私の思い出写真館

2025年4月号

ABAC委員の思い出

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林 信秀
日本経済調査協議会 理事長

私は2017年より約3年半ABACの日本代表委員を当時の安倍首相から拝命しました。ABACとはAPEC(アジア太平洋21カ国・地域の経済協力の枠組み)から正式に認められた民間ベースのビジネス諮問会議のことです。APEC各国はそれぞれ3人の代表委員を任命し、毎年11月に開催されるAPEC本会合に向けて民間ビジネスベースでAPEC首脳ならびに各国政府に対し政策提言を行うための会議体です。年間4回ABAC会議は加盟国持ち回りで開催され、通訳を入れない平場の会議で各国の本音と建前が入り乱れながら、コンセンサスベースで政策提言をまとめ上げていくというプロセスを踏んでいます。

私も金融経済部会の議長を2年間務めるなど、ABAC委員として随分苦労もしましたが、パプアニューギニアなどなかなか行けない国に行き、加盟国首脳との直接対話ができるという得難い経験もしました。首脳との直接対話では3年間のうち2年続けて中国・習近平国家主席と少人数での対話をすることができました。対話後記念撮影をするのですが、その写真を中国人の友人・知人に見せると皆の顔が一様に大きく驚きの表情に変化するのも懐かしい思い出です。

ABACの国際会議では夫婦同伴が半ば一般的で亭主同士が昼間会議場で口角泡を飛ばしながら議論しつつも、ディナーの席上では夫婦同伴で親しく会食をしながらお互いに着地点を探るといったことも普通に行われていました。私も途中から家内を同伴し、家内同士、他国のABAC委員の奥様たちとLINEを交換しながら和気あいあいの交流を楽しんでおりました。やはりあらゆる交渉の基本は人間関係の構築にあるとあらためて実感した次第です。

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2018年パプア・ニューギニアでのAPEC首脳との直接対話
(前列右から2番目が習近平国家主席。筆者は後列右から4番目)
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2017年ベトナムでのAPEC首脳との直接対話(前列左から2番目が習近平国家主席。筆者は後列右から4番目)




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