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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2004年05月11日(火) 13:30~
出席者 北城恪太郎 代表幹事
渡辺正太郎 副代表幹事・専務理事

冒頭、北城代表幹事から本日発表のコメント「社会保障制度の一体的改革ビジョンの策定を」について説明があり、その後記者の質問に答える形で1.民主党・菅直人代表辞任と後任人事、2.年金未納閣僚の責任問題、3.株価の大幅下落、4.三菱ふそうのリコール関連不祥事、5.年金改革法案の三党合意について発言があった。

Q: 民主党の菅直人代表が辞意を表明し、三党合意に対する批判、後継者問題も含めて混迷の度を強めているが、これについてどうお考えか。

北城:国民年金の未納自体は大きな問題で、全国会議員に対して、政党内で合意の上、納付の状況について公開するよう働きかけるべきだ。個人のプライバシーであるという意見もあるが、国会議員は公的な存在で、なおかつ年金が問題となっているだけに公開するべきだ。ただし、これは今の年金制度に問題があるということを示しており、未納についての個人的な責任追及だけでは年金制度の抜本的な改革の議論が深まらない。そういう意味で、菅代表の辞任については、未納問題に加えて、三党合意のあり方について「これで良かったのか」ということもあると思う。とはいえ菅代表は責任を取って辞任したので、今後は民主党が政党としてまとまりを持てるような強いリーダーが出てきて、国政の場で政権交代が可能な政党となることを期待している。政権交代が可能な政党があるということが、現政権に緊張感をもたらすし、より良い政策を決定、実行できる。どなたが選ばれるか分からないが党内一致して行動できるようなリーダーが出ることを期待している。

Q: 個人名を上げることは難しいと思うが、ふさわしいリーダー像について具体的に伺いたい。

北城: まず民主党の政党としてのビジョンを出していただきたい。「大きな政府」を目指すのか、「小さな政府」を目指すのか。つまり、国民生活のあらゆる局面、例えば福祉や医療を含めた社会保障に国が大きく関与する政権を作るのか、あるいは自己責任を中心に国の関与をできるだけ少なくする「小さな政府」を目指すのかという、本来の国のあり方をビジョンとして出した上で政策を実行できる能力を持った方に出てきていただきたい。

Q: 若手の中からも候補者の名前が上がっているが、あまり年齢にはこだわらないということか。

北城:そうだ。ビジョンが無いのは困るし、ビジョンを出しても政策が実行できなければ困るので実務・実行能力があり、その政策を国民が納得できるように伝えるコミュニケーション能力を持った方がよいのではないか。最近はテレビの時代だから、国民に直接訴えかけるだけの力を持っている人ではないと、国民の理解が得られないと思う。そういう意味では小泉総理は国民に訴えかけることには優れた能力を持っている。

Q: 先週、福田官房長官が辞任し、菅代表も辞意を表明したということで、未納・未加入の閣僚について辞任を求める声も一方である。現役閣僚がこのままとどまることについてはどうお考えか。

北城:確かに今の国民年金制度は賦課方式だから、自分の将来のために年金を納めるとともに、今の現役世代が退職した人たちへの年金給付を支えている。ある意味では税金のような形で負担している制度であることからすれば、納付しないというのは、その分を誰か他の人が負担するということで、非常に大きな問題があるので、全国会議員の納付状況については開示すべきだ。しかし、個別の議員の未納に関する責任を追及して辞職を求めるということでは、今の制度の根本的な問題を個人の責任に帰してしまうことになる。したがって、政権の継続性も含めて現閣僚の退任を求めるべきではない。

渡辺:人間は過ちを犯してはじめて謙虚になるので、自分の過ちを踏まえて(年金問題について)心底から真剣に議論するということで、未納問題の過ちを将来に活かさなければいけない。その態度が国会に出てこないと困る。色々な要因があって(国会議員の)未納の問題が起きており、国民の約4割が未納であるにもかかわらず、今回その対策が打たれたのか。国会議員は自分たちが法律を作るのだから、犯した罪を将来のために素直に率直に活かすのが国会審議だ。

