送も社内の取締役が中心なので、本来、株主にとって適切かどうかを判断できないような取締役会のあり方ではないか。

今回の件は、CSR、企業の社会的責任についての注意をもう一度喚起していると思うし、コーポレート・ガバナンス、特に社外取締役の重要性をもう一度、考える必要があるのではないかと思う。

Q:ライブドアの堀江社長が、フジテレビの日枝会長にトップ会談を求めており、一方で日枝会長は担当の局長や役員があるのだから、まずはそこで話し合いをしてから、と堀江社長の求めに応じていない。これについてはどうお考えか。

北城: 会談をすることは結構なことだ。ニッポン放送の大株主であるのだから、経営について両企業で話をするのは結構なことだし、フジテレビがまず担当役員レベルで話し合いをということであれば、それに応じて話を始めればいいのではないか。全てトップダウンではなく、まずどういう問題があるかについて実務を担当する役員が議論するというのは好ましい。もちろん、両者がトップで会談したいと言うことであれば、それも結構だ。両者が歩み寄れる方策で話し合いをしたほうが良い。まず話し合いを始めた上で、トップ会談が必要であれば、行えば良いと思う。

Q:会社法改正案について、外国株対価合併、いわゆる三角合併が一年先送りされる方向で調整されているようだが、対日投資を増やそうという時期に、こうした判断についてはどうお考えか。

北城: 対日投資を拡大するという観点では、三角合併を含めたM&Aというのは非常に大きな柱になる。そういう意味では、一年延期したということは、対日投資を拡大するというメッセージとしては、それをやや否定する方向だったと思う。一方で、日本で敵対的買収が余り行われてこなかった、そのための法的な整備、定款変更等の準備が必要だという主張も正しい。一年間延長すると言うこと自体をそれほど大きく否定するということではない。本質が三角合併を認める方向であれば、準備期間があっても止むを得ないのではないか。

Q:公共性と外資規制という観点で伺いたい。メディアに対する外資規制はあるが、公共性の高い電力やガスなどには外資規制がない。その点はどのようにお考えか。

北城: 各国でそれぞれの制度を導入しているので、国際的な整合性を考えるべきだ。メディアに関して言えば、その国の世論形成に非常に大きな影響があるので、英国は別としていろいろな国でメディア規制が行われているので、メディア規制はあっても良いと思う。メディアといっても新聞、放送などいろいろあるので、どの部分を規制するかについてはこれから議論をしても良いと思うが、メディア規制があること自体については、他国の制度をみても整合性があるので、他の業種と違っても良いと思うし、通信や航空などいくつかの分野でそれぞれ規制を決めても良いと思う。

ただし、一般的な外資の日本への参入に反対することとは違う。日本は世界の先進国であり、日本企業が海外で行っているような自由度は、逆に外資企業も日本国内で実行できるようにすべきだ。先進国としてのルール・制度づくりは必要だ。小泉総理は、対内直接投資の倍増を表明され、そのための施策を行われている。その中のいくつかは、海外からM&Aを含めた投資も行われると思う。海外から日本への投資は、累積投資額でGDPの2%程度でしかない。米国では20%、フランスでは40%を越えているので、外国との比較でいえば、日本は海外からの投資額が少ないという状況なので、外国から日本への投資を防ぎたいという方向は好ましくない。海外から新しい資本が入ってきて、新しい雇用の機会や技術、経営管理の仕組みが入ってくること自体は、日本経済にとっても日本国民にとっても良いことだと思う。日産の場合は、ルノーの資本が入り、ゴーン社長がさまざまな改革を成し遂げた。そのような例を見ると、外国からの資本が入ってくることや外国人の経営者が日本の企業経営に参加することを一概に否定すべきではない。基本的な姿勢としては、推進すべきだ。

渡辺: 放送にも規制があり、新聞には再販制度という規制がある。規制がある業種ほど、コーポレート・ガバナンスやCSRが重要視されるべきだし、社会的要請も強いと思う。一度メディアでも議論していただきたい。

北城: 企業は株主のものだと思うが、株主の利益だけ追求して、社員や顧客、社会の満足度は無視しても良いというわけではない。従業員が意欲をもって働いたり、顧客満足度が上がったりしない限り、企業の業績は上がらない。総合的なことを含めて、最終的には株主に利益が上がるような経営をすることが経営のあり方だし、取締役の責務だと思う。公共性も含めて企業の社会的責任のひとつだ。

