◆14 地方創生・地域共創

2026年5月 公益社団法人 経済同友会

位置づけ ③ 豊かさと幸福の実感 時間軸 長期 ~2035年「高付加価値国家の完成」 〈支える力×分かち合う力〉

提言のポイント

  • 地域の特性を活かしたブランディングとワーケーション等による関係人口の創出
  • 危機感の共有と現実を直視した財政シミュレーションによる住民理解の促進
  • 若者の仕事創出と企業の地方創生貢献(本業・人材派遣・産学連携)
  • 需要サイドからの林業改革と木造建築の積極採用を通じた地方の産業振興
  • 産学連携による地域人材育成の深化とコンパクトシティによる生産性向上

経済同友会の主張 サマリー

課題認識

東京一極集中が依然として解消されず、地方の人口流出と産業空洞化が進行。地域の特性を活かした産業創出が不十分であり、木材資源の活用も進んでいない。

目指すべき方向

地域の特性を活かしたブランディングとワーケーション等による関係人口の創出を推進する。需要サイドからの林業改革と木造建築の積極採用による地方産業振興を図る。

具体的な施策

  1. 地域ブランディングとワーケーション推進による関係人口の創出
  2. 木造建築の積極的採用と建築基準法の見直しによる需要拡大
  3. 若者の仕事創出とコンパクトシティによる生産性向上
  4. 企業の地方創生貢献(本業・人材派遣・産学連携)の推進

現状 2026年4月時点

ワーケーション推進と木造建築の積極採用が着実に進展。三井不動産が日本橋に地上18階木造賃貸オフィスビルを着工、渋谷マルイでは構造約60%が木材の新店舗が2026年にオープン予定。林業改革も「地産都消」モデルが形成されつつある。

施策1 和歌山県等の先進事例を中心にワーケーション受入体制が全国で整備中。複数自治体で補助制度が拡充。
施策2 都市の木造化推進法が施行。大規模木造建築プロジェクトが複数進行中。CLT等の新素材の普及も進む。
施策3 デジタル人材育成目標(2026年度末230万人)に向けた取り組みが進行。ただし地方定着率には課題。
施策4

企業版ふるさと納税の活用拡大、企業研修とワーケーション連携プログラムの試行が増加。

提言内容 詳細

1. 地域ブランディングとターゲティングの強化

  • マーケティングの観点から呼び込むターゲット層を明確化し、地域ならではの特性を活かしたテーマ・ストーリーを磨き上げて集中的にPR
  • 多様な人材が集う交流拠点・コミュニティの形成(サテライトオフィス、コワーキングスペースにとどまらない仕掛けづくり)

2. ワーケーション推進のための制度・環境整備

  • 就業規則への明記と制度化、運用ルール作り
  • 補助金は助走期間限定とし、民間企業・資金中心の持続可能な事業体制を構築
  • 労災適用範囲の明確化、深夜割増賃金の適用緩和等の制度的障壁の解消
  • テレワークガイドライン改訂版の情報発信・周知の強化
  • 経営者・中間管理職の率先垂範と社内理解・機運の醸成

3. 地域共創型ワーケーションの推進

  • 単なるワーク&バケーションから脱却し、イノベーション・新規事業、地域課題解決、人材育成、兼業・副業等に資するワーケーションへ転換

4. 企業(施主)による木造建築の積極的採用

  • 木の良さの理解促進、低~中層自社建物への木造建築導入
  • 業務施設・生産施設・商業施設での活用による企業イメージ向上と環境貢献

5. 設計・施工におけるデジタル技術活用と人材育成

  • BIM(Building Information Modeling)の活用と木造建築設計技術の高度化
  • 施工ノウハウの蓄積と普及、新しい木造建築モデルの創造

6. 林業の生産性向上と供給力強化

  • 木材資源データの収集・整備、ICT活用による森林情報の見える化
  • 生産管理・需給調整システム開発、ドローンや林業クラウドの導入支援

7. 建築基準法改革による木造建築需要の拡大

  • 建築基準法の見直し・規制緩和、耐火性基準の合理化
  • CLT壁倍率の建築基準法制定
  • スプリンクラー設置による耐火要件の緩和、大規模木造建築コストの低減

8. 危機感の共有と現実を直視した危機感の見える化

  • 現実的な人口見通しに基づいた財政シミュレーション
  • 住民に対するわかりやすい「受益」と「負担」の関係説明
  • 目標と現実的推計のギャップ解消に向けた具体策の提示

9. 若者の仕事創出に向けた取り組み

  • 地域の強みに磨きを:若者の手で地域の強みを活かした産業創出
  • 現場からの規制改革の推進
  • 人口減少時代の新しい働き方の実現(地域限定正社員など)
  • コンパクトシティによる生産性向上
  • 自治体業務の高度化による公務員のモティベーションアップ
  • PPP/PFIの導入による賢いインフラ整備
  • ソーシャルビジネス・コミュニティビジネスの積極的推進

10. 企業が取り組むべき地方創生への貢献

  • 本業における貢献:社会課題解決、生産性向上による賃金引き上げ
  • 地域限定正社員の積極採用、テレワークの推進、有給休暇取得促進
  • 自治体・大学との連携:人材派遣、人材受入れ
  • 自社人材の有効活用:事業推進人材の派遣、兼業禁止規定の緩和

11. 産学連携による地域人材育成

  • 大学等との積極的な連携・協業の深化
  • 産業界と大学の人材育成に関する連携強化

参照提言

  • 地域共創のさらなる推進に向けて ~経営者視点での5つの勘所~(2023年3月30日)
  • 地域共創のさらなる推進に向けて ~ワーケーションを呼び水に関係人口の創出を~(2022年2月)
  • 地方創生に向けた 需要サイドからの 林業改革(2018年3月22日)
  • 人手不足時代の中堅・中小企業政策 ~生産性向上に向けた合従連衡と労働移動の促進~(2024年4月5日)
  • 企業と人材の流動化により 中堅・中小企業の付加価値の創造と日本経済の復活を(2025年4月9日)
  • 自律した個が 「いつでも、どこでも、多くても少なくても働くことができる」社会の実現(2023年1月27日)
  • 「新卒・既卒ワンプール/通年採用」の 定着に向けて(2016年3月28日)
  • 若者に魅力ある仕事を地方で創出するために — 志ある者が動けるメカニズム を創ろう—(2016年3月23日)

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