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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2003年07月08日(火) 13:30~
出席者 北城 恪太郎 代表幹事

冒頭、北城代表幹事は、2002年10月に発表した提言『首相のリーダーシップの確立と政策本位の政治の実現を目指して』を紹介した上で、「次期総選挙までに各政党は政権公約(マニフェスト)の策定を」と題したコメントを発表した。
その後、記者の質問に答える形で(1)株価、(2)長期金利上昇、(3)イラン油田開発、(4)政権公約(マニフェスト)、(5)総選挙のタイミング、(6)生保予定利率の引下げについて発言があった。

Q: 昨日、本日と株価が一時10,000円を突破している現状についてどうお考えか。特に、実体経済を反映した結果、株価が上がったと考えるか。

北城: 一時的にしろ、株価が10,000円を突破したことは明るいニュースだと思う。株価の上昇は、実体経済にも良い影響を与える。企業経営から見ても年金資金の運用等の改善も見込まれ、また金融機関の財務状況の改善という面でも良い効果がある。さらに、一部の個人投資家も株式市場に参入していることから、資産効果もある。企業経営者に明るい気持ちを起こさせるという意味でも、10,000円超えは非常に大きな区切り。そういう意味で良いニュースだと思っている。

今般の株価上昇は一時的なものではないか、という疑問も一部では出ているが、個人的には、株価は将来の企業業績に対する期待が反映されると思う。日銀短観でも景気の回復傾向が見られるということで、現時点でいくつかの政策手段を取った方が景気回復軌道に乗ると思う。

株価が上がったからと言って、安心すべきではない。企業経営者および政治の面で次の手段を取るべきである。

企業経営者は、安心せずに自社の業績向上に取り組むこと、そして業績の成果を株主に還元する上での強化が必要である。日本では、株式の配当性向20-30%の企業が多いと思うが、できれば配当と自社株買戻しなど(どちらを取るかはその企業の株価や成長性、戦略によって違うと思うが)、併せて50%程度の株主への利益還元を行うことによって、株の魅力を増す努力をすべきである。

一方、政治の面では、規制改革を含めた構造改革をさらに推進していただきたい。併せて、個人の株主を優遇するような証券税制の確立を求める。企業に優遇制度があるように、個人にも、金融取引を含めた金融資産の損益通算(株式の配当収入と売却損の相殺など投資損益の通算範囲の拡大)、将来的には所得との通算を含めた総合課税など個人が株に投資することを有利にする仕組みを構築していただきたいと思う。個人にとっての優遇策がまだまだ不十分だと思うので、欧米並の証券税制を実現すれば、広い層の個人が株式市場に参加してくれる可能性が出ると思う。

Q: 今回の株価10,000円超えにより長期的な上昇トレンドは続くとお考えか。

北城: 株価は、最終的には市場が決めること。10,000円を超えたからそれで良い、と安心すべきではない。実体経済そのものが急速に改善しているわけでもないので、実体経済を強化するための構造改革や経営者の努力、証券税制優遇策見直しのような対策を、株価が上がったときにこそ、もう一歩の市場活性化対策を実行すべきである。上がり始めたときこそ、手を緩めずに実行していただきたい。

Q: 税制優遇制度以外に政府に期待することはあるか。

北城: まず政府にお願いしたいことは、構造改革の推進。「官から民へ」、「国から地方へ」ということや規制改革を含めて実現していただきたい。「骨太の方針」で着実な前進は見られたと思うが、年末の予算編成に向けて具体策をつめ、本来の「骨太の方針」が実現できるよう、速く進めていただきたい。方向性としては適切と思うが、スピードの点ではまだまだだと思うので、こういう時期こそ、将来の安定的な経済回復に向けて積極的に手を打つべきである。

Q: 長期金利の上昇についてはどうお考えか。

北城: これまであまりにも下がり過ぎていた長期金利の水準が是正された、ということで、急激に上昇する局面ではないと思う。国債の発行も続いているので、長期金利の動向は注意深く見ていかなければならない。財政出動のために大幅な赤字国債発行を求める声もあるが、国債の償還が難しくなっているという点を考えると、無制限に財政出動をしても良いということではない。財政規律を守りながら、経済回復に努めることが必要だと思う。 設備投資や借入金の多い企業、住宅投資などへの影響はあると思うが、個人を含めて金融資産を持っている側にとっては、個人の資産効果も出るし、短期金利と長期金利の差がないと金融機関の経営は成り立たないので、短期と長期の金利にある程度差があることは、本来の姿として望ましいと思う。