基本的には規制はないほうが良いと思うが、世論の形成を含めた、国の安全と繁栄、国益に関わる問題については、ある程度の資本の規制があっても良いと思う。先進国としての責務を考えながら、海外との調和のうえで制度設計をすべきだ。

Q:東京電力が市場価格よりも安い価格でTOBに応じ株主に損害を与えたということで訴訟を起こされたが、これについてはどうお考えか。

北城: 東京電力の経営判断なので、経営会議でどのような議論がされたかよく分からないが、大量に売却する株価が市場価格をある程度下回るということは、当然あり得る。ある範囲の価格で大量に売却できれば、それを経営判断として選択する場合もある。それ以外にも企業として、例えば取引関係等の価値も含めて判断したと思うので、経営判断としてはあり得ると思う。

一般論で言えば、大量に株を売却すれば値段が下がって、その日の終値と同じ値段で売れるとは限らないので、大量の株の売却(時の価格)が市場価格よりもある一定の割合で低いということは当然あり得る。

渡辺: TOBをかけている場合は、大量のTOBに応じることと、市場で売買するという、常に二つの価格が存在する。自社株買いも一度にやってはいけない、(経営者は)ある程度の分散売買を約束させられている。あらゆるTOBを調べれば実態が分かる。ただし、TOBの価格は先に決めるので、たまたま同日で同じ株価になる場合もあるが、どうしても市場価格の乖離は起きる。あまりに大きくなったときにどう判断するか、ということだと思う。

北城: 従って、一概に違法とは言えない。経営判断の範囲内だと思う。

Q:クラウン・ジュエル(焦土作戦)という企業防衛の方法については、どうお考えか。

北城: それを採用しているニッポン放送の株主にとってどちらが良いかを判断すべきだ。重要な資産を売却したほうが株主にとって良ければ賛成するし、悪ければ反対する。ニッポン放送の取締役会には独立取締役が何名かいるが、企業買収を仕掛けているライブドアに対してどのような経営戦略を取るのか、それによって株主にとってどのような効果があるのか、という意見を聞いて、一方で、社長をはじめとする執行側の話を聞いて、どちらがニッポン放送の株主にとって、好ましいのかを判断するのが取締役会だ。通常、米国であればクラウン・ジュエルという手段もあるということを取締役会が判断しながら、買収をかけている企業に今の提案では不充分である、経営戦略が適切ではない、という反対意見を株主に対して示す、あるいは買収に応じることを株主に推薦するのが取締役会だ。その点からすると、取締役会、コーポレート・ガバナンスが十分機能していないのではないか、これは日本の一般企業にも言えるのではないか。要するに株主の意向を代表して経営を取り締まるのが取締役であり、会社を経営する執行幹部とは違う。執行する側と取締役との分離が日本では十分行われていない。コーポレート・ガバナンスのあり方を変えずに、ポイズンピルのような敵対的買収の対策だけを推進するのは経営者の保身になりかねない。一方で、敵対的買収が行われると言うこと自体は、経営者に対する規律を高める、経営効率を高める努力を強いるようになる。現預金を十分な活用手段なしに保持すること自体、株主から見れば問題だ。要するに、金利がつかないお金を預金しておくくらいなら、配当その他の方策で株主に還元すれば株主が運用する。会社は誰のものかということを日本でもう一度議論して、多くのステークホルダーを含めた企業の持ち主は誰なのかということを良く考えないと、今の議論は株主の立場を無視したものが多い。

渡辺: 敵対的買収は、何故敵対的なのかといえば、企業価値の追求の仕方が両社で一致しないからだ。両方とも企業価値を追求しているが、ライブドアとフジテレビ・ニッポン放送の企業価値の追求が同じ方向であれば一緒に(経営を)行える。企業価値の追求に裁判の判定はつかない。それをある程度担保しているのは株主を代表している社外取締役であり、経営者の意思決定に加わっていれば、ガバナンスが効いているということになる。社内だけで行っていれば、株主を代表する視点が欠けている。

