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日本の活路を切り拓く一年に
~ 既得権を捨て、未来を共創するために ~
(2022年 年頭見解)

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公益社団法人 経済同友会

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1.日本の活路を切り拓く1年に

日本は長年の停滞とコロナ危機による萎縮から脱して、「いてほしい国、いなくては困る国」として、再び世界をリードするための岐路を迎えている。

岸田政権が掲げる「新しい資本主義の実現」は、日本から世界に向けて、新しい経済社会のロールモデルを発信する取り組みだと受け止めている。その志に共感し、日本の活路を切り拓くため、私たち企業経営者としても全力を尽くしていく。

2022年を、新型コロナウィルス感染症による「危機」という意識から脱けだし、時代の潮流を見据えて、生活者、企業、政府などが一丸となって、新しい経済社会の構築に踏み出す一年としたい。

2.混迷する世界、日本の立ち位置の再確認を

世界を見わたすと、長期化・複雑化する米中対立、地球温暖化問題に関わる国際競争の本格化などにより混迷が深まっている。今年は、これまで以上に、日本の立ち位置と戦略が厳しく問われる1年になるだろう。

世界各国が、資本主義・民主主義のあり方を模索する中、日本はよく機能している民主主義と、多国間協調を主導する意思とを持っている。これを強みとして、どのような社会像を目指し、国際社会との協調と公正な競争に挑んでいくか、そのビジョンを世界に示していく必要がある。

また、国内的には、コロナ危機を通じて、データ戦略の遅れ、医療提供体制の脆弱性など、さまざまな課題が明らかになり、数多くの教訓が得られた。これを生かしつつ、少子・高齢化への対応、財政健全化など、危機以前からの諸課題に真剣に向き合い、解決の道を探っていくことが私たちにとっての課題である。

3.「生活者共創社会」に向けて

これから目指す日本の姿とは、健全な民主主義と資本主義に立脚する「生活者共創社会」である。

「生活者」とは、消費者として、働き手として、コミュニティの担い手として、家族の一員として、多面的な役割を持つ「個人」すべてを包含する。その意味で、学生、企業の社員、経営者や政治家、官僚などすべての国民が「生活者」である。

多様な生活者の意見や価値観、それぞれの主体的な選択 ――どの商品を買うか、どこで働くか、誰に投票するか―― が、民主主義・資本主義に基づく仕組みによって、社会が進む方向を決定し、社会全体の豊かさや将来を見据えた最適解を生み出す国こそが、目指す「生活者共創社会」の姿である。

こうした社会像を掲げ、経済的な規模の拡大と、持続可能性やWell-beingなど、多面的な価値を同時に追求することで、新しい成長の姿を体現する国、日本を目指したい。

そのため、さまざまな企業が国内外の課題解決に意欲を燃やし、人材への投資やダイバーシティの拡大を通じて旺盛なイノベーションを起こし、社会の進歩と成長を生み出していく、そのようなビジョンを掲げて変革をリードしていきたい。

4.イノベーションを通じた成長を目指して

過去30年にわたって、日本が成長を遂げられずに来た原因は、社会を一変させるようなイノベーションが生まれなかったことである。この点について、まず、私たち企業経営者が厳しい自問自答と反省をしなくてはならない。

成長やイノベーションの停滞をもたらした真因を追究し、今度こそ、その根本にある問題を解消する覚悟を持たずして、日本の将来を切り開くことはできない。

一つ言えることは、日本の社会全体に、変化への抵抗や現状維持を是とする風潮が定着していることだ。その根底にある既得権や現在利益を手放すことへの恐れにまで踏み込まなければ、日本は「変われない国」のまま転落を続けてしまう。

既得権は、社会のあらゆる領域に深く根を張っている。医療・介護、教育、労働など、さまざまな分野で規制改革が進まず、既存の組織の縦割り構造が合理的・効果的な政策の立案・執行を妨げている背景にも、すべて既得権の構造がある。

既得権は何も、行政組織や特定業種に固有の問題ではない。企業が自前主義から脱却できず、大胆なポートフォリオ転換に踏み出せないことや、組織の世代交代やダイバーシティが進まないことも、既得権や長年の慣行故だと言える。

すべての組織がさまざまな生活者によって構成されている以上、全国民、あらゆる生活者が何らかの形で既得権の恩恵を得、「変われない国」を形作っていることを認識する必要がある。

そうであるならば、私たちが改革を呼びかける相手は、ひとえに政府だけではない。生活者、そして生活者の集合体である企業こそが、改革と変化の担い手となり、新しい潮流を作っていかなくてはならない。

5.既得権を捨て去り、未来と成長への道筋を切り拓く

私たち企業経営者は、まずは強い覚悟を持って、イノベーションと社会変革に取り組んでいく。そのため、それぞれの企業経営者が、どのような社会課題に挑戦し、イノベーションを起こしたいかを宣言する。そして、それぞれが内なる既得権を乗り越え、イノベーション創造への道を阻みかねない構造的な問題や規制に対して、今年1年間を通じて打開の道を探っていく。

