◆9 エネルギー政策・原子力
2026年5月 公益社団法人 経済同友会
| 位置づけ | ② 安心・安全の基盤確立 | 時間軸 | 中期 ~2030年「供給力の抜本的強化」 | 力 | 〈支える力×分かち合う力〉 |
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提言のポイント
- 自立性の高い「安全性・安定供給・経済性・環境適合」(S+3E)の同時達成にむけ、原子力・再エネ・移行期の化石燃料を組み合わせ、日本に最適な一次エネルギーミックスを不断に追求すべき。
- 原子力利用拡大には、安全性の確保を前提にした規制のアップグレーディングが必要。
- 再エネ拡大は、日本の自然条件や電力システムの特性に適合した形で進める。
- 電力システムをSystem of Systemsと捉え、供給信頼度や系統安定性は、系統全体で必要十分な機能を最小コストで実装するという「システム全体最適」に立脚すべき。
- エネルギー問題及び関連政策に関し、国民理解・信頼の再構築を進めることが重要。
経済同友会の主張 サマリー
課題認識
地政学リスクの高まりに伴い、エネルギー供給の大宗を海外からの輸入に依存する脆弱性が顕在化する一方、AIの急速な進化・普及に伴い、電力需要は今後大幅に増加することが指摘され、エネルギー政策は経済・産業基盤を左右する重要な局面を迎えている。エネルギーの安全かつ安定的な確保はもとより、国民負担や産業活動に配慮した経済性、脱炭素社会の実現に向けた環境適合を総合的に満たすことが不可欠であり、いずれか一要素に偏した政策運営は避けなければならない。
目指すべき方向
長期的視野で、自立性の高い「安全性・安定供給・経済性・環境適合」(S+3E)の同時達成を目指す。(ここで言う自立性とは、国際連携を前提としつつ、我が国が主体的な選択肢を持てる戦略的自立性の向上を意味する。)
原子力・再エネ・移行期の化石燃料(合理性の検証に基づくCCUS・水素/アンモニア等を含む)を組み合わせ、日本に最適な一次エネルギーミックスを不断に追求する。供給信頼度や系統安定性は、系統全体で必要十分な機能を最小コストで実装するという「システム全体最適」に立脚すべきである。その際、日本の地理的条件、電力系統の特性、自然災害の多発、資源輸入構造といった特性を踏まえ、日本型の全体最適を追求する必要がある。
具体的な施策
- 原子力の利用拡大、規制のアップグレーディング
- 再生可能エネルギーの検討深化、電力システム最適計画の制度化
- 国民理解・信頼の構築
現状 2026年4月時点
柏崎刈羽6号機は2026年4月16日に14年ぶりの営業運転を開始。これにより商用原発の再起動済み基数は15基となった。再エネについては2040年度「4~5割程度」の見通しが示された。
| 施策1 | 柏崎刈羽6号機は2026年4月16日に14年ぶりの営業運転を開始。15基が再稼働済み。設置変更許可済み3基、適合性審査中8基。 |
| 施策2 | 2040年度は4~5割程度の見通し(太陽光23~29%、水力8~10%、風力4~8%、地熱1~2%、バイオマス5~6%)。 |
提言内容 詳細
1. 原子力利用拡大、規制のアップグレーディング
- 原子力は、自立性向上や、安定供給、脱炭素、系統安定機能を提供する現実的な主力電源オプションである。
- 利用拡大を進めるためには、安全性の不断の向上と同時に、事業環境としての合理性や予見性を高め、投資判断が可能となるよう、規制のアップグレーディングが求められる(審査の効率化/合理化、規制の予見性向上、革新炉対応、人材・体制の強化等)。
2. 再生可能エネルギーの検討深化、電力システム最適計画の制度化
- 再エネ拡大は不可欠であり、日本の自然条件や電力システムの特性に適合した形で活用を進めていくことが重要。
- 電力の需要特性に応じた役割分担を通じ、大規模電源/分散電源を効果的に組み合わせ、系統全体として最小コストで最大の安定性を追求すべき。
- 電力システムをSystem of Systemsとして捉え、継続的に最適化プロセスを回す枠組みを整備すべき。
3.国民理解・信頼の再構築
- 国民一人ひとりが、エネルギーの便益・費用・リスク等を理解できるような情報開示や対話が必要。
- 特に原子力では、電源立地地域と電力消費地の相互理解の促進が重要。
- また、学校教育等においてエネルギー教育を充実させることが、科学的・建設的議論を可能とし、中長期的に、エネルギー政策への理解と信頼の基盤となる。
参照提言
- エネルギー自立を国策の根幹へ ~S+3Eの高度化に向けた意見~ (2026年5月29日)
- 第7次エネルギー基本計画に向けた意見 ~2050年に向けたわが国のエネルギーシステムの最適化のために~(2024年8月2日)
- 『活・原子力』 -私たちの未来のために、原子力活用のあり方を提起する-(2023年12月20日)
- カーボンニュートラル実現のための 企業行動の変革と環境整備(2023年3月9日)