◆7 サイバーセキュリティ
2026年5月 公益社団法人 経済同友会
| 位置づけ | ② 安心・安全の基盤確立 | 時間軸 | 中期 ~2030年「供給力の抜本的強化」 | 力 | 〈支える力×分かち合う力〉 |
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提言のポイント
- サイバーセキュリティ経営の実践とガバナンス強化
- サイバーセキュリティ投資・人材・開示の経営基盤化
- サイバー犯罪の高度化・新たな脅威への対応とサプライチェーン対策
- サイバーセキュリティ人材の確保・育成と産業振興
- 官民連携のエコシステム形成と政府への制度整備
経済同友会の主張 サマリー
課題認識
サイバー攻撃の巧妙化・高度化・組織化、生成AIの悪用などにより脅威が急速に拡大している。DX、IoT、生成AIの活用により攻撃対象領域も広がり、サイバーリスクは事業継続、経済安全保障、企業価値、産業競争力に直結する経営リスクとなっている。一方で、日本企業では、経営層の関与、投資判断、人材確保、開示、サプライチェーン全体の対策がなお不十分である
目指すべき方向
サイバーセキュリティを守りのIT対策から攻めの経営基盤へ転換、重要経営課題として経営トップ・取締役会が主導し、リスクの可視化、投資、人材、開示、サプライチェーン対策を一体で進める。政府は、能動的サイバー防御、NISCの司令塔機能強化、官民情報共有、サイバー人材育成、国産セキュリティ産業の振興、PQC対応等を進め、官民でサイバー防御力と産業競争力を同時に高める。
具体的な施策
- サイバーセキュリティ経営とガバナンスを実践
- 官民連携、能動的サイバー防御、インシデント情報共有を強化
- AI悪用、サプライチェーン攻撃、PQC対応など高度化する脅威へ備える
- サイバー人材育成と国産セキュリティ産業基盤を強化
- 開示、サイバー保険、リスク評価を通じ、市場規律による対策強化を促進
現状 2026年4月時点
2025年サイバー対処能力強化法および動整備法成立(2026年施行)、サイバーセキュリティ戦略の策定を受け、能動的・官民連携型の制度整備が進展。サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度が2026年度下期から運用開始予定。一方、経営実践レベルでの浸透は道半ばであり、人材不足は深刻な状況が続く。
| 施策1 | サイバーセキュリティガイドライン3.0、プラクティス集など、企業における実装支援は進んでいるが、KPMGジャパン「サイバーセキュリティサーベイ2026」(日本経済新聞社と共同実施、2026年2月公表)では「推進組織を設置していない」企業が39.4%と最多。経営トップのリーダーシップ発揮は限定的。 |
| 施策2 | サイバー対処能力強化法・整備法が2025年5月成立。基幹インフラ事業者(約257社)への2026年10月1日適用に向けた準備が進行。能動的防御体制が制度化。 |
| 施策3 | 経産省「セキュリティ対策評価制度」が2026年度下期運用開始予定。中小企業向け「サイバーセキュリティお助け隊サービス」も2021年度から運用。 |
| 施策4 | IPA産業サイバーセキュリティセンター等による育成プログラム提供、育成促進に向けた検討会による人材育成に係る課題検討が進展。人材不足約11万人が継続。登録セキュリティスペシャリスト約2.4万人(2030年目標5万人)。 |
| 施策5 |
サイバーリスク関連の情報開示の制度化は未実現。サイバー保険も政策的な市場整備の動きはなし。SCS評価制度の整備など企業のセキュリティ対策の可視化の動き。 |
提言内容 詳細
1. サイバーセキュリティ経営の実践とガバナンス強化
- サイバーセキュリティを守りの対策から攻めの成長ドライバーへ転換し、経営トップが危機感をもって主導
- 専門性のある取締役による取締役会での議論・モニタリング体制の構築
- 自社アセットの見える化とリスクの数値化による事業影響度の把握
- 有事に備えたリスク対応計画の策定(複数シナリオに基づく優先順位付け)
2. サイバーセキュリティ投資・人材・開示の経営基盤化
- IT予算とサイバーセキュリティ予算の独立化と中長期的な投資判断
- 人材の制度・報酬体系の整備、海外人材の獲得、人材育成の実践の場の検討
- 重要情報の正確かつタイムリーな開示(有価証券報告書への記載義務化等)
3. サイバー犯罪の高度化・新たな脅威への対応とサプライチェーン対策
- サイバー犯罪エコシステムの複雑化とAIの悪用等に対する対応強化(ゼロトラスト型リスク管理)
- サプライチェーン全体のサイバーセキュリティ対策の強化と取引先への支援
- 耐量子計算機暗号への対応ロードマップの策定
4. サイバーセキュリティ人材の確保・育成と産業振興
- サイバーセキュリティ人材の定義の可視化と教育機関の質・量の拡充
- 全社的なセキュリティリテラシーの向上と経営層への教育
- 高品質な国産セキュリティ製品・サービスの供給強化と国際競争力の確保
5. 官民連携のエコシステム形成と制度整備
- 能動的サイバー防御の早期導入、重大サイバー攻撃の未然排除・侵害拡大防止を可能とする制度整備
- NISC(内閣サイバーセキュリティセンター)の司令塔機能を強化し、各府省庁のサイバーセキュリティ施策を一元的に総合調整
- 重要インフラ事業者等のインシデント報告、報告先の一元化、報告フォーマットの統一により、政府の状況把握と分析力を向上
- 脅威情報、被害情報、初動対応、再発防止策の双方向的な共有等、官民連携のエコシステム形成
- サイバーセキュリティ戦略に基づく政策の実効性強化
参照提言
- 「Cyber Security Everywhere」時代 ~経営者の8つのアクションと政府への6つの提言~(2024年10月23日)
- 「サイバーセキュリティ戦略(案)」に関する意見(2025年11月18日)