私の一文字

2025年3月号

会員の方が思いを込めて選んだ一字に、書家の岡西佑奈さんが命を吹き込む「私の一文字」。
今月は、岩﨑真人 経済・財政・金融・社会保障委員会委員長にご登場いただきました。

全てが「繋」がっている

経済・財政・金融・社会保障委員会 委員長 岩﨑 真人
IGPIグループ シニア・エグゼクティブ・フェロー

岡西

「繋」を選ばれたのはどういった思いでしょうか。

岩﨑

自分がこれまでの生活や仕事の中で積み重ねてきた経験や取り組みが全て「繋がっている」感覚が年々増しています。例えば私は幼少期に喘息を患っていて、小学校も休みがちでした。化学系の研究に従事していた父の仕事も影響したのでしょうか、武田薬品工業に入社し、医療関係の仕事をしてきました。一方で最近、気候変動やEBPMの取り組みへのかかわりや、出身地のご縁から、群馬県の観光協会をサポートしています。それらの仕事に取り組む中で、医療・健康と密接にかかわり影響していることに気付かされます。また、以前仕事でお世話になった医療雑誌の編集者と再会することもありました。若い頃はどう「繋げて」価値を生み出すかを考えていましたが、今は活動がオーバーラップして「繋がって」きている感覚です。

岡西

今回は、人生における繋がりのダイナミックさを表したいと思い、筆を取りました。「繋」の成り立ちは諸説ありますが、象形文字が転じて「車・杖を持つ人・糸」で成り立つ今の文字になったようです。

岩﨑

仕事関係の人たちとの繋がりが縦軸だとしたら、経済同友会のような、多様な業界や考え方の人たちとの繋がりが横軸です。この横軸の繋がりの幅は、新しいバリューづくりに欠かせないものだと思っています。

岡西

長く「患者さん中心」という判断をされてきたと思いますが、難しい局面も多かったと思います。どのような信念が源にあるのでしょうか。

岩﨑

病気で苦しんでいる人を見ると、その家族の顔が浮かんでしまいます。そして、私が喘息の発作で苦しんでいる時に枕元で泣いていた母の姿と重なります。これもある意味、横の繋がりでしょうか。判断の面では、例えばコロナ禍に製薬会社としてワクチンを開発するべきだという議論がありました。しかし、今苦しんでいる患者さんやその家族のために優先すべきは今すぐ使えるワクチンです。一刻も早く患者さんに届けようと、結果自社開発はせず、2種類のワクチンを輸入しました。全員が一致して前に進めたと思います。

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岡西

委員長を務められている経済・財政・金融・社会保障委員会について、展望をお聞きかせください。

岩﨑

経済、金融、財政、社会保障は密接に関連しているため、一部分の改善だけでは機能しないでしょう。委員メンバーには多様な業界の方がいらっしゃいます。この多様な繋がりによって、全体を考える上で新しい視点やソリューションが見えてくると期待しています。私は日本の将来には可能性がたくさんあると思っています。医療や医薬品も大きな財産です。国内にあるアセットをうまく盛り込めるように整理し、まとめていきたいと思います。

書家 岡西 佑奈

1985年3月生まれ。23歳で書家として活動を始め、国内外受賞歴多数。
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