2026年10月号
アジアの地平から考える多様性と未来

山城経営研究所
代表取締役社長
日本アイ・ビー・エム
名誉相談役
名古屋大学経営協議会委員としてのご縁から現総長の杉山様から声をかけて頂き、文部科学省の補助金による「PhDプロフェッショナル登龍門 フロンティア・アジアの地平に立つリーダーの養成」プログラムに関わり、モンゴル(2013/2015年)やカンボジア(2016年)での海外研修に同行した。このプログラムは、大学院5年間の一貫教育を通じて、専門性に加え、課題を見つけて解決する力、マネジメント力、国際性、異分野への理解、自己表現力を備えたグローバルリーダーを育てることを目的としていた。中でもカンボジア研修では、アンコール王朝の歴史や内戦・虐殺の過去、現在の社会基盤の整備状況・経済発展に伴う課題を学び、20年後のあるべき姿とそこへ至る道筋を考えることがテーマであった。私はトンレサップ湖畔のコンポン・プルック村を訪れ、電気のない環境で高床式の家々に暮らし、子どもたちが小舟で学校に通う様子を目にした。観光化や過度な近代化とは異なる形で発展を続ける村の姿から、都市型の発展だけではない、新しい成長のあり方が必要だと感じた。
翌日、プノンペンでは現地学生や名古屋大学の学生と講演・討論を行い、多様な価値観の中で学ぶことの大切さを実感した。同時に、自分自身の内なる多様性(Intrapersonal Diversity)を高め、知の組み合わせによって社会変革に貢献したいという思いを強くした。SDGsの達成が容易ではない今、私たち一人ひとりが自らの視野を広げ、視座を上げ、多様性を身につけることが求められている。最後にこうしたアジアでの研修を支えているのは、名古屋大学が長年築いてきたアジア各国との信頼関係であり、法制度支援や人材育成を通じた地道な国際協力こそが、同大学の大きな強みでもあることを付け加えておきたい。