北城: 企業価値をどう測るかについては、株式、時価総額で良いと思うが、ある程度長期的に株式を保有していると言うことを前提とした時価総額だ。時価総額は日々変化する、ある思惑で株価が上下する。短期の値段ではなく、長期的に見た企業の時価総額がどのように推移するかで企業価値を考えれば良い。企業価値が下がるということは、将来的な時価総額が下がると、経営者が見ている。その理由は何かということを踏まえて、取締役会、株主の立場から見た独立取締役が判断すべきだ。ただし、株主には今日買って、明日売るような株主もいるので、ある程度、長期的に保有する株主、特に少数株主の利益を代表する形で独立取締役が動かない限り、少数株主にとっては誰も自分の利益を守ってくれないということであれば、個人投資家を増やすといったところで、非常にリスクが大きくなる。少数株主の意見を代表する独立取締役の重要性を日本の企業法制の中に取り入れていくべきだ。

ソニーの(経営陣交代)の件は、取締役の重要性を示した好例だ。ソニーは委員会等設置会社の形式を取っているが、この形式を実際に採用した会社で本当に困ったと言う話は、一件を除いて、聞いていない。しかるべき独立取締役を採用している会社では問題が起きるとは思えない。採用していない会社が、「採用すると問題だ」と言っているだけで、採用している会社では問題が起きているとは思えない。社外取締役になり手がいない、という話も聞くが、元会長や社長は一杯いる。自社の相談役になり、自社の現役に対して色々と口出しをするよりは、見識を生かして他社の社外取締役になればよい。

これから、道路公団や郵政公社の民営化に際して、民間の経営の経験がある社外取締役が登用されることがコーポレート・ガバナンスを確立する上で重要だ。

Q:京都議定書に関連して、環境税の導入が議論されており、自民党や公明党は何らかの形で環境税を導入したいと言っているようだが、同友会は税による対策について3月、4月までにまとめる方向だと思う。現在の議論の方向性について開示できるようであれば、お話しいただきたい。

北城: 議論の最中なので結論は出ていないが、昨年の環境省の温暖化対策税については、環境対策のために必要な予算、財源を確保するために増税をすること、主として特定目的税であるとういことから同友会として反対している。一方で京都議定書が発効したことでもあり、日本の責務としてCO2を含む温室効果ガスの削減は必要だ。

我々は環境税を政策手段として活用できるかどうかという検討をしている。ただし、環境税を導入すれば何%位の排出量が減るかという明確な数値の関連性がはっきりしてこない。環境税の導入によってガソリン価格が上昇したところで、一時的には車を運転する人が減るかもしれないが、長期的にはそれほど大きな影響は出ないのではないかという意見もある。従って、環境税による効果は、価格が上がったことによって、車の運転を減らすとか暖房温度を下げるということには繋がらないのではないか。

我々が重視しているのは、税を導入することによって、ガソリン代、電気代が高くなり、それによって技術革新が進み、より効率的な製品が利用できるようになることだ。例えば、ハイブリッド車の魅力が増す、効率の良いエアコンや冷蔵庫といった省エネ機器の利用がより促進される。ビルの暖房のためにペアガラスを使うようなことが進む。こうした技術革新が進展するのではないか。基本は技術革新の進展によってエネルギー対策を行うべきで、そのために環境税が利用できるかどうかを検討している。

しかし環境税の導入によって、特定業種に過大な負担がかかるというのは問題だし欧州でも個別業種への対策が行われているようなので、京都議定書の目標達成だけではなく、長期的に環境対策に貢献し、技術革新を推進しつつ、日本の(特に企業の)競争力に悪い影響を与えない税制が作れるのかどうかという検討をしている。恐らく4月か5月くらいまでに検討することになるが、まだ制度設計ができていないので結論が出たら報告したい。

Q:政党等で議論されている憲法改正について、同友会でも既に提言を出されているが、その後も代表幹事は憲法9条や私学助成について、変えられるところから変えた方が良いと主張されている。一方で、根本的に変えるべきだという意見も政治の世界ではあるようだが、現時点でのお考えを伺いたい。また今後、議論が政治によって具体化されるときに、改めて意見書をまとめるという考えはあるか。

北城: 政治の世界で憲法について色々と議論されていることは好ましいことだ。国の形の根本を作るのが憲法だし、現在の憲法に問題があれば、その改正案について各党で議論されていることは好ましいことだ。色々な案が出てくることを期待している。

