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日EU EPA交渉 第8回会合の開催に際して

2014年12月8日

公益社団法人 経済同友会
副代表幹事・専務理事、広報戦略検討委員会委員長
前原 金一
副代表幹事、経済連携委員会委員長 藤森 義明

 新興国が台頭する中、民主主義、法の支配、基本的人権といった基本的価値を共有する日本とEUが連携し、高水準の貿易・投資ルールを形成することは、日本の成長戦略としてはもちろん、世界経済の安定的成長への貢献という観点からも大変重要です。
 そこで、公益社団法人経済同友会(東京都千代田区、代表幹事:長谷川閑史)では、経済連携委員会(委員長:藤森義明)を中心に、本日開幕する「日EU EPA交渉 第8回会合」に先立ち、同EPAに関する問題意識の醸成と世論喚起を目的に、「日EU EPAに関するシンポジウム」を開催いたしました。概要は、以下の通りです。

パネリスト(発言順)

経済産業省大臣官房審議官(通商政策局担当)
前・欧州連合日本政府代表部特命全権大使
欧州・ロシア委員会委員長
経済連携委員会副委員長
宮城大学名誉教授
(進行:藤森 義明 経済連携委員会委員長)
赤石 浩一 氏
塩尻 孝二郎 氏
大八木 成男 氏
川口 均 氏
大泉 一貫 氏

EPA・FTAの意義と日EU EPA交渉の今後の展開

  • 諸外国は官民を挙げて自由貿易交渉に取り組んでいる。今日の自由貿易交渉は、関税のみならず、政府調達や知的財産等、その対象も非常に幅広くなり、産業活動にも大きなインパクトを与えている。特にEUは、域内単一市場形成の過程で様々なルール・基準の調和を経験しており、グローバルな貿易・投資ルールの形成においても極めて大きな影響力を持つことから、関税交渉を超えて協力する意義が大きい。
  • EPA・FTAの締結は、グローバル競争におけるインフラの獲得競争である。関連産業には、2011年7月に発効した韓EU FTAの影響が出てきており、日EU EPA交渉の合意を急いでいただきたい。同時に、新興国等において保護主義が台頭する中、高水準で包括的な協定を締結し、世界の規範を形成することも非常に重要である。
  • TPP、日EU EPA、米EU FTA(TTIP)は、いずれも2013年の春から夏にかけて交渉開始、もしくは日本が参加したが、決して偶然ではなく相互に影響した結果である。EUとの関係のみならず、TPP、日中韓FTA、ひいてはWTO交渉との関係においても、日EU EPA交渉を前進させることは極めて重要であり、各界の協力を得て進めていきたい。
  • 日EU EPA交渉はいよいよ後半戦に入る。前半戦を振り返ると、日EUの経済界同士の議論が推進力となった。後半戦は、日EUが連携して規制・基準の調和を追求し、世界をリードするプラットフォームを創る交渉としなければならない。そのためには、政府間はもちろん、経済界においても、機会あるごとにEU側と徹底的に議論し説得して、交渉をサポートする勢力の拡大を図る必要がある。

EPA・FTAを通じた関税削減等の効果・影響

  • 自動車はラインナップが重要であり、輸出と現地生産をうまくバランスさせることで、販売を盛り上げることができる。一般に、円安が進むと輸出が増加して現地生産が減少すると考えられているが、実際は、円安時には現地生産も増加しており、今後、円安の進行とEPAの締結により、輸出が急増するとは考えにくい。メキシコの例を見ても、日墨FTAの締結後、現地への投資も拡大している。FTAは両国の相互信頼の証であり、日EU EPAも、両国・地域が経済発展を遂げる良い機会である。
  • 2011年5月のスコーピング開始から数えれば、既に3年半が経過している。韓国はFTAによって既に関税を削減・軽減できており、競争劣後しないためにも、安倍総理が目標とされている2015年中の合意をお願いしたい。

成熟先進国型農業と日本への示唆

  • 世界には、(1)開発途上国型農業、(2)新大陸先進国型農業、(3)成熟先進国型農業――の3つの型の農業がある。成熟先進国であるオランダ、ドイツ、フランス、ベルギーは、市場のニーズを踏まえた商品開発を行い、加工度の高い農産物を作り上げている。
    おそらく日EU EPAで話題になるのは、チョコレート、ワイン、チーズといった加工度の高い食品であり、原料農産物間の競争ではなく、食品産業まで含めたフードチェーン同士の競争になるため、日本国内で農業団体が反対するという従来型の構図にはならないのではないか。
  • 欧州の成熟先進国型農業においては、農業と食品産業が一体化して、フードチェーン同士で競争している。日本でも、2008年に農商工等連携促進法が制定されたが、必ずしも農業界の賛同を得られていない。日EU EPAを契機に、地理的表示制度やグローバルGAPをはじめとするEUの規格・基準が、成熟社会に必要なものか否かを議論し、日本農業の構造改革につなげていきたい。

非関税障壁の撤廃を通じた日本の立地競争力強化

  • 国内市場が特異な発達を遂げている場合、国内向けの製品を輸出しようとしてもそのままでは海外市場では通用しない。そのような中、現状の産業をそのまま支援する税制・補助金等が採られると、日本では国内向けの製品しか生産できないという結果を招きかねない。EUからの指摘を真摯に受け止め考えていくことは、日本の国際競争力を高めることにもつながる。
  • 日本には日本なりの技術・産業の発展がある。それらとどう折り合いをつけるか、日欧の産業界同士が、具体的な議論を深めながら誤解を解いていくことが重要である。
  • 問われているのは、日本と日本市場が外国からどう見えるかである。これは今回の交渉のみならず、中長期的な日本の成長戦略、特に、対日直接投資を増やすことができるか否かにも関わる。EU側の指摘を受け、日本が是正すべき点については、見直しに向けてステークホルダーへの働きかけを行っていくことが、本会およびわれわれ経営者の使命である。

以上


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