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「日本再始動の一年に」【2020年年頭見解】

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櫻田 謙悟 代表幹事
橋本 圭一郎 専務理事

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令和最初の新年を迎えた。2020年は、日本にとって東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される重要な年である。世界が分断と対立に揺らぐ中、多様性と調和を謳う祭典が日本で開催される意義は大きい。その成功を新たな出発点として、日本が自己変革に挑戦し、持続可能な将来に向けて再始動する一年としたい。

1.日本の課題と世界における役割

平成の30年間は、日本経済にとって停滞の時代であった。人口減少、少子・高齢化などの構造問題や、グローバル化、デジタル化の世界的潮流に対応できず、国や企業の改革が遅れた結果、持続的な経済成長への道筋は依然として不明確であり、社会の持続可能性も脅かされている。
一方、世界では、グローバル化やデジタル化の進展によって格差の拡大や社会の分断が生じ、一国主義的な大衆迎合政治や権威主義体制の台頭を招いている。また、気候変動問題に象徴されるように、現在世代と将来世代、先進国と途上国の分断・対立も深刻さを増している。
こうした状況の中、自由や民主主義といった普遍的価値に基づく国際協調、自由貿易を唱導する数少ない国の一つとなった日本は、公害や資源制約などの諸課題を高い技術力で着実に克服してきた国でもあり、国際社会において果たすべき役割が高まっている。
立ち遅れたグローバル化やデジタル化への対応を進めるにあたっては、社会に歪みを生じさせないイノベーション、公正と信頼に基づくルールづくりにおいて、世界を主導し、最適化された社会のモデルを提示し自ら実践すべきである。

2.デジタル革命への挑戦

(1)企業改革への決意

デジタル革命は、MaaS(Mobility as a Service)やデジタルヘルスに代表されるように、「サイバー」と「フィジカル」の技術が融合する新たなステージに入っている。オペレーションを支える組織力やハードウェアに強みを持つ日本企業にとって、リアルデータを活用した新事業創造は周回遅れを挽回する好機である。
我々は、経営者こそがイノベーションの担い手であるとの自覚の下、デジタル革命に対応する企業改革を推進する。真のダイバーシティやオープン・イノベーションの推進を徹底し、組織形態や人事制度など経営に関わるあらゆる要素を見直すとともに、サプライチェーンの末端に至るまでデジタル化を推進することで、自己破壊も含めて企業の"かたち"を根底から変革する決意である。

(2)東京・日本をイノベーション実装の場に

最適化された社会の実現に向けて、東京を中心に、日本をリアルデータ活用によるイノベーション実装の場に変えていかなければならない。その第一歩は、世界トップクラスの光ファイバー網と整備が進む第5世代移動通信システム(5G)を組み合わせた最先端の通信環境の確立である。東京都の「Tokyo Data Highway」構想はその一環であり、速やかな実現を期待する。

(3)国際的なルールメイキングへのリーダーシップを

データが経済価値の源泉となる社会へと変化する中、プライバシーとも密接に関わる膨大な個人データが本人さえ把握できないまま、国境を越えて扱われることに、多くの人々が不安と不満を抱いている。デジタルイノベーションによる公正と信頼に基づく最適化された社会の実現に向けて、昨秋新設されたデジタル市場競争本部を中心に、データの流通・活用やデジタル課税、競争環境の整備などのルールメイキングにおいて世界をリードしていくべきである。
そのためにも、世界の範となるべく、海外に先駆けて国内の規制やルールの整備を進める必要がある。まず、多くの国民がデジタル化の恩恵を体感できるオンライン診療・服薬指導や自動運転などの分野で規制改革を急ぐべきである。

3.持続可能性への挑戦

(1)財政の持続可能性の確立

財政の持続可能性の確立は、将来世代に対する現在世代の責任である。我々は政府の二度にわたる消費税率の引き上げを評価しているが、歳入と歳出は表裏一体である以上、伸びが続く社会保障費の適正化を含む歳出抑制と同時に抜本的な負担構造改革が不可欠である。その第一歩として、応能負担の原則の下、全世代型社会保障会議において、年金・医療・介護を包含する社会保障制度の全体像を提示すべきである。
歳出改革に際しては、安易に負担を先送りすることのないよう、現在世代だけではなく、いまだ投票権を有さない将来世代の利益も尊重しなければならない。本会は、昨年、客観的視点から経済・財政・社会保障の将来展望を提示する「独立財政機関」の設置を提言した。速やかな設置とその先にある統治機構改革に向け、超党派の議論を期待するとともに、本会も世論形成に向けた活動に取り組んでいく。

(2)地域社会の持続可能性の確立

近年、過去に経験のない自然災害が相次いでおり、昨年も大きな被害が発生した。もはや異常気象ではなく、こうした事態が常態化するニューノーマル(新常態)な時代を迎えたと認識を改める必要がある。こうした中で、老朽化が課題となっている防災インフラすべてを、新たな基準で更新することは将来に多大な負担を残すこととなる。そのため、デジタル技術を活用したスマートメンテナンスの確立や居住地域の集約化などを組み合わせ、強靭でありながらもコンパクトで、地域の生産性向上に資する社会資本を残すべきである。
その際に鍵となるのは、地域情報の見える化に向けた地方自治体のデジタル化である。国の主導により、まず、地方自治体の情報システムの標準化や行政組織・地域住民・公共インフラ間のデータ連結を推進していく必要がある。

(3)地球環境の持続可能性への貢献

世界では、貧困や疾病、食料、環境、エネルギーなど、多くの課題が山積している。特に、気候変動問題は、昨年末のCOP25が示す通り、各国の利害が交錯する難しい課題である。その中で、日本は、世界全体の温室効果ガス排出削減に先進技術をもって貢献するとの強い意志を世界に表明すべきである。

世界で脱化石燃料の動きが強まる中、再生可能エネルギー、省エネルギー、蓄電技術などの研究開発を加速する。併せて、石炭火力発電についても、日本の最新鋭技術を展開することが実質的な排出削減につながることを粘り強く訴えていくべきである。

4.経済同友会の挑戦

本会では、昨年、世界から見て"いて欲しい国、いなくては困る国、日本"の実現を目標に掲げた。異なる価値観の融合や長期的視点の尊重といった固有の文化を基盤に、先端技術を核としたイノベーションによって国内外の課題解決に貢献する国こそ、我々が将来世代に引き継ぐべき日本の姿である。
本会は、この理想を広く社会と共有し、実現に向けた具体的取り組みを推進するため、次世代を担う若者を中心とする国内外の様々なステークホルダーとの対話を重ねていく。すなわち、本会も行動を通じて、多様性への挑戦を進める決意である。

以上


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