一方で、現実に憲法を改正するとすれば、国会の三分の二の賛成が得られる案が出来なければ憲法を改正できないということなので、まず手続法は整備すべきだ。日本を取り巻く現在の環境が、憲法を作ったときに想定したものと余りにも変わっている条文については、まず改正をする必要があるのではないか。憲法9条や私学助成のように、現実と余りにも乖離しているものは、拡大解釈するよりも憲法を改正した方が良い。その上で前文も含めて、各政党間で一致する条文ができれば改正すればいいと思っているが、条文ができないからといって、現状で根本的な問題があることを先延ばしするよりは、憲法というのは環境や国民の考え方の変化に応じて、逐次改正できるという考えの方が現実的で良いと思う。

Q:ソニーの新しい外国人CEOについていかがお考えか。

北城: ハワード・ストリンガー氏がどのような経営をするのかわからないので、結果もどうなるのかわからない。現在の経営陣が社外取締役と共に、ストリンガー氏がCEOにふさわしいと決定したことは好ましい。日本では、企業の会長や社長は、自ら辞めると言うまでその職を辞めることがない。そして、後継者を自らの一存で決めてしまうことには問題があったと思う。現社長が何か問題を起こしたときに、元社長・会長で相談役などに就任している人が、その社長に退任を促すのは、本来のコーポレート・ガバナンスから外れていると思う。社外取締役を含めて議論して決定した(ソニーの人事の)プロセスを評価したい。今後の経営がどうなるかは、新しい経営陣の努力次第だと思う。

Q:明日はOPEC総会があるが、原油価格は昨年の秋と同じ水準に上がったままだ。この原油価格が世界経済・日本経済に与える影響をいかがお考えか。

北城: 原油価格が高すぎることは、経済にとってよいことではない。日本経済に直接というより、米国経済へ悪影響を及ぼしかねない。しかし米国も、かつてのオイルショックのときに較べると、原油価格の上昇に対して抵抗力がついているので、急激な景気の後退を及ぼすほど大きい影響はないと思うが、長期的に見て好ましいことではない。一方、原油価格が高いということで、原子力を含めた代替エネルギーの開発が進むだろうし、進めるべきだろうと思う。日本のエネルギー政策も、原子力を含めて見直しをするよいきっかけではないか。

Q:これから暖房需要が下がり、その後また、行楽シーズンに向けて再び需要も原油価格も上がると思うが、価格が下がらないまま上昇局面に向かうとの予想もある。今後の値動きの見通しを伺いたい。

北城: OPECがどう判断するかによる。かつては、あまりに原油価格が高いと新しい油田の開発や代替エネルギーの開発が進んで結果的にOPECに不利になるため、OPECは適正な価格を追求していたと思う。最近は、中国をはじめとする発展途上国の石油に対する需要が拡大しており、OPEC側は必ずしも原油の減産に向かわないのではないか。したがって、ある程度高い値で原油価格が推移するので、それを前提に資源開発やエネルギー政策を考えるべきではないか。

実際の需給は、投機資金も入っていてバランスがとれていると思うが、(価格は)かつてのようには下がらないと思う。少なくとも、(1バレル)40ドル以下には下がらないのではないか。

Q:定点観測アンケートの「小泉内閣の評価」について伺いたい。「進んだ」に比べ、「遅れている」という答えが多い。小泉内閣の評価と、残りの任期でどのようなことを求めるかについて伺いたい。

北城: 多くの項目について、私の意見はアンケートの結果とほぼ同じだ。金融システムの改革、特に不良債権処理については明確に進んでいる、と経営者は判断している。規制改革や郵政民営化は進んでいると思う。郵政民営化は、まだ最終結論が出ていないが、検討が進んだということで評価されている。まずは、郵政民営化を本来の形で、特に「官から民へ」という基本的な考えのもとに、2007年4月、4社への分社化、官業の肥大化をしない形での民営化を実行していただきたい。その上で、財政・税制改革が遅れているので、任期は来年秋までだが、年内が勝負になると思うので、年内に大きな改革の目処をつけていただきたい。

渡辺: 今回のアンケート結果は、経営者の気持ちを非常によく表している。最も金融システムを評価しており、構造改革をもっと進めてほしい、という気持ちが滲み出ている。

北城: 経営者は、構造改革をもっと進めるべきと思っている。過去の内閣が行わなかったことを小泉内閣が採り上げている点については評価している。しかし、改革のスピードはもっと進めるべきだと思っている。民間企業の経営は非常に速いスピードで変わっているのに、官の変化が遅いというのが、多くの経営者の意見だろう。

以上


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