◆2 構造的賃上げ・労使関係
2026年5月 公益社団法人 経済同友会
| 位置づけ | ① 生活防衛とセーフティネット構築 | 時間軸 | 短期 ~2027年「経済の熱量を取り戻す」 | 力 | 〈支える力×分かち合う力〉 |
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提言のポイント
- 中小企業による付加価値拡大と価格転嫁を通じた持続的な賃上げの実現が経済好循環の鍵
- パートナーシップ構築宣言の実効性を強化し、労務費を含む適切な価格転嫁を推進
- サプライチェーン全体での成長と公正な価格形成メカニズムの構築
経済同友会の主張 サマリー
課題認識
構造的な賃上げや投資拡大による経済好循環を実現は、全従業員数の約7割を雇用する中小企業が自己変革による付加価値拡大とともに、価格転嫁を通じて持続的な賃上げの原資を確保できるかが鍵。しかし、2025年11月に中小企業庁が公表した調査結果では、価格転嫁率は5割程度にとどまるなど、価格転嫁はいまだ道半ばの状況
目指すべき方向
「パートナーシップ構築宣言」の実効性を高め、価格転嫁を社会全体で受け入れる商習慣の確立に向けて、官民挙げて推進していく
具体的な施策
- 経営者が先頭に立った取引適正化への取組み強化
- 中小受託取引適正化法の施行を契機とした価格転嫁等の推進
- 官民挙げた「価格転嫁の商習慣」の定着による社会全体の付加価値向上
現状 2026年4月時点
4月17日に連合が発表した2026年春闘の最新集計では、300人未満の企業が4.84%、300人以上の企業が5.10%となり、昨年(4.97%、5.40%)に比べてその差は縮小。2026年1月施行の中小受託取引適正化法により法的基盤が強化された。
| 施策1 | 2023年以降、毎年1月に経済三団体長が連名で「パートナーシップ構築宣言」の実効性向上に向けた要請を取りまとめ。宣言企業数は年々増加し、2026年5月現在、91,433社。 |
| 施策2 | 労務費の価格転嫁率が初めて50%に到達。ただし、上位の都道府県と下位の都道府県で価格転嫁率に10%以上の差が生じている(2025年9月価格交渉促進月間フォローアップ調査) |
| 施策3 | 2026年1月に中小受託取引適正化法が施行。法制度としての基盤は整備された。 |
提言内容 詳細
1. 経営者自らが先頭に立った取引適正化への取組み強化
- 経営者自らが先頭に立ち、「パートナーシップ構築宣言」について、積極的に宣言・公表を行うとともに、実行とフォローのための社内体制を明確に示し、取引適正化の徹底を図る。
- 下請法改正等に伴い、「パートナーシップ構築宣言」の内容を不断に見直すとともに、直接の取引先を通じて、その先の取引先へ働きかけることで、宣言の実効性確保と社会全体への浸透を図る。
- 発注者及び受注者は、内閣官房と公正取引委員会による「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」に示された12の行動指針に沿う行為を徹底するとともに、経営トップが社内外に方針を示す。
2. 労務費、エネルギーコスト、原材料費の価格転嫁の推進
- 発注者及び受注者は、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の価格交渉を活用し、最低賃金上昇率、春季労使交渉の妥結額・上昇率等の公表資料を基に価格交渉を行い、下請法対象取引のみならずサプライチェーン全体で労務費、エネルギーコスト、原材料費の価格転嫁を推進する。
- 発注者であるサプライチェーン上位に位置する大企業等は、受注者の要請に真摯に向き合うとともに、受注者においても価格交渉力を高め、臆することなく価格交渉を申し入れるなど、価格転嫁を商習慣としていくことに努める。
3. 「価格転嫁の商習慣」の定着による社会全体の付加価値の向上
- サプライチェーン全体での付加価値の向上を図るとともに、規模や系列・業種・地域を超えたパートナー企業との連携を促進し、発注者及び受注者双方の付加価値の拡大を目指す。
- 人手不足が深刻化する中、デジタル化や省力化など、中小企業単体では対応が困難な課題解決にサプライチェーン全体で積極的に挑戦する。業種・業界・サプライチェーンの課題を適切に把握するとともに、業界内で依るべき優良な取引慣行について体系的な改善サイクルを確立する。
- 「価格転嫁の商習慣」の定着による社会全体の付加価値向上を図るため、政府においては、最終消費者である国民に対し、「良いモノやサービスには値が付く」ことの理解深化に向けて、メディア等を活用した啓発を行う。
参照提言
- 「パートナーシップ構築宣言」の実効性向上に向けて(2023年1月13日)
- 構造的な賃上げによる経済好循環の実現に向けて ~価格転嫁など取引適正化の推進~(2024年1月17日)
- 社会全体における「価格転嫁の商習慣」の定着に向けて~構造的な賃上げによる成長型経済の実現へ~(2025年1月16日)
- 企業と人材の流動化により中堅・中小企業の付加価値の創造と日本経済の復活を(2025年4月9日)
- 「パートナーシップ構築宣言」の実効性向上に向けて ~「取適法」施行を契機とし、社会全体での「価格転嫁の商習慣」の定着を~(2026年1月15日)