◆1 財政健全化・税制改革

2026年5月 公益社団法人 経済同友会

位置づけ ① 生活防衛とセーフティネット構築 時間軸 短期 ~2027年「経済の熱量を取り戻す」 〈支える力×分かち合う力〉

提言のポイント

  • 医療・介護分野を中心とした歳出改革の徹底
  • 消費税率引き上げを含む抜本的な税制改革の推進
  • 独立財政機関の設置
  • EBPMの徹底

経済同友会の主張 サマリー

課題認識

日本の財政赤字は先進国中最悪の水準にあり、公債等残高対GDP比は193.5%に達する(2024年度実績、内閣府「中長期の経済財政に関する試算」2026年1月)。高齢化の進行に伴い社会保障費が膨張を続け、市場金利も上昇する中、現行の財政構造のままでは持続可能性に重大な疑義がある。

目指すべき方向

プライマリーバランスの黒字化実現と債務残高対GDP比の引下げ。その実現に向けては、歳出削減、税制改革、潜在成長率の引き上げのすべてを実現することが重要。これらの組み合わせを選択肢として提示し、歳出・歳入、経済・社会構造の改革に向けた国民間のコンセンサスを形成していくことが必要。

具体的な施策

  1. 医療・介護分野を中心とした歳出改革の徹底
  2. 消費税率引き上げを含む抜本的な税制改革の推進
  3. 独立財政機関の設置
  4. EBPMの徹底

現状 2026年4月時点

プライマリーバランスについては、国の当初予算ベースでは、2026年度は28年ぶりの黒字化を達成したものの、補正予算の影響を考慮すると実質的な黒字化には不透明感が残る。債務残高対GDP比は足元では低下傾向にあるものの、利払い費が増加する中で今後も低下を続けられるかは予断を許さない状況。社会保障と税の一体改革について、社会保障国民会議で検討される予定。

施策1 社会保障関係費の実質的な伸びを高齢化による増加分におさめる改革努力は継続しているものの、不十分。防衛、半導体・AIなど歳出拡大が求められる項目も増加。
施策2 補助金と合わせて租税特別措置の見直しが進められているものの、消費税については、引き上げどころか食料品の税率ゼロが検討されている状況。
施策3 2026年4月13日の経済財政諮問会議において、有識者議員が「独立的な検証機能の在り方を検討」と明記した資料を提出。
施策4

基本法制定に向けた動きはないものの、2024年12月に「EBPMアクションプラン」および「改革実行プログラム」が策定され、着実に取組みが進んでいる。

提言内容 詳細

1. 医療・介護分野を中心とした歳出改革の徹底
  • 社会保障給付費の増加抑制に資する適正化を行うべき
  • 自己負担、保険料、税からなる負担構造を抜本的に見直すべき
  • ※詳細は「5 医療・介護・予防」参照

2. 消費税率引き上げを含む抜本的な税制改革の推進
  • 財政健全化に資する税制:消費税率の10%超へのさらなる引き上げ
  • 経済活性化に資する税制:勤労促進、少子化対策、消費喚起、企業の活性化
  • 公平・公正の実現に資する税制(世代内・世代間の格差是正):個人所得課税、消費税
  • 自助努力支援に資する税制:NISAの恒久化、特別法人税の廃止、老後生活を支える制度の拡充

3. 独立財政機関の設置
  • 目的:①経済・財政・社会保障にかかる中立的な見通しの提示、②将来世代の利益の代弁、③政策の費用対効果の提示
  • 設置形態:参議院
  • 機能・権限:①経済・財政・社会保障の中期予測長期推計および事後評価、②財政計画やルールの遵守状況等の評価 など

4. EBPMの徹底
  • EBPM推進基本法(仮称)の制定(①「骨太の方針」を起点にした政策立案段階におけるEBPMの導入、政府の重要政策(長期かつ複数事業を有する政策プログラム)に対する司令塔機能の強化など)

参照提言

  • 未来への希望を拓く税制改革~4つの視点からのアプローチ~(2016年10月3日)
  • 新たな財政健全化計画に関する提言~2045年度までの長期財政試算を踏まえて~(2018年5月15日)
  • 将来世代のために独立財政機関の設置を-複眼的に将来を展望する社会の構築に向けて-(2019年11月22日)
  • 持続可能な財政構造の実現に向けて 〜長期の経済財政試算を踏まえて〜(2021年5月11日)
  • 『骨太方針 2023』に対する意見 ― 持続可能な財政構造の実現に向けて ―(2023年3月28日)
  • こども・子育て政策の財源に関する意見 ―現役世代の可処分所得の増加を図るため、まずは徹底した歳出改革を―(2023年11月22日)
  • EBPMの徹底に向けた基本法の制定を~国民に信頼されるワイズ・スペンディング~(2024年3月27日)
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