北城:制度の何が悪くて、何故未納が生じて、それが解消しないのか、という制度設計の問題に踏み込んで、今の制度では十分機能しない、あるいは問題解決に多大な費用がかかるということであれば、今のような制度で年金の財源を求めること自体に無理があるのではないか。経済同友会は国民にとって最低限の年金については、税(消費税)で負担する方が徴収のコストもかからない、一方で自分の将来のための年金を積み立てて行く方式が分かりやすいと主張している。そういう議論をしてほしい。

渡辺:一元化についても今回の付則の中には議員年金についてはひとことも触れられていない。国民のベースに立って年金を議論しないと国民は納得しない。国会審議を見ていると特権意識が抜けていないし、テレビの討論会を見ていても謙虚さが伝わってこない。

Q: 昨日株価が今年最大幅で下落し、本日は少し戻しているが、長期的に続くかどうかも含めて今の状況をどう見ているか。

北城:本来株価は、企業業績に連動して決まる。短期的な上下はあるにせよ、長期的には企業業績が上がって、一株あたりの利益が増えれば自ずと株価が上がる。今、日本の景気は回復局面にあるし企業業績も改善しているので、本質的には株価は上がる方向だと思うし、そういう意味では今回の株の下落は一時的であると期待したい。しかし、今の日本の市場には海外からの投資資金が非常に多く入っており、昨年からの株価の上昇も主として海外の投資家に依存している。米国経済の回復に伴って金利の引き上げが起きるかもしれないという前提で株価が下がり、債権や為替も含めて他の市場に株式市場から資金が移動する中で、日本の市場から資金が引き上げられるということも起きると思うので、海外の投資家に依存して日本の市場が動くこと自体が問題だ。もっと日本の個人投資家が短期の売買だけではなく、長期に株を保有する、株価が上昇することで国民の資産形成に資する形で株式市場に厚みが出ることが必要だ。今回の下落は一時的だと思うが、海外が売ればまだ株価は下がる、それが景気に悪影響を及ぼすことを心配しているし、もう一度抜本的に、個人が株式市場に参加する、個人の金融資産が株式市場で運用されるような方向に政策を誘導するべきだ。利益が出たときの優遇策はあるが、株を買わない大きな理由のひとつは、下がるリスクが怖いということなので、損したときにその痛みを和らげる制度が日本には必要だ。

Q: 先週、三菱ふそうの前会長をはじめ7人が逮捕されるという事態になった。三菱自動車の再建問題も含めて三菱グループの体質に対する批判もあるが、どうお考えか。

北城:三菱グループ全体というより、三菱自動車あるいは三菱ふそうの問題だと思うが、今回リコールに関連して逮捕者が出たことは非常に残念だ。経済同友会は企業の社会的責任、CSRを掲げている。法律に違反しないだけではなく、環境、人権、コーポレート・ガバナンス、ディスクロージャーも含めて社会から信頼される経営を行うべきというのが我々の考えであり、それがあってはじめて企業は持続的な経営ができる。今回の問題で業績にも悪い影響は出ると思うが、企業経営者が反社会的な行動をしては、経営は成り立たないという意識の下に企業の価値観、体質を変えていくということが必要だと思う。そういう意味では、今回の問題をひとつの契機として、三菱ふそう、あるいは三菱自動車が経営体質の改革に取り組むことを期待している。民間企業、株式会社の経営に対して社会から、消費者から批判を受ける事態になったことは非常に遺憾だ。

Q: 経済界の中では、今の年金制度改革法案は不十分だが現行制度よりは一歩前進だから、今回の法案は通して、その後に抜本改革を議論すればいいという意見もあるようだが。

北城:年金は一年、二年あるいは五年先の問題ではなくて、十年、二十年あるいは五十年先を見据えた長期的な問題なので、その抜本的な見直しを行う機会を逸して小手先の改革法案を通すことは意味がない。一年早く、今回の法案を通して、それで将来の展望ができるということではない。国民にとって何が好ましいかを議論して今すぐ抜本改革に取り組むべきであり、なおかつ政局の問題にするべきではない。とりあえず法案を通して、ゆっくり時間をかけてという問題ではない。