(1)規制改革のさらなる推進、データ・デジタル時代の規制体系への転換

イノベーションに満ちた日本を目指すために、第一に、規制の刷新に取り組まなくてはならない。コロナ禍を奇貨として、オンライン診療・服薬指導、オンライン授業、テレワークなど、従来「できない」と思い込んできたことが実現した。これをさらに前進させ、ニューノーマルとして定着・拡大させる必要がある。

また、規制体系の設計思想そのものも根本的に見直す必要がある。前例のないアイディアを、試行錯誤を通じてビジネスモデル化し、社会実装につなげることから成長が生まれ、生産性が向上し、機会が広がる。この前提に立って、規制体系を「事前規制型から事後チェック・検証型」へと転換すべきである。

同時に、既存の組織・権限の枠を超えた最適化が可能となるデータ・デジタル時代にふさわしい形へ、競争法制や個人情報保護法制、各種業法規制や働き方に関するルールを、抜本的に再構築することが不可欠である。

(2)先端技術、研究開発へのコミットメント、戦略性の強化

日本の研究開発費はおよそ19兆円、総額では米国・中国に及ばないものの、国の規模に照らせば決して見劣りするものではない。一方、この投資を将来の成長やイノベーション、安全保障との両立に結び付けるには、その配分・使途のあり方を徹底的に見直す必要がある。

特に、ネットゼロという目標が成長機会と位置づけられ、技術革新、国際標準を巡る競争が加速する中、日本としても、自国の産業基盤を生かし、さらに強化しながら、目標達成に取り組まなければならない。

もう一つ注目すべきことは、ありとあらゆる産業、技術、サプライチェーンと安全保障との不可分な絡み合いであり、日本の存立・安全・繁栄の帰趨を制するのもまた先端的なテクノロジーである、という事実だ。

これからの研究開発においては、戦略策定と投資をトップダウンで担い得る新しい仕組みの立ち上げを急ぐ必要がある。細分化された研究分野や、軍事・民生の枠、前例に一切とらわれることなく、最新の技術動向、インテリジェンス、企業の経営戦略を広く視野に入れ、国としてコミットすべき分野を特定し、そこに思い切って資金を投入するための決断・決定が不可欠である。

(3)持続可能な財政に向けた構造問題への踏み込み

新型コロナウィルスとの共存が社会生活の前提になりつつある中、「危機の財政」から脱却するための決断を急がなくてはならない。さらに、財政赤字が前人未到の領域にまで膨張することに、長年歯止めをかけられずにきた原因を、今度こそ明らかにしなくてはならない。

根底にある問題は、危機感の欠如や現在世代の利益に対する配慮だが、予算策定・執行の前提となる政策形成・執行のあり方、受益と負担の関係については、構造的・制度的な解を早急にとりまとめなければならない。

特に、ワイズスペンディングの徹底に向けて、データや科学的知見の活用、政策立案・執行過程の徹底した見える化、機動的な試行錯誤・軌道修正を含むPDCAサイクルの確立など、コロナ禍の下での教訓を生かし、あらゆる手段を同時並行的に進める必要がある。

(4)「個」の活性化、人材の流動化とセーフティネットの構築

イノベーションの源泉は「人」であり多様性である。企業は、価値創造の担い手である個人にしっかりと投資をし、持続的に適正な分配をすることで、常に個人から「選ばれる」存在となるための努力を怠ってはならない。

同時に、自分の価値を適正に評価する職場や、価値観・ライフスタイルに合った働き方を求めて、誰もが自由に組織を移動できる環境や制度を整えることが不可欠である。

そのため、1916年施行の工場法を源流とする労働基準法など労働法制を根本から見直し、デジタル時代に見合った、より柔軟で多様な働き方を前提とする法体系へと転換する必要がある。その前提として、真の弱者に対するセーフティネットのあり方についても、本質に立ち返った議論を開始する必要もある。

さらには、多様な個人が主体的に価値創造に取り組み、自らの選択と決断に基づいて生きていく力をつけることを教育の目的に据えて、幼児教育からリカレント教育まで一貫性ある形で制度設計を始めることを、社会全体のコンセンサスにしていくべきだ。

6.経済同友会、2022年の実践・行動

経済同友会は、企業経営者の集団として、まずはイノベーションと成長の障壁となる課題の洗い出しに取り組む。本会会員がそれぞれ、自分たちの事業を生かしてどのような課題解決を目指し、どのようなイノベーションを起こし、社会をどう変えていくのか、「一人一宣言」に取り組むことから始めたい。そして、宣言実行を阻む既得権やしがらみのありかと改革の方向性を実践的に示し、政府との対話にも取り組んでいく。

さらに、テクノロジーと社会課題に対する最先端の知見・洞察を持つスタートアップや各界のリーダーとの交流、切磋琢磨を加速し、経済同友会を、イノベーションと社会変革に対する志を持つ経営者のエコシステムへと進化させていく。

現在の利益から未来の可能性へと目を転じ、さまざまな課題に挑戦することで、日本は必ず、世界をリードするパワーと存在感のある国になれる。そうしたビジョンと実現に向けた選択肢を発信し、すべての生活者に、ともに未来を創るステークホルダーとしての意識変革と行動を呼びかけていきたい。

以上


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