◆28 雇用制度改革・労働市場の再構築
2026年5月 公益社団法人 経済同友会
| 位置づけ | ⑤ 産業構造の進化と産業創出 | 時間軸 | 中期 ~2030年「供給力の抜本的強化」 | 力 | 〈稼ぐ力〉 |
|---|
提言のポイント
- ジョブ型雇用の導入と成果に基づく評価・報酬体系への転換
- 兼業・副業の促進と労働時間通算管理ルールの廃止
- 「雇用型自律労働契約」の法制化と労働法制の抜本的転換
- 自律的キャリア形成を支える社会インフラの整備と成長セクターへの労働移動促進
課題認識
終身雇用・年功序列ベースの雇用システムが労働市場の流動性を阻害し、成長セクターへの人材移動が進まない。時間ではなく成果で評価する仕組みが不十分。
目指すべき方向
ジョブ型雇用の導入と成果連動型評価への転換を推進する。「雇用型自律労働契約」の法制化により、自律的な働き方の法的基盤を整備する。
具体的な施策
- ジョブ型雇用の導入と成果に基づく評価・報酬体系の構築
- 兼業・副業の促進と労働時間通算管理ルールの廃止
- 「雇用型自律労働契約」の法制化と労働法制の転換
- 自律的キャリア形成と成長セクターへの労働移動促進
現状 2026年4月時点
ジョブ型雇用の導入は大手企業を中心に検討・導入が進むが、労働市場全体としては未発達。2026年の労基法改正は当初予定から延期。「雇用型自律労働契約」の法制化は検討段階。
| 施策1 | 導入企業は増加中(JAC Recruitment「ジョブ型雇用の今 2025」〔2025年11月調査〕:導入率21.8%、1,000名以上企業では36.0%)だが、全社導入した企業の約69.5%で「十分に機能していない」との回答。富士通は2026年4月入社新卒から初任給をジョブレベル対応に変更。 |
| 施策2 | 副業・兼業ガイドラインは2022年改定済み。労働時間管理ルールの見直しは2026年労基法改正で検討中だが延期。 |
| 施策3 | 「雇用型自律労働契約」は本会の提案にとどまり、法制化に向けた具体的な動きなし。 |
| 施策4 |
ジョブ型導入と連動して転職市場整備が並行進展。リスキリング支援も拡充中。 |
提言内容 詳細
1. ジョブ型雇用の導入と成果に基づく評価・報酬体系の構築
- メンバーシップ型主流の雇用制度にジョブ型雇用の要素を加え、職務・役割を明確化
- 時間ではなく成果で評価・処遇される仕組みの構築と弾力的な報酬体系の導入
- 高度プロフェッショナル制度および企画業務型裁量労働制の積極活用
2. 多様で柔軟な働き方を可能とする制度設計
- 育児・介護・障碍等の制約がある個人を含む多様な人材が活躍できる環境の創出
- 取締役会における多様な人材の登用と包括的ダイバーシティ経営の推進
- 個人の主体的な働き方の選択を可能とする制度設計
3. 兼業・副業の促進と労働時間通算管理ルールの廃止
- 自社社員の兼業・副業容認の拡大と外部人材の受入れ体制の構築
- 複数事業者間での労働時間通算を行わないことを原則とし、雇用型副業における労働時間の通算管理ルールを廃止
- 知識・スキルが身につく副業を妨げないことの明確化
4. 「雇用型自律労働契約」の法制化と労働法制の転換
- 「雇用型自律労働契約」の法制化による自律的な働き方の法的基盤整備
- イノベーション創出に向けた労働基準法の適用除外の検討
- 産業競争力の強化と多様な個人の活躍を可能とする労働法制への転換
- 労働安全衛生法の見直しによる健康確保に向けた労使の新たな役割分担
5. 終身雇用・年功序列からの脱却と令和モデルへの移行
- 終身雇用・年功序列ベースの無限定な働き方から脱却し、真に期間の定めの無い雇用へ移行
- 令和モデルの雇用システムへの段階的移行と旧来の日本型雇用システムの打破
6. 自律的キャリア形成と成長セクターへの労働移動促進
- リスキリングからアップスキリングへの支援拡充と自律的キャリア形成を支える社会インフラの整備
- 新陳代謝の加速と成長セクターへの円滑な労働移動の促進
7. 国家公務員等の働き方改革と税制・社会保障の再構築
- 国家公務員等への民間企業と同等の働き方改革の適用(期限を定めた改革)
- 労働市場の変容と一体的な税制・社会保障制度の再構築
参照提言
- 自律した個が 「いつでも、どこでも、多くても少なくても働くことができる」社会の実現(2023年1月27日)
- 時間外労働規制等に関する意見(2017年2月14日)
- 「働き方改革」に関する主要論点に係る意見(2017年2月22日)
- 新たな政治体制下で求める 労働市場改革に関する意見(2024年12月17日)
- 経済成長と多様な個人の活躍を支える 「雇用型自律労働契約」の導入を(2025年5月22日)
- 「年収の壁」支援強化パッケージに対する企業における実態調査結果(2024年5月1日)
- 多様な人材の活躍に向けた現状認識と課題 ~兼業・副業の促進と特定技能制度の定着などを中心に~(2020年7月10日)