Q: イランでの油田開発と核兵器開発問題についてはどのようにお考えか。

北城: 日本のエネルギー調達先の多様化、という意味で自主油田の開発に力を入れることは、日本のエネルギー政策としては必要なことである。日本とイランは長い間友好関係にあるので、その関係は重視すべき。一方、大量破壊兵器、核兵器の拡散は、世界平和の面で大きな問題がある。IAEAなどの核開発に関する査察に協力すべき、という姿勢をイラン政府に求めながら、油田の開発を進めるべきだろう。

Q: 今日改めてマニフェストの必要性を求めるコメントを出されたが、新たな意図はあるのか。また経団連の政治献金に関する評価基準についてはどのようにお考えか。

北城: 「マニフェスト」という言葉にはまだ馴染みが薄いが、「政策綱領」というよりは「政権公約」の方が分かりやすいと思う。

現在公約として選挙時に提示しているものは、選挙の時だけの立候補者個人の約束で「選挙口約」とも言える。政党が政権を取ったときの約束を示すことによって実際にその政党が選挙で勝った時にはその政策が実行できる、またその政党の党首が総理に選ばれるということは、実質上の首相公選制とも言える。その面からも、マニフェストは非常に重要な政治手段だと思う。選挙の際に数値目標を入れることによって、次の選挙では評価も可能になる。是非各政党に、目標と数値、期限、工程、財源に触れたマニフェストを作成して欲しい。そして有権者が政党を判断できる手段を作って示していただきたい。

経済同友会では、政治献金を推進するということではなく、選挙の判断材料のためにマニフェストを提案している。

各政党とも、マニフェストの準備を進めているようなので、マニフェスト作りは進むと考えている。ただし、選挙の際にマニフェストを配布できない、という法的規制があるようだ。マニフェストはあくまで有権者の選挙の判断材料になるようにすべきで、現状のような葉書やビラだけで政策を判断することは難しい。マニフェストを政党の基本的な方針を示す手段として、日本で定着することは、政治改革上非常に重要だと思う。そういう意味で、経済同友会は21世紀臨調の活動を支持している。

Q: 総選挙のタイミングについてはどうお考えか。

北城: 経済同友会は、実際の政策について提言をしているが、総選挙の時期について特に意見はない。政局の動きで選挙が行われると思う。

選挙の際には、是非各政党がマニフェストをまとめて国民に提示していただきたい、と思う。同じ党でもいろいろな意見があるようだが、選挙の前に是非議論をしていただいて、ひとつにまとめていただきたい。

前回選挙制度を変えたときには、政党/政策中心の選挙が掲げられて小選挙区制の導入が行われたと思うが、実際は、選挙区は小選挙区になったものの、選挙のやり方は中選挙区制を引きずっていたと思う。現状、ひとつの選挙区に複数の同政党の候補が立つことがある。選挙制度改革から10年経ったいま、本来の主旨に戻って、「小選挙区=政党を選ぶ選挙」が前面に出るような選挙制度に変えること自体が、政治がリーダーシップを発揮できる重要な基盤になると思う。政治がリーダーシップを発揮できなければ、構造改革を含めた政治的課題を迅速に進めることは難しい。

Q: 生保の予定利率引下げについては、どのようにお考えか。

北城: 生保の予定利率引下げについては、保険契約者の損害を最小にとどめるために、いわば「保険」のために作ったものと理解している。現実に予定利率を引下げる生保会社はないと思う。今回、危機の時のために、対応できる手段を確保するために準備をしたことは良かったと思っている。

Q: 生保の予定利率引下げについて、株主総会での発言と実際が食い違った場合に問題は起きないのか。

北城: 経営者の判断に関する説明責任は追及されると思うが、経営とは状況を見てその時点で最善の判断をするものである。違う判断をしたとしても、説明し納得できるものであればそれでよいと思う。マニフェストについても、掲げた数値目標が達成できなかった場合に、その理由を説明できれば、有権者の理解を得ることが可能だと思う。

以上

(文責:事務局)


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