私の一文字

2025年10月号

会員の方が思いを込めて選んだ一字に、書家の岡西佑奈さんが命を吹き込む「私の一文字」。
今月は、北原義一エンターテインメント事業活性化委員会委員長にご登場いただきました。

「熱」い感動を提供する

エンターテインメント事業活性化委員会 委員長 北原 義一
東京ドーム 取締役会長CEO

岡西

「熱」は、部首「れっか」の上に植物を栽培する様子が組み合わさり、植物に火を着けた「熱さ」を表しています。この文字を選ばれた思いをお聞かせください。

北原

東京ドームは、さまざまなエンターテインメントコンテンツの宝庫でもあります。スポーツや音楽に多くの人が熱狂し、ほとばしるような情熱と笑顔、そして、熱い感動が得られます。そうした全てがこの文字に集約されると思い、選びました。

岡西

何度もこの場でライブや試合を見ましたが、場自体の熱が高まっていくのを肌で感じたものです。今回はそうした高まる熱を表現しました。

北原

私たちは、今この瞬間に得られるライブ体験を提供しており、そうした場の雰囲気をこの文字から感じました。

岡西

働く方々の情熱も大きいと思うのですが、その力を引き出すために意識していることはございますか。

北原

私が社会に出た高度経済成長期は、個性よりも集団性が良しとされていました。しかし今は個の時代です。それぞれの個性を活かした力の発揮が求められます。炎に例えるなら、赤く激しく燃え上がる火もあれば、青い静かな火、炭のようにじわじわと広がる火もあります。そうした違いを受け入れ、それぞれの火を大きくすることが大切です。雇用を守ることは経営者の最大のミッションの一つですが、加えて多様な人々を基盤にしていかに事業の成長をつくれるかどうかが、今後の経営者に問われると思っています。

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岡西

この先の事業はどのようにお考えでしょうか。

北原

今はライブが私たちの主たるサービスですが、新しいテクノロジーを使うことで、過去や未来もサービス化できるようになります。オンラインを通じて全世界を市場にすることもできます。私たちの持つ経営資源を使い、こうした新領域にはタブーを設けずぜひチャレンジしていきたいと思っています。ただしその際には、サービスの考え方の基準を変えていく必要もあるでしょう。これまでは日本という単一の価値観を前提にしていましたが、人種も宗教も地域も異なる人に向けて考えないといけません。転換には時間もかかると思いますが、一人ひとりに合わせたサービス提供を目指すくらいの気概で知恵を絞っているところです。

岡西

経済同友会ではエンターテインメント事業活性化委員会の委員長を務めていらっしゃいますが、今後の展望をお聞かせください。

北原

実業界のトップリーダーが連携できるのが、経済同友会の良さだと思います。この委員会は、ユニークで才能豊かなメンバーが参画しているのが強みですので、政策提言に加えて何かしらのアクションを起こし、「行動する経済同友会」の象徴になっていけたらと考えています。
書家 岡西 佑奈
1985年3月生まれ。23歳で書家として活動を始め、国内外受賞歴多数。
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