私の一文字
2026年7月号
会員の方が思いを込めて選んだ一字に、書家の岡西佑奈さんが命を吹き込む「私の一文字」。
今月は、渡辺 治子副代表幹事にご登場いただきました。
今月は、渡辺 治子副代表幹事にご登場いただきました。
どのような未来を「築」くのかを考えることが責務
副代表幹事 労働市場・人的資本経営委員会 委員長 渡辺 治子
AIGジャパン・ホールディングス 取締役 バイスチェアマン
AIGジャパン・ホールディングス 取締役 バイスチェアマン
岡西
「築」の上部は、竹籠に土を入れて工具で打ち固めていく様子を表しています。それが木とつながることで、「築く」という意味そのものを示すようになったといわれています。この文字を選ばれた背景を、あらためてお聞かせください。
渡辺
地政学上のリスクが非常に高まり、AIが目覚ましい進化を遂げるなど、世の中の枠組みが根本から変わりつつあると感じます。経営者としては変化への対応のみならず、どのような未来を築くかをきちんと考えて行動していかなければなりません。そうした責務を日々考える中で、この文字が頭に浮かびました。私自身、建築を見て回るのが好きなので、それにも通じると感じたことも理由の一つです。
岡西
「築」の意味合いにちなみ、ご自身の土台となる価値観を教えていただけますか。
渡辺
「Attitude is Everything」という言葉を座右の銘にしています。自分がどのような態度で物事を捉えるかによって、その意味が決まってくるという考え方ですね。挑戦は、うまくいく時もあればうまくいかないときもある。しかし、うまくいかなくとも学びとして蓄積できれば、貴重な経験としての価値に変わります。無駄なことは一つもないと思っており、それは「築く」に近いかもしれません。
岡西
建築を見て回るのがお好きとの話でしたが、心引かれる建築物というのは何か共通項がありますか。
渡辺
レトロ建築が最も好きなのですが、時代を問わず、優れた建築には、機能や効率だけではなく、建築家のビジョン、それを実現するための構造設計、駆使された匠の技が全部詰まっています。コラボレーションの結果として素晴らしい建築ができたことに強く引かれますし、それは組織と人の関係にも似ているように思います。組織のパーパスを実現していくためには、多様なバックグラウンドの人たちが力を合わせていく必要があります。一人ひとりの力が結集して大きな価値が生まれてくるところに、同じ魅力があるのではないでしょうか。

岡西
渡辺さんご自身を支える人とのつながりは、どのように築いてこられたのでしょうか。
渡辺
特定のロールモデルを持つというよりも、出会った人のそれぞれから学ぶべき点を取り入れながら成長してきました。これを続けていくには、分け隔てなくいろいろな人とコミュニケーションを取り、関係性を長く保つことを大事にしたいと思っています。
岡西
経済同友会では副代表幹事、そして労働市場・人的資本経営委員会の委員長を務めていらっしゃいますが、今後の展望についてお聞かせください。
渡辺
経済同友会では「共助成長」をビジョンに掲げています。AI により労働市場の変化が加速する中で、ビジョン実現に向けて、本当に知恵を絞る必要があると思います。そうした点を会員の皆さまと議論し、実現に向けたアクションを共に取っていけたらと考えています。
書家 岡西 佑奈
1985年3月生まれ。23歳で書家として活動を始め、国内外受賞歴多数。