◆19 起業・スタートアップ育成
2026年5月 公益社団法人 経済同友会
| 位置づけ | ④ 企業の代謝・活性化 | 時間軸 | 短期 ~2027年「経済の熱量を取り戻す」 | 力 | 〈稼ぐ力〉 |
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提言のポイント
- グローバルに展開可能なスタートアップの創出
- ディープテック分野におけるスタートアップ創出を促進するエコシステムの構築
- 上場後も成長しつづけるスタートアップの増加に向けた環境整備
経済同友会の主張 サマリー
課題認識
日本ではスタートアップ数や投資額は増加しているものの、グローバル競争力を持つユニコーンや、世界市場で成長するディープテック企業の創出はなお途上。大学・研究機関の技術シーズを事業化する基盤、シードからレイターまでの大規模リスクマネー、海外市場展開を支えるVC人材・ネットワークが不足している。また、上場が「ゴール」になり、上場後も大きく成長し続ける企業が十分に生まれていない。大企業によるスタートアップ投資は増えているが、非連続的成長や新産業創出につながるオープンイノベーションは限定的である。
目指すべき方向
研究開発から、創業、成長、上場後、M&Aまでを連続した成長プロセスとして捉え、各段階に応じた政策・民間支援を整備する。特に、社会課題解決や産業競争力向上に資する技術領域で、大学発・ディープテックスタートアップを増やし、海外VCや大企業の経営資源を取り込みながら、グローバル市場で成長できる企業群を形成する。上場後も高いガバナンス、成長投資、M&A、株式報酬制度を活用し、持続的に企業価値を高めるスタートアップを増やす方向である。
具体的な施策
- 大学発スタートアップの拡大に向け、次世代研究者に年間100万~200万円程度の基礎研究費を複数年配分
- 海外VC育成機関への日本人キャピタリスト派遣、日本企業と海外VCが共同GPとなるファンドの立ち上げ、政府系投資機関によるディープテック向け大規模リスクマネー供給
- グロース市場の上場維持基準見直し、のれん償却基準の国際的コンバージェンス、CVCによるM&A促進、RS・RSU活用円滑化など、上場後の成長環境整備第
- オープンイノベーション促進税制の改正を通じて、大企業とスタートアップの共創・買収を促進
現状 2026年4月時点
2022年の「スタートアップ育成5か年計画」を踏まえ、起業数・裾野拡大から、スケールアップ、グローバル展開、出口戦略の多様化、大企業との共創に重点が置く政策が展開されている。2025年末に日本成長戦略会議の下にスタートアップ政策推進分科会を設置。
2026年度税制改正におけるオープンイノベーション促進税制の延長・拡充、グロース市場の上場維持基準見直しの制度化等の進捗はあるが、「投資額10兆円規模、ユニコーン100社」という5か年計画上の目標との乖離は依然大きい。
| 施策1 |
次世代研究者への複数年度分の研究費配分は制度化されていない。文部科学省は2023年度より大学発新産業創出プログラム・基金事業を展開中。若手研究者支援を企図し科研費予算を増額。公証人手数料の30年ぶり見直しと引下げが実現。登録免許税の減税措置も段階的に実施中。 |
| 施策2 |
「22 人材確保・育成・採用改革」参照 |
| 施策3 |
資本市場改革は進展、東京証券取引所はグロース市場の上場維持基準を「上場10年経過後、時価総額40億円以上」から、2030年3月1日以降「上場5年経過後、時価総額100億円以上」へ見直す方針。のれん償却、IFRS等へのコンバージェンスは検討段階に留まる。 |
| 施策4 |
2026年度税制改正において、オープンイノベーション促進税制について、M&A型の対象拡大、吸収合併時の益金算入方法の見直し、適用期限の2年延長が示された(恒久化はされず) |
提言内容 詳細
1. 大学発スタートアップ拡大に向けた基礎研究予算の拡充
- 社会課題解決や日本の産業競争力向上に資する分野の次世代を担う研究者を中心に、一人あたり年間100~200万円の研究費を複数年間にわたり配分。
2. グローバルディープテックスタートアップを支援するエコシステム構築
- キャピタリスト育成機関への日本人キャピタリスト派遣
- シード・アーリー段階/海外VCからのリスクマネー供給の呼び水として、日本企業と海外VCが共同GP となったファンドを立ち上げ
- ミドル・レイター段階/海外ベンチャーキャピタリスト育成機関で教育を受けた人材を活用し、政府系投資機関においてディープテックスタートアップの海外事業拡大に必要な大規模リスクマネー等を供給
3. 上場後のスタートアップの成長を促す施策パッケージの実施
- グロース市場の上場維持基準において流通株比率を35%以上に設定など上場後のガバナンスを高度化
- のれん償却に関する会計基準をIFRSや米国基準にコンバージェンス
- 自前主義脱却に向けCVCがスタートアップとの協業を目的にしたM&Aを積極的に実施
- RS(譲渡制限付株式)・RSU(譲渡制限付株式ユニット)活用円滑化に向けた施策
4. オープンイノベーション促進税制の延長・拡充
- 恒久化、1件当たりの所得控除枠の拡大、M&A型対象要件の緩和など税制拡充により、スタートアップ投資を活性化
- M&A型の対象拡大により、産業の新陳代謝を促進
参照提言
- スタートアップエコシステムの更なる拡大に向けて(2024年7月24日)
- 「オープンイノベーション促進税制」の延長・拡充に関する意見~スタートアップとの共創による非連続的成長の実現へ~(2025年11月7日)