私の一文字

2023年12月-2024年1月号

会員の方が思いを込めて選んだ一字に、書家の岡西佑奈さんが命を吹き込む「私の一文字」。
今月は、山内雅喜ジュニア・リーダーシップ・プログラム委員長にご登場いただきました。

『誠心誠意』尽くし、成し遂げる

ジュニア・リーダーシップ・プログラム 委員長 山内 雅喜
ヤマトホールディングス 参与

岡西

「誠」は、斧と釘を表したものが転じて「何かを成し遂げる」意となった漢字です。「ごんべん」には祝詞の意味合いもあり、思いを成し遂げて天に向かうことも表されています。今回は向かっていく天が、地や人とつながっているイメージを持って書かせていただきました。この文字を選ばれた思いをお聞かせください。

山内

何事も成し遂げるには、人がかかわります。そこに必要なのが誠心誠意尽くすことで、信頼関係があれば最後は理解してもらえると信じています。「至誠通天」を座右の銘にしてきたこともあり、この文字を選びました。本当に世の中に役立つか、人の幸せにつながるかという最後の判断軸においても、やはり誠心誠意が大事だと思っています。

岡西

仕事をする上で創業者・小倉昌男さんとの出会いが大きかったとのことですが、特にどのような点でしょうか。

山内

クール宅急便立ち上げのチームに参画して直に接したり、企業理念をつくるときに直接やりとりをしたことで、小倉さんの物の見方、考え方を学びました。宅急便を世の中のインフラと言いたいという思いと、インフラと名乗ることの覚悟ですね。社長になって困難に直面した時、判断を迫られる時にそうした言葉が思い返されます。

岡西

多忙さの中でも人と向き合うことに対して、何か意識されてきたことはありますか。

山内

もともと人と話すのが好きで、人の心理に興味がありました。私自身が転校を繰り返し、そのためなるべく目を見ながら話をするようにしてきましたし、現場に行ったときにはできるだけ一人ひとりと話すようにしてきました。自分自身もそう育てられましたし、それが喜びにつながったという思いがあります。

岡西

東日本大震災時にも事業を継続されたことが印象に残っていますが、今後の運輸はどう進化していくでしょうか。

山内

社会のインフラという根本は変わらないと思っています。ただし、時代に合ったサービスの変化は必要です。作業の自動化や配送のスマート化も必要ですし、社会全体で効率的に物を動かす仕組みも必要でしょう。そのためのDXは不可欠と言えます。一方で、対面であることの価値も重要だと思っています。地域を支えるような領域や、人を介して情報が行き来するようなインフラとしても進化できるのではないかと思っています。

岡西

最後に委員長を務められているジュニア・リーダーシップ・プログラムについて、展望をお聞かせください。

山内

次期経営者層を対象にした教育プログラムですが、女性が3分の2を占めています。自分たちが主導して動かす環境をつくり、経営に携わる力を養ってほしいと思っています。次の世代をつくることは先輩であることの責務ですので、社会の幸せをつくれる人を一人でも多く輩出したいと思っています。

書家 岡西 佑奈

1985年3月生まれ。23歳で書家として活動を始め、国内外受賞歴多数。
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