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次の60年を切り拓く「イノベーション」による飛躍を
2005年北城恪太郎代表幹事年頭見解

社団法人 経済同友会
代表幹事 北城 恪太郎

はじめに - 戦後日本の「還暦」を機に、日本のイノベーションを

今年は第二次世界大戦後60年にあたり、戦後日本がいわば「還暦」を迎える年である。この歴史的節目に臨むわれわれの責務は、かつて先人達が示した国家再建への志と創造性を取り戻し、次の60年を切り拓くためのイノベーションに踏み出すことである。

戦後60年を経て、日本は敗戦の焦土から経済大国へと変貌してきた。この間、日本の成長を支えてきた国内の諸制度は、内外の変化に対応できず、既にその有効性を失っている。税制、社会保障、地方行財政など、あらゆる分野における制度疲労は深刻で、もはや対症療法によってこれを正すことはできない。少子化による人口減少を目前に、日本が抱えている700兆円を超す公的債務は、既存の仕組みの破壊と新たな創造を促す警告でもある。

これからの日本は、資源・人材・資本・技術等を巡るグローバルな競争に挑み、国際社会との連携の中で、地球規模の環境・エネルギー問題やテロリズムの脅威など、国境を越えた課題に取り組んで行かなければならない。これらの将来に向けた挑戦を回避し、国内の産業・企業・地方などが既得権益を「守る」ことに固執していては、先人が蓄積した資産を無為に費やすばかりか、次世代の繁栄に向けた基盤までも損ないかねない。

今こそ、日本の再生と次の60年に向けた成長のために、「この国のかたち」を再構築すべき時である。

1.三権分立の姿を是正し、国民の選択に基づく政策決定の実現を

小泉総理は、構造改革の成否が、日本の将来を左右する分水嶺となることを認識し、残された任期を賭けて改革の総仕上げに取り組んでいただきたい。将来への禍根を断つためにも、政府は早急に、プライマリー・バランスを達成する政策手段と最終的な歳出・歳入の規模、その実現スケジュールを示し、「小さくて効率的な政府」による民間主導型社会の実現に向けた道筋を確固たるものとすべきである。

そのためには、政策決定過程における行政の突出を抑え、日本の三権分立の姿を確立することが喫緊の課題である。

具体的には、「官から民へ」、「国から地方へ」の流れを加速し、構造改革の本質である公的部門のスリム化を急ぐ必要がある。変化の速い、将来予測の難しい時代にあって、官による保護がもたらすものは、弊害以外の何ものでもない。医療・介護・育児や郵政事業など、規制に守られてきた官製市場を改革し、地方への権限移譲を進めることで、国全体を活性化していくべきである。

同時に、限られた資源を有効に活かすためには、行政を政治の下に置き、政策決定に国民の選択と監視を活かす仕組みを構築しなければならない。そのため、政治はマニフェストに基づく政党政治を確立し、国民の信頼を回復するとともに、国会の質・量両面での機能強化を通じて政策立案能力の向上を図り、強力なリーダーシップの基盤を整える必要がある。

このように官の役割を縮小する過程で、司法による事後チェック機能への期待がこれまでになく高まってくる。司法は、従来のような消極的な姿勢に甘んじず、法の番人としての責任を全うしてほしい。そのためにも、法律や行政命令が憲法に適うか否かを、主体的に判断する権限と機能を司法に付与する必要がある。具体的には、憲法論議が進む中で、憲法裁判所の創設を検討すべきである。

2.新たな価値創造と企業の社会的責任の徹底による企業競争力の向上を

企業経営者の使命は、日本の成長を支え、国のイノベーションをリードすることにある。企業の競争力の源泉は、新たな価値・製品・サービスの創造と、幅広いステークホルダーの視点に立った、質の高い経営に他ならない。われわれ企業経営者は、産業構造全体の効率化と新事業の創造を促進するとともに、国際競争へ挑みながら、絶え間ないイノベーションを通じて、自らの事業と組織を活性化してゆかねばならない。

特に、企業による反社会的行為や不祥事が後を絶たない中、「企業の社会的責任(CSR)経営」の着実な実行によって、社会の信頼に応えていくことは、企業価値の持続的な増大を図る上でも重要である。

その意味では、経営者は、コーポレート・ガバナンスの強化、コンプライアンスの確立など経営に関わる幅広い課題に主体的に取り組み、制度や形式に「魂」を吹き込んで、その効果を見届けるまでを自らの責任として自覚しなければならない。

3.現場の意欲を引き出す教育改革への転換を

日本の活力と魅力を支えるのは、多様な個性と才能を持つ一人ひとりの個人である。特に、資源に乏しく、人口減少を目前に控えた日本にとって、人材育成は国の競争力を左右する最重要課題である。

こうしたわれわれの危機感とは裏腹に、子供達の学力・体力・気力が危機的な水準に低下していることに、焦りを覚えずにいられない。もはや「ゆとり教育」か「詰め込み教育」かといった、実証的な裏付けに欠ける議論に費やす時間はない。「次代の日本を担う人材の育成」という視点に立って、これまでの反省と精緻な現状分析の上に、新たな改革指針を確立すべきである。

その際、改革の方向性としては、子供達と直に接する教師の意欲を高め、教育現場を活性化することを目指してほしい。官主導の画一的な教育システムからは、創造性に富む多様な個性は生まれてこない。教育における国の役割は基本的な改革の方針決定にとどめ、思い切って地方・学校に権限を委ねていくことが必要である。

われわれ企業経営者も、社会の一員として、引き続き人材の育成・活用に向けて貢献を続けていく。

おわりに - 民間主導社会を担う企業経営者の覚悟

今、日本は、長い停滞と閉塞から脱出し、次の60年に向けた展望を拓く新しい段階に踏み出そうとしている。「輝ける日本」を再生し、次世代に引き継ぐためには、われわれ一人ひとりが過去にとらわれることなく、大胆なイノベーションに取り組んでいく必要がある。

また、われわれ経営者は、企業が最大の納税者との立場から、将来にわたる国民的利益のため、常に最善の選択を提案していく覚悟である。

以上


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