私の一文字

2025年4月号

会員の方が思いを込めて選んだ一字に、書家の岡西佑奈さんが命を吹き込む「私の一文字」。
今月は、高原 豪久 サステナブルな地球委員会委員長にご登場いただきました。

「Unicharm」の原点に立ち返る

サステナブルな地球委員会 委員長 高原 豪久
ユニ・チャーム 取締役 社長執行役員

岡西

今年の一文字を社内に発信していると伺いました。どのような思いで今年は「U」にされたのですか。

高原

その年の方針を一文字として発信することを、実は社長就任時から続けています。皆のベクトルを合わせたいと思い始めました。「ユニ・チャーム」の「ユニ」は、「Unique」「Universal」「United」を由来としています。今回はその原点に立ち返り、社名の頭文字でもある「U」を選びました。競合とは一線を画すユニークさ。世界各国で使われ、誰にでも使いやすいユニバーサル性。そして会社全体で同じ方向に結実していくこと。当社の価値観でもあり、あらためて重視したいと考えました。

岡西

禅僧が書く円相という書があります。それが三つの「ユニ」の意と通じるように思い、円相をイメージしながら今回は書きました。同じ方向に向くためには、社員との接点も大事かと思います。社員の誕生日にメールを送ると記事で拝見したのですが、その思いをお聞かせください。

高原

これも社長就任時に、皆のベクトルを合わせたいと思い始めました。アイスブレークから始め、仕事に関して、会社の目指す方向について、そして家庭を大切にといった話を織り交ぜています。今では多くの社員から返信があり、そこから商品開発につながったこともあります。コロナ禍に誕生日メールの返信で、耳の不自由な社員が、「口が見えるようなマスクを親が作ってくれた」という近況を書いてくれました。唇が読めない不自由さに気付き、「顔がみえマスク」という商品を作ったのです。

岡西

他方で近年は、紙おむつのリサイクルなど循環型ビジネスの構築にも力を入れているとのことですね。

高原

知行合一と言うように、「知ること」と「実践」は表裏一体であるべきだと思っています。実は3.11の後から始業時間を早めて、エネルギーピークをずらすようにしました。できることを考えたらすぐに行動に移します。次は商品を通じたSDGs貢献として、進めている中の一つが紙おむつの水平リサイクル「RefF」プロジェクトです。近年、消費者の価値観は機能価値・情緒価値・自己表現価値を統合的に重視する方向に変わってきています。身近なところから環境負荷の低減に貢献したいと考え、自ら使用するだけではなく、周囲に推奨してくれる方もおり、水平リサイクル品の意向が高まっていると感じています。

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岡西

経済同友会ではサステナブルな地球委員会の委員長を務められていますが、今の話がまさに通じますね。

高原

経済合理性を伴う循環サイクルを目指さなければ、継続や拡大が困難であると考えています。この委員会では温室効果ガス排出量を重要な一つの観点としていますが、可視化を考えると同時に、社会や人々の価値観の変化も意識し、事業構築に資する観点を持ちながら活動していきたいと考えています。

書家 岡西 佑奈

1985年3月生まれ。23歳で書家として活動を始め、国内外受賞歴多数。
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