私の一文字
2025年6月号
会員の方が思いを込めて選んだ一字に、書家の岡西佑奈さんが命を吹き込む「私の一文字」。
今月は、廣田康人副代表幹事にご登場いただきました。
今月は、廣田康人副代表幹事にご登場いただきました。
前を向いて共に「走」る
副代表幹事 規制改革委員会・欧州委員会 委員長 廣田 康人
アシックス 取締役会長CEO
アシックス 取締役会長CEO
岡西
「走」という漢字は人の身体の動きを表しており、地面を力強く蹴って前進する様子が由来となっています。今回この文字を選ばれた思いをお聞かせいただけますか。
廣田
書を拝見して、しぶきを感じるような勢いを感じています。今回はさまざまな意味を込めてこの文字を選びました。当社はスポーツ用品を製造しており、中でもランニングは中核事業の一つです。また、経営そのものが「走る」ことになぞらえられますし、仕事においても「目標に向かって共に走る」「後ろを向かず、できるだけ早く前進する」といった姿勢が大切だと考えています。また私自身も日々ランニングをしていますので、身近な言葉にもなっています。
岡西
事業の方ではマラソン大会での着用率が一時期は下がったものの、再び上昇傾向にあると伺いました。どのような取り組みがあったのでしょうか。
廣田
厚底シューズが他社から発売されたことで、一時期はかなり苦戦しました。ただし、われわれは一貫して匠の技を重視し、技術力に裏打ちされた良い商品を出すことにこだわってきました。安全で快適、かつ記録も出る靴であることが信頼性につながります。今年の東京マラソンには私も出場しましたが、どうしても皆さまの足元が気になってしまいました。記録を狙う上位層の方から、走ること自体を楽しむ一般の方まで、幅広く支持いただけているのはうれしいことです。
岡西
信頼を高めていくために、工夫されていることはありますか。
廣田
われわれの研究所では、子どもから高齢の方まで、あらゆる足型のデータを集めています。国別のデータも豊富に持っており、それを活用して履きやすい靴を徹底的に追求しています。またお客さまとのつながりも重視し、デジタルコミュニケーションにも力を入れました。会員制の仕組みを作り、個人に合わせた案内やお知らせが届くようにしています。さらに、子どもの足の成長を予測するデジタルツールも開発し、成長に合わない靴で足の発達が妨げられないようサポートしています。
岡西
ご自身がランナーでもありますが、健康管理について気を付けていることはございますか。
廣田
規則正しい生活をするのが一番だと思っています。毎朝ランニングしているのですが、これは自分の体調を確認するという重要な日課にもなっています。
岡西
経済同友会では新たに副代表幹事に就任されましたが、今後の展望をお聞かせください。
廣田
具体的なことはこれからですが、代表幹事が掲げる「共助資本主義の実現」という方向性に深く共感しています。成熟した日本経済のあるべき方向だと思っており、その実現に向けて貢献する活動をしていきたいと思っています。
書家 岡西 佑奈
1985年3月生まれ。23歳で書家として活動を始め、国内外受賞歴多数。