渡辺:経済界に質問のような意見があるとすれば、これまであれほど反対してきたのに首尾一貫していない。経済同友会はそのようなことはない。

Q: コメントによれば社会保障制度全般の一体的な見直しについて協議の場を設けよ、とのことだが、どのような人たちが参加するべきだとお考えか。

北城: 国会では、野党も含めて厚生労働委員会の下に小委員会が作られると思うので、そこで議論をして頂ければいいと思うが、我々も年金に限らず、医療、介護も含めた社会保障全体と税金も含めて国民負担が拡大しないという形で議論して提言を出していきたい。これについては同友会だけではなく各界で、社会保障全体のあり方、年金の一元化も含めて議論をして意見表明をしながら、最もふさわしい案が作られることを期待している。

渡辺:経済同友会の会員でもあるKFi代表の木村剛氏も新聞に寄稿していたが、議論の前に厚労省の持っている情報の徹底的な開示が無ければ、本当の意味での議論ができないのではないか。情報開示に基づいた議論が国民の将来的な信頼につながる。

北城: 情報を持っているところが都合の良い情報だけを出して「安心しろ」ということでは、議論は深まらない。情報が開示されないと、シンクタンク等も将来の予測の計算ができない。

Q: 厚生労働省の下に社会保障審議会があるが、議論の場自体は、社会保障審議会でも構わない、とお考えか。

北城: 社会保障には年金以外の問題もあるので構わないが、情報を開示することと民主党の対案やそれ以外も含めて、広く議論していただきたい。情報が開示されないとどちらが、何故よいのか良く分からない。今の制度に関しては、国民年金に加入していない、未払いの人が4割近くもいる、ないしは若い世代(20台)では5割もの未納の問題がある中で、それをどのように解決するかについて基本的な政策が出てこないにもかかわらず将来は80%の納付率を前提として今の制度設計をして給付を試算していること自体大きな問題だ。納付率を高めるために社会保険庁の体制を強化すれば、それにまた費用がかかる。こういった問題をよく議論していただきたい。

渡辺: 一年間、年金議論の中で言い続けてきたことは、これまでの年金は厚生労働省が全てのシナリオを書き、社会保険庁がその先棒を担いで露払いをしてきたということだ。従って、国会議員の中で年金について詳しく知っているのは年金族しかいなかった。その特定のグループで議論されてきた結果、このままでは持続できないということになったのだから、一番重要なのは厚労省から離れてシナリオを書くことだ。それが本当の意味での抜本改革案につながる。経済同友会は今年「イノベーション」をテーマに掲げているが、年金のイノベーションが今こそ必要だ。

Q: 3年先の結論では遅い、ということだが、経済同友会の案にある財源の消費税については、小泉総理は任期中には上げないと明言しているが、それでも抜本的な改革を進めるべきだとお考えか。

北城: 抜本的に変えるべきだと思う。任期中に消費税を上げないという小泉総理の方針だと思う。それを変えていただくに越したことはないが、少なくとも消費税をもって年金の財源にするという意思決定は今の段階でしていただきたい。消費税の導入そのものが三年後であっても、今の段階で抜本的見直し案を決めて、財源に消費税を使うということを決めていただきたい。ただし、将来の年金を全て国に依存する仕組みで運営したほうがいいのかどうかも考えるべきだ。何でも国に依存するということは国の機関を通して年金を積み立てて、その支払いを行うということだ。本来、経済活動は民間の方が効率的に行えるので、非効率的な官に依存して全て運用するという仕組みは好ましくない。自己責任で、老後設計を考えながら資金を積み立てる、あるいは若い頃にそれを使うというのも個人の生き方として考えるべきだ。

渡辺: 公的年金というのは有無を言わさず加入せざるを得ないのだから、(結果的に)大きくなってしまっては大変だ。経済同友会はそれを含めて考えている。

Q: 経済同友会は、基礎年金については消費税で負担し、それを超えた部分については国に頼らず自己責任で運用してもいい、という考え方か。だとすれば、民主党が出した案が、基礎年金を税で賄うということについては近いように思うが。

北城: 必ずしも同じではない。基礎年金に消費税を導入するという点では似ているが、最低限の年金は全ての国民に、所得の大小にかかわらず保障する。それ以外は個人年金、国が関与しない私的年金で運用するということで、必ずしも同じではない。

以上


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