私の思い出写真館

2025年7月号

神話と祈りが息づく 巡礼の道:熊野古道

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木村 尚敬
経営共創基盤
マネージングディレクター IGPIグループ共同経営者

熊野古道は、和歌山県を中心に熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)へと至る古の巡礼路であり、日本屈指の霊場として知られている。深い山々を縫うように続く道は、自然の厳しさと美しさを肌で感じさせ、歩く者の心を静かに整えてくれるのが特徴だ。2004年には「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産にも登録され、国内外から多くの参拝者が訪れている。その歴史は古く、平安時代には熊野信仰が高まり、後鳥羽上皇をはじめとする歴代天皇や上皇たちが幾度となくこの地を訪れた。その様子は「蟻の熊野詣」と称され、貴族から庶民まで列をなして山道を進む姿が、まるで蟻の行列のようだったことから名付けられたと言われている。まさに「道そのものが信仰」である特別な空間なのだ。熊野には神話も色濃く残されており、中でも有名なのが、日本サッカー協会のシンボルでもある八咫烏(やたがらす)と神武天皇の伝説。熊野の山中で道に迷った神武天皇を、三本足の霊鳥・八咫烏が天照大神の遣いとして導いたとされ、この伝説は熊野古道が「導きの道」と呼ばれる由来にもなっている。

この神話の世界を現代に体験できるのが「原生林ツアー」だ。神職による正式な祈祷から始まり、かつて修験道が崇拝した山道を歩き、那智大滝の滝口のそばを通りながら、さらにその上流にある「二の滝」「三の滝」を巡拝する。2017年には秋篠宮家も熊野を訪れ、このご神道ツアーに参加された。私たちIGPIグループは、南紀白浜空港の経営を起点として和歌山県エリアの地方創生に鋭意取り組んでいる。羽田から1時間という近さにありながら、熊野古道をはじめ多くの自然遺産を有するコンテンツの宝庫だ。日々の経営で死闘格闘されておられる経営者の皆さまも、ぜひ心身のリフレッシュに熊野を訪れてみてはいかがか。

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手つかずの自然が残るご神道
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マイナスイオンたっぷりの滝

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