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新たな飛躍への挑戦 【2014年年頭見解】

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公益社団法人 経済同友会
代表幹事 長谷川 閑史

昨年は、アベノミクス効果により景気回復が確実になるとともに、TPP協定交渉参加、2020年東京五輪・パラリンピック開催決定など、日本経済再生への足掛かりを掴んだ「転機」の年となった。2014年は、真のデフレ脱却と持続的成長の実現に向け、企業や政府を中心に、あらゆる主体が抜本的改革に取り組み、過去のしがらみや負の遺産を打破する「挑戦」の年である。

1.新しい日本の創造—2020年東京五輪・パラリンピックを改革のマイルストーンに

2014年は、日本の戦後復興と高度経済成長の姿を世界に示した1964年東京五輪から50周年を迎える。1960年代の日本は、「所得倍増計画」などの将来ビジョンの下、高度経済成長へと邁進した。

それから50年が経ち、人口減少、少子・高齢化、グローバル化の進展など、日本を取り巻く環境は激変している。しかし、政府も企業も過去の成功体験や既得権の軛から脱しきれず、環境変化に対応する改革は阻まれ続けている。

転機が訪れた今こそ、改革断行の好機であり、最後の機会と言っても過言ではない。今年は、2020年東京五輪・パラリンピックの準備が本格的に始動する。この2020年をマイルストーンに、その先も見据えて、あらゆる主体が将来の新しい日本の創造に向けた改革に踏み出す年としたい。

2.将来ビジョンを描くための三つの基本理念

改革への支持を広げるためには、改革の先にある将来ビジョンの提示が不可欠である。国家像であれば、30年後を念頭に描くめざすべき日本の姿である。

経済同友会がこれまで提示してきた将来ビジョン(注1)とは、(1)世界の平和と繁栄のために主体的に貢献して尊敬される国、(2)課題解決が進み、将来世代に負担が先送りされない国、(3)成熟国家ながらも成長へのダイナミズムを持つ国、(4)日本の継承すべき独自性を礎に、優れた変化対応力を発揮しながら、多様性を受容し、活かし合える「個」の集合体としての国、である。こうした将来を現実のものにするためには、三つの基本理念が重要である。

第一に、「自立」である。自立した個人が世界に通用する能力・個性を磨き、新たな価値を創造するとともに、当事者意識をもって社会に参画していく。企業、地域、国家は、こうした「個」の集合体として競争力を高めていく。

第二に、「多様性」である。性別、年齢、国籍を問わず多様な人財が活躍する国や企業へと変革を遂げ、優れた個性の結集と多様な価値観の融合の中から新たな価値を生み出していく。

第三に、「持続可能性」である。人口減少、少子・高齢化が進展しても持続可能な財政、社会保障のグランドデザインを描き、受益と負担のバランスを再構築していく。また、低炭素社会づくり、海洋資源開発、原発も含めた責任あるエネルギー政策を展開し、環境・エネルギーの持続可能性を追求していく。

注1 「2020年の日本創生」(2011年1月)
「日本の将来ビジョン2045『ミトコンドリアとカレーうどん』」(2013年7月)

3.2014年に最優先に取り組むべき政策課題

長期の政権運営が期待される現政権には、昨年策定された「日本再興戦略」の迅速な実行や東日本大震災からの復興の加速とともに、前述した将来ビジョンの明確化と、その実現に向けた本質的改革を望む。

特に着手すべき第一は、「世界で一番ビジネスのしやすい環境」をめざした本格的取り組みと、生産性の高い産業構造への転換である。

真の日本経済再生と雇用拡大には、世界から企業、人財、投資を惹きつけ、世界に開かれた国として競争力を高めることが必要である。こうした中で、既存産業の生産性向上、新産業の創出や起業の促進を図り、個性を発揮した強い地域経済を実現していかなければならない。

そのために、(1)TPPなど高水準の経済連携の戦略的展開、(2)法人実効税率の引き下げや海外高度人財の受け入れ拡大に関するより大胆な取り組み、(3)医療、農業をはじめとするあらゆる分野の「岩盤規制」の改革、(4)成長産業への労働移動の促進、(5)国と地方の役割分担の見直しや税源移譲、(6)原発再稼働に向けた安全性確認の加速と、創・省・蓄・熱エネルギー推進に向けた具体的ロードマップの明示、世界全体の温室効果ガス削減に貢献する施策の展開、を求めたい。

