私の思い出写真館
2026年6月号
あの頃から続く視点

野村證券
顧問
この2枚の写真は、私の中でどこかつながっているのかもしれない。下左の一枚は女子校時代、体育祭の応援合戦後のもの。学ランでトランペットを手にしているのが私。
小学生の頃、理科の実験は男子がやるもので、女子は後ろから見ていた。給食のお代わりも、なぜか男子だけだった。「なんでだろう?」――そんな思いから、女性だけの環境で、全て自分たちでやってみたい、と私は女子校に進学した。中高の6年間、体育祭や文化祭に限らず、さまざまなイベントで企画・運営、資金管理、そして力仕事まで、多くのことを自分たちでやりとげた。「誰がやるべきか」を性別で考える前提はなく、「何が必要か」「誰ができるか」で役割が決まる。いわゆる"男性的"とされる役回りには、女子校特有の憧れや演技もあったのかもしれない。ただ、ジェンダーの多様性がなく、一見似た者同士に見える環境でも、考え方や感じ方は驚くほど違っていて、それを前提にして物事は動いていた。
下右のもう1枚は、ビジネススクールの卒業式での記念写真である。言語はもちろん、文化や価値観も異なる仲間と2年間過ごす中で、自分の判断の軸を柔軟に変えながらチームで成果を出すことが、決して容易ではないことも痛感した。女子校で過ごした「似たもの同士」の生活とは対照的な環境のようでいて、振り返れば、「違い」を前提に考えるという点では、どこか通じるものがあったのかもしれない。
このコラムのために写真を見返すまで、特別な意味を考えたことはなかった。ただ、あらためて眺めてみると、自分が「多様性」をどう捉えるかの感覚は、あの頃から続いているのかもしれない。違う人たちと一緒にどうやって成果を出すか――女子校でもビジネススクールでも、結局考えていたのはそんなことだったように思う。


念写真