私の思い出写真館
2023年11月号
シンガポールは私のダイバーシティ・インクルージョンの実践道場


積水ハウス
取締役
海外マネジメントの経験をしたいという希望が叶い、前職のアメックスでシンガポール・カントリーマネジャーが内定したのは、2011年。震災後でBCPが発動され慌ただしい中、後ろ髪を引かれる思いで9月にシンガポール着任した。放射能問題で検疫が強化されて荷物が数か月留められ、苦労した記憶がある。
アメックスでも日本人初の、出身地を離れたカントリーマネジャーのアサインメントであった。アジア系女性初でもある。これにはアジア圏、グローバルの社員に向けたD&Iの強烈なメッセージが含まれていた。まだ歴代社長は欧米系の男性であるケースが多かったのだ。私がタウンホールで就任のスピーチをすると、「とてもうれしい・誇りに思う」と多くの社員が駆け寄ってきてくれ、メッセージが共有できて嬉しかった。民族・文化・宗教が異なる人によって構成される国でのビジネス。ラマダンの最中のイベントを控え、他の宗教的な活動を理解して年間スケジュールを作ったり、戒律ごとに分けて用意したテーブルに食べ物をセットしてパーティをしたり、年に数回あるお正月のたびにするお祝いなどの体験は楽しく貴重だった。違いを楽しむ生活がそこにはあった。ジェンダー、年齢にかかわらず専門性のあるキャリアを磨き、数か国語に堪能であり、自分の意見をはっきりと言う点など日本との違いを見て、それがシンガポールへの企業進出を支える人的資源であることも実感した。
昼夜問わずソーシャルな会合も多く、人脈がモノを言う社会だ。そのおかげで多くの友人と家族ぐるみの付き合いが今も続いている。
積水ハウスもシンガポールで住宅事業に参画している。コロナ禍でご無沙汰だったが、今年中に3年ぶりの訪星を目指している。