第二は、持続可能で活力ある経済社会を構築するための歳出・歳入の一体的改革である。昨年提示された中期財政計画では、2016年度以降の収支改善策の具体的裏付けがないばかりでなく、2020年度も約12.4兆円(名目GDP比2.0%)の赤字となっている。国際公約である2020年度の基礎的財政収支黒字化を達成するには、まずは聖域なき歳出削減の具体策を示す必要がある。

同時に、グローバル化や少子・高齢化、人口減少社会への対応と、国と地方の関係や国民負担のあり方を踏まえた税・社会保障一体改革を通じて、持続可能な財政と安定成長の両立をめざすべきである。

第三は、世界の平和と繁栄を主体的に追求する「能動的」外交の展開である。「積極的平和主義」の下、国際平和協力、開発援助、国際的枠組みづくり、地球規模課題の解決などに主体的に取り組むべきである。特に、新興国や途上国などへの積極的支援を通じた各国・地域との戦略的関係強化が重要である。

その際、対外発信力の向上や交流拠点の増強により、日本の現状、考え方を世界に効果的に伝え、日本に対する正しい理解を深める必要がある。その一環として、途上国からの留学生受け入れの拡大、アフリカ諸国などの在日大使館設置支援、日本大使館設置拡大などに取り組むべきである。

なお、これらの重要政策を含む本質的改革の実行を真の民主主義に立脚して行うために、選挙制度改革をはじめとする政治改革の断行も期待したい。

4.2014年に企業経営者と経済同友会が挑む課題

我々企業経営者ならびに経済同友会も、成長路線をより確かなものにするために、応分の役割を果たす覚悟である。すなわち、「停滞からの脱却と新たな飛躍」に向けて自ら経済成長の牽引役となるべく、賃金・雇用の増加、新たな設備投資による好循環の実現、国内外でのM&Aよる企業再編や競争力強化などをめざし、リスクを取って果敢に挑戦していく。

(1)企業経営者が取り組むべき課題

第一に、事業のあらゆる面での競争力強化である。欧米のグローバル企業に対抗するためには、企業規模だけでなく、意思決定のスピード、ROE、ローカル・ニーズを踏まえた研究開発やマーケティング、先端的なIT利活用、グローバル人財の獲得など、事業のあらゆる面での競争力を強化していく必要がある。特に、出遅れの目立つ新興国進出については、多くの企業が持つ潤沢な資金を活用したM&Aなど、とり得る手段をあまねく駆使し、キャッチアップをしなければならない。また、コーポレート・ガバナンス、コーポレート・シチズンシップも、グローバルな評価にも耐え得るものにしていくことが不可欠である。

第二に、絶えざるイノベーションの創出である。グローバル競争を勝ち続けるためには、技術やノウハウなどの独自性・優位性に立脚した製品・サービスの性能・品質での差別化と、高付加価値化による低価格競争に陥らない価格政策を堅持することである。絶えざるイノベーションの創出は、企業競争力の源泉であり、これをベースとした全要素生産性の持続的向上こそが、今後の経済成長を実現する。

イノベーションの多くは、際立った個性・能力や文化的背景、思考形態などが異なる人々の知が衝突し、融合し合う状態から生まれており、こうした環境を意図的につくり出し、新結合を創出することは、時代の要請である。

第三に、経営におけるダイバーシティとインクルージョン(注2)の推進である。競争力強化とイノベーション創出は、優れた人財とそれを最大限に活用するリーダーシップおよびマネジメントシステムにかかっている。これをグローバルに実現していくためには、経営におけるあらゆる面での多様化と、多様性を尊重し、個々の力を最大限に発揮させる柔軟な組織への進化が必要である。

その象徴として、諸外国に比べ女性の活躍が遅れている日本企業は、安倍政権が掲げる女性の就業率などの目標値を達成するために全面的に協力していく。

注2 組織で多様な人材を登用・活用する「ダイバーシティ(多様性)」に加え、多様な能力、個性、異なる価値観を尊重し合い、最大限に活かしていくという意味で、「インクルージョン」という言葉が使われ始めている。

(2)経済同友会がめざす活動

経済同友会としても、新しい日本を築くために取り組むべき重要政策課題を明確化し、政府における検討・実施状況を継続的に検証していく。同時に、昨年設置した「改革推進プラットフォーム」と「政策分析センター」を活用し、各委員会が連携しながら、政策課題における本質的問題点の洗い出し、解決に向けた具体策の提言、その実現をめざした働きかけを行う活動を強化する。

併せて、我々企業経営者が相互に切磋琢磨しながら、新しい時代にふさわしい経営のあり方を追求し、経営改革を率先していく。

